「ミクロネーション」(未承認国家)一覧!自称「国家」をご紹介

「ミクロネーション」(未承認国家)一覧!自称「国家」をご紹介

世界には果たしていくつの国があるか?という問いに正解はありません。およそ200前後とされていますが、日本が認めている国の数と、国際連合が認めている国の数は違いますし、この記事で取り上げる「未承認国家」というものが存在するからです。

事実、世界には真剣に独立を求めている地域もあり、事実上独立状態にある「未承認国家」もありますが、なかには独立というより「地域おこし」の面でのユーモア性が強いものもあります。

この記事では後者の「ユーモアあふれる『未承認国家』」を集めました!

さらに番外編として領土を持たない立派な「国家」である「マルタ騎士団」も取り上げます!
この記事を見てディープな「国家」の世界へ出発しましょう。

目次

「ミクロネーション」(未承認国家)一覧!自称「国家」をご紹介

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未承認国家とは?そもそも国の定義って?

国際連合本部

一般的に国家は「領域・人民・権力」の3点に加えて、「他国と関係を取り結ぶ能力」が必要であると「モンテビデオ条約第1条に規定されています。

未承認国家とは、最後の「他国と関係を取り結ぶ能力」にかかわるもので、「国として認められていない状態」にあるものです。

2024年現在、国連には193か国が加盟していますが、日本が国家と認めているのは196か国(日本を含む)で、これは国連加盟国から日本が国家として承認していない北朝鮮を除いて、国連未加盟のニウエ、コソボ、クック諸島、バチカン市国を加えた数字です。
このほか、日本は承認していないものの、ほかの国連加盟国家が承認している国もあります。

一方で、自身が国家だと主張するもののどの国からも認められていない国家も存在します。こうした国家をミクロネーション(ミニ国家、自称国家)といい、イベントやお祭り・村おこし程度のレベルから本気で独立を目指す「国家」まで様々。この中からいくつかのミクロネーションをご紹介いたします。

▼日本が承認しているが国連に加盟していない国家の観光ガイド

日本語公式HPがある未承認国家「シーランド公国」

ミクロネーションとして有名な部類に入る「シーランド公国」は、イギリスの南東、北海に浮かぶ自称「国家」です。こちらはもともと北海に浮かぶ軍事要塞で、1967年にイギリスから「独立」を宣言しました。しかし、自然に作られた「領土」ではないので、世界中のどの国連加盟国家からも「国家」として認められていません。

しかし、領土以外の独自の政府、パスポート・永住権・憲法・通貨・切手・主権を守るための手段はあり、ベイツ一族が国王として君臨しています。

もし、シーランド公国を訪れたいのならば、事前のアポイントメントは必須です。なぜならば、無断侵入者は銃撃されてしまうからです。しかもヘリコプターや船のチャーターでしか行けません。

◆シーランド公国国歌

きちんとした国歌もあります。

◆あなたもシーランド公国の「貴族」になれる?

シーランド公国はお金を支払えば、誰でも貴族になれます。例えば、国民になるだけであれば3,078円~、男爵であれば6,158円~などとなります。

クレジットカードがあればシーランド公国から小包で爵位証明書が送られ、晴れて貴族の仲間入り!

もちろんネタ以外の何物でもありませんが、名刺に「シーランド公国男爵」などとと書くことは可能です。

このほかにも切手やオリジナルグッズも販売、これらの寄付やグッズ販売が同国の数少ない貴重な財政源です。

公用語はラドニア語!?の未承認国家「ラドニア共和国」

ラドニア国旗

「ラドニア共和国」とは、スウェーデン南部にあるとされている未承認国家です。とはいえ、主張する領土内に誰か住んでいるわけではなく、バリケードもありません。ただ、市民権を持つ「国民」は日本人を含めて17,000人以上いるとされています。

ラドニアは女王の2011年に選出されたキャロライン氏と大統領であるクリストファー・マテオス氏による統治がされているとしていますが、彼女らも領土内に住んでいるわけではありません。

ラドニア共和国には公用語として、ラドニア語があります。
このラドニア語の語彙は"waaaaaaaaaaaaaallll"と"ÿp"の2語のみ。もちろんこれだけでは意思疎通できないので、英語やスウェーデン語、フランス語、ラテン語等も使用が認められています。

◆ラドニア共和国の場所

コペンハーゲンの中にある未承認国家「クリスチャニア」

コペンハーゲン内のクリスチャニア

デンマークの首都、コペンハーゲンの中にある比較的高度な自治が及ぶ「クリスチャニア」は、国というより「高度な自治権を持つ地域」と解釈するのが一般的です。以前は大麻などの麻薬が堂々と販売されるほど治安の悪い地域だったのですが、2011年に政府と住民の間で土地の売買契約が成立した後は治安が安定し、年間約50万人の観光客が訪れる地域となりました。ただ、大麻が「黙認」されているのが現状で、治安が良くなったとはいえ夜は近づかないのがベスト。

人口850人のクリスチャニアの街中では自由な思想を持つ人々が書いたアートを見ることができます。

毎年4月1日のみ完全独立!独自の憲法もある未承認国家「ウジュピス共和国」

ウジュピス共和国

1997年4月1日を宣言したウジュピス共和国は事実上、ビリニュス(ヴィリニュス)市内にある一地区です。「ウジュピス」とは「川向こうの街」という意味。先述のクリスチャニアのように、より自由な雰囲気を持つ人々が集まった町で、独立記念日である4月1日以外は特に規制もなく、他のビリニュス市街地との出入りは自由となっています。

4月1日にはバリケードが張り巡らされ、パスポートコントロールが行われますが、もちろんこれもパフォーマンスの1つです。

◆ウジュピス共和国は独自の憲法を持っている

ウジュピス共和国国旗

ウジュピス共和国は独自の憲法を持っています。41条からなる条文の公式日本語訳は上記のyoutubeから確認できるほか、現地にも設置してあるので、ぜひウジュピス共和国を訪問する際は確かめてみてくださいね。

◆自由な発想から生まれるアート

リトアニア芸術のメッカ「ウジュピス共和国」

「ウジュピス共和国」の街の象徴ともいえるのがアートの数々!画像の「天使」から「ネコ」、「ブタ」など憲法にもあるような自由な発想から生まれたアートの数々が楽しいので、街歩きには最適です。

▼ウジュピス共和国の場所

▼ウジュピス共和国があるリトアニアの観光ガイド

独立は宣言しているものの、実際は町おこし!?セボルガ公国

セボルガ公国の風景

セボルガ公国は、イタリアの中にある独立を主張している「国家」です。その主張は「中世の公爵領から現在のイタリアへの編入過程が不明」というのがその根拠で、同様の事例としてイタリア領土の中にあって独立を保持している世界最古の共和国「サンマリノ」があります。

しかしながら、実際にはイタリアの一部であるとセボルガ公国内の住民間でも認識されているのが現状です。実際に同国内でもイタリアの法律が通用し、住民もイタリアの選挙権を行使しています。さらに独自通貨「セボルガ・ルイジーノ」を持つものの、セボルガ公国内でもユーロ通貨を何ら問題なく使用できます。

イタリアとも緊張関係はなく、住民はむしろ村おこしのためのパフォーマンスと考えている人が多数です。

◆セボルガ公国の位置はこちら

セボルガ公国は州都であるジェノヴァから車で約2時間の場所にあり、フランスの国境やモナコ公国もすぐ近くです。フランスのニースまでは車で約1時間、モナコまで約50分なので、イタリアとフランス、モナコの3か国(セボルガ公国をカウントすれば4か国)を楽しむ旅程も十分可能です。

▼州都ジェノヴァ、ポルトフィーノおよびモナコの観光ガイド

▼イタリアに囲まれた、れっきとした独立国家「サンマリノ共和国」

本気で独立を目指している!無主地に目を付けた未承認国家「リベルランド」

リベルランド地図

「無主地」という言葉をご存じでしょうか?どこの国家も領有権を主張していない場所を指すのですが、21世紀の今では南極を除いてほとんど存在しません。しかし、セルビアとクロアチアの国境にはこの「無主地」のゴルニャ・シガと呼ばれる地域が7平方キロメートルほど点在しています。

実はこの土地、セルビアとクロアチアのドナウ川の国境の解釈の違いにより発生したどちらも領有権を主張しない無主地です。どちらの国にとってもこの土地を領有を宣言すると自国にとって不利な状況になるため敢えて放置しているのです。

そこに目を付けたのが、チェコの政治家ヴィート・イェドリチカ氏で、2015年に建国を宣言しました。
公用語は英語で、市民権は約15万人が申請済。うち300人程度が日本人です。

リベルランド

仮想通貨「メリット」の所有量で選挙の票数が決まるなどのユニークな仕組みを標榜しています。リベルランドに接するセルビア・クロアチアをはじめとして国連加盟国家で承認している国はありませんが、ソマリアからの独立を表明している未承認国家ソマリランドとは国交があります。

また、先述のシーランド公国も独立を支持しています。そして、欧米のいくつかの自由主義政党はリベルランドを国家承認すべきだと主張しているため、近い将来には本当のミクロネーションではない独立国家になってしまうかもしれませんね。

実際に行かれる方はいないかもしれませんが、隣り合うクロアチアからは行くことができず、セルビア側からのアクセスとなります。

ちなみに東京都中央区八重洲には日本事務所があるほか、公式HPでは市民権を販売しています。

▼隣接するセルビアとクロアチアの観光ガイド

世界中の国を行き尽くした!⇒自ら国家を建国!!「スロージャマスタン共和国」

2021年12月1日、高らかにアメリカ合衆国からの「独立」を宣言したランディ・ウィリアムズ氏は「スロージャマスタン共和国」という自称「国家」の「君主」です。

「ほぼ専制君主制」というこの国家は、スロージャマスタンのスルタンたるランディ・ウィリアムズ氏による独裁政治が行われています。「共和国」を名乗るのにも関わらず、独裁政治をすることについて、「世界中には『共和国』を自称する独裁国家があるので、なんら問題ない」としています。

彼はラジオDJを勤める傍ら国連加盟国家すべてといくつもの未承認国家を訪問、この「国家」も1998年建国の未承認国家「モロッシア共和国」を参考に建国されました。

スロージャマスタンの首都は「ダブランディア」と定められ、「クロックス禁止」など20個ほどの法律も制定。2024年現在4,500人余りの市民権申請があるとしています。市民権はスロージャマスタン共和国公式HPから購入できます。

スロージャマスタンは先述したモンテビデオ条約で定義される「独立国民国家」の基準を満たしているとして、ジョー・バイデン米国大統領やドナルド・トランプ氏といった世界各国の要人に独立宣言のメールを送信。しかし返事はないということ。

◆スロージャマスタン共和国国歌

スロージャマスタンには国歌もあります。

◆スロージャマスタン共和国の位置

「スロージャマスタン」までは、サンディエゴから車で約2時間の場所にあります。
アクセスは日本からも直行便が就航しているサンディエゴ空港が便利です。

ウィリアムズ氏によれば、今後国内にアルマジロ牧場やモンゴリアンバーベキューが楽しめる広場を整備するとのこと。将来が楽しみですね!

番外編♪領土はないけど立派な国家!「マルタ騎士団」とは?

マルタ騎士団の看板

最後に番外編として、マルタ騎士団をご紹介しましょう。マルタ騎士団(正式名称:エルサレム、ロードス及びマルタにおける聖ヨハネ主権軍事病院騎士修道会)は1048年に成立し、名前の通りロードス島やマルタ島に領土を持っていましたが、1798年に領土を喪失。

しかし、国際法上の「主権実体」があることが承認され、世界で唯一の国際社会から認められた「領土を持たない国家」となりました。

現在、国連にもオブザーバー参加しており、112の国から「国家」として承認されています。

マルタ騎士団の本部があるローマ市内の「マルタ宮殿」は土地こそイタリアのものですが、この建物内では治外法権が認められていて、建物内はマルタ騎士団の法律やルールが適用されます。

国籍を持つのは幹部の11名のみですが、約13,500名の騎士が全世界にいて、日本からは武田秀太郎氏がただ1人の騎士として(日本人では歴代で2人目)認められています。

◆「マルタ騎士団」発行の切手がお土産に最適!

実はマルタ宮殿の一部は一般にも開放されていて、一般の日本人観光客も入れます!お土産が販売されていますが、なかでもおすすめは切手です。郵便局もしっかりあるのですが、残念ながら日本とマルタ騎士団は国交がなく、かつマルタ騎士団は万国郵便連合未加盟ためここから日本まで手紙を差し出すことはできません。

それでもローマを訪れた際はぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

▼ローマとマルタの観光ガイド

◎国の数だけストーリーがある!

世界の国旗

どんなに有名な地理学者でも即答できない「世界の国の数」という問題。国と国との争いもある一方で、旅行などで国境の垣根を超えて実際に現地の人と話してみると、やはり同じ人間なのだと実感することもあります。

今回ご紹介した国以外にも「未承認国家」はたくさんあります。それだけでなく、世界の国の成り立ちを調べてみたり、実際にどのような人が住んでいるのかを調べてみたりして、「国」とは一体何かということを考えることも大切ではないでしょうか。

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