新型コロナウイルスが私たちの生活を蝕んで約7か月。世界中の夢が詰まっているアメリカ、ニューヨークからはだんだん人が見られなくなってきています…アメリカで最初に新型コロナウイルスの被害を受けたのはニューヨークでした。
今回、アメリカ、ニューヨークの現状について、ニューヨーク在住のヴァイオリニスト、久原有希子さんにリポートしてもらいました。
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【コロナ禍の海外】アメリカ、ニューヨークの今
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ニューヨークから去るひとびと
Queensboro Plaza駅
新型コロナが蔓延し、ニューヨークに住む人々はどんどん引っ越していきました。ニューヨークでの仕事を失った人々は家賃が払えなくなり、地元に帰ったり、留学生は自分の国へ帰国していきました。今でもアパートの空室が多いです。
現在のタイムズスクエア駅【2020年12月3日の最新情報】
少しは落ち着きを見せたものの、冬に差し掛かって再び新型コロナウイルス感染者数が上がってきています。いつもタイムズスクエア駅は賑わっていたのに、こんなに人が少ないのは初めて見ました・・・とても驚いています。
人がいないセントラルパーク
ニューヨークにきてもうすぐ6年経ちますが、こんなに人のいないセントラルパークは初めて見ました。
コロナ禍以前からストリートミュージシャンは珍しくなかったですが、もっと見かけるようになりました。いつもはオーケストラで弾いている演奏家も野外で演奏するようになり、街に音楽が溢れています。
加えてコロナ禍の音楽家の事情ですが、メトロポリタンオペラの団員たちは3月からなんの保障もなく解雇され、1人もお金がもらえてない状況で、今メトロポリタンの音楽家は歌劇場側と今も戦っている途中のようです…
1937年11月28日、旧メトロポリタン・オペラ・ハウスで行われたピアニストヨゼフ・ホフマンのコンサートにて、ステージ後方からの眺め。
コロナ禍でのBLM(Black Lives Matter)運動
BLM(Black Lives Matter)運動があったのはコロナ禍の5月でした。この写真はそのときのもので、暴動がとてもひどいため窓ガラスを割られないように木の板で守っています。コロナ対策とBLM運動対策で、夜22時からの外出は罰金が科されるようになりました。
ちなみに、写真は日系のお店が立ち並ぶエリアです。日本の企業といえば、コロナのせいで私の好きなMUJI(アメリカ)が倒産してしまいました・・・
コロナ禍での大統領選挙
ここはメトロポリタン歌劇場です。トランプvsバイデンの大統領選挙の時期だったのですが、暴動で壊されないように柵で囲まれていました。
誰もいない学校
私は今年の2月にマネス音楽院での卒業試験の演奏を終えました。しかしそのあとすぐにコロナ禍となり、1か月たたないうちに学校は閉まりました。次に学校に入れたのは9月でした。学校のロッカーに入れていた荷物を取りに行けたのは7か月後ということになります。
コロナ禍での入室ルールですが、1フロアに入れるのは1人でその後数時間は次の人が入れません。
ニューヨークの象徴的存在「グランド・セントラル・ターミナル」
ニューヨークに来たならグランドセントラル駅!というようなランドマークですが、ここもめっきり人が少なくなりました。タイムズスクエアは観光客がおらずニューヨークの人ばかりいて新鮮でした。「ちょっとコーヒーを飲みに来た」なんて人もいて、最近(2020年11月中旬)は少し賑わってきました。
もし、ニューヨークの情報を詳しく知りたい方がいらっしゃったら、FaceBookコミュニティのニューヨーク情報共有というページをみると、現地の情報がリアルタイムでわかるのでおすすめです。
久原さんがレッスンをしている音楽学校のコロナ対策
レッスン室の様子
私はいまロングアイランドのマンハセット音楽学校でレッスンをしています。レッスン室はプラスチックの板で仕切ってあり、コロナ対策が徹底してあります。
協力し合いながら生きていく
電車でマスクしていない人もよく見かけますが、電車でマスクしない人は最大50ドルの罰金が科されます。(PCR検査は保険に入っていれば無料で検査できます。)
屋内での飲食ではなく、車道を歩行者に解放するアウトドアダイニング(屋外飲食)が推奨されました。「ニューヨーカーに屋外で安全に楽しめるスペースを」という目的で提供されたので治安が良くなったように感じます。
寒くなってからは、外にこたつを設置したり、外のパラソルに暖房器具を設置するなどの「暖をとる作戦」で引き続きアウトドアダイニングでコロナ対策をしています。次々とお店や飲食店が閉店していく中で「このレストランは生きてる!」と、見つけてはホッとする日々です。普段は自由奔放にみえるニューヨーカーたちがコロナ対策のためにみんながんばっていて、感動しています。
情報提供者:ニューヨーク在住の久原有希子さんについて
長崎県出身。10歳よりヴァイオリンを始める。活水高校を卒業後、ニューヨークのマネス音楽大学にて学士号を取得。在学中は大学のオーケストラのコンサートマスターを務める。音楽家として研鑽を積む傍ら、社会学や都市学も学ぶ。これまでにソリストとして、ボストン室内管弦楽団、クイーンズボロ交響楽団と共演。2019年、ニューヨークのクラシック音楽ラジオ局WQXR のラジオ番組 YoungArtists Showcaseに出演。現在、マンハセット音楽学校の講師、ピアノトリオ Trio Solaceのメンバーとして活躍中。
久原有希子さんのトリオ【Trio Solace】のホームページ
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