回天記念館で特攻兵器の悲劇を知る|周南市大津島で平和を祈る旅

回天記念館で特攻兵器の悲劇を知る|周南市大津島で平和を祈る旅

山口県周南市大津島にある回天記念館は、山口県を代表する観光スポットとして有名です。「回天」とは、戦争末期に使われた人間魚雷のことで、これらを製造、訓練する場所として作られた施設の跡地に記念館はあります。特攻兵器の悲劇や戦争を繰り返さないために建てられた施設は、日本の戦争史を学ぶ上でとても価値のあるスポットです。

※掲載の情報は2020年2月現在のものです

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回天記念館で特攻兵器の悲劇を知る|周南市大津島で平和を祈る旅

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人間魚雷「回天」とは

回天記念館の「回天」とは、戦争末期に日本軍が開発、使用していた人間魚雷のことです。名前には「天を回らし戦局を逆転する」という願いが込められており、日本軍初の特攻兵器としても知られています。

炸薬1.5トンを搭載することができ、命中すれば大型艦船も沈没させることのできる、莫大な威力をほこっていました。しかし、一人乗りの魚雷には、簡単な操縦装置はあるものの停止装置、脱出装置はなく、一度発射されてしまえば命中に限らず、乗組員の命はなかったと伝えられています。

回天は燃料の消費とともに浮力が増してしまう設計であったため、海底を潜水するために手動で海水を入れる必要がありました。操縦以外にもやるべきことが多いことで、訓練中の事故も多かったと言われています。

回天記念館へのアクセス

山口周南の大津島・港

出典: 240pikaru / PIXTA(ピクスタ)

回天記念館は、山口県周南市大津島にあるため、基本的には船でアクセスする必要があります。また、島内にはバスなどもないため、徒歩での移動となります。

大津島行き船乗り場がある「徳山港」へは、JR「徳山駅」を下車し徒歩5分。車で行く場合は、山陽自動車道徳山東ICより約15分、徳山西ICより約35分で徳山港へ到着します。駐車場は徳山港周辺のパーキングを利用するか、大津島巡航が管理する駐車場を利用しましょう。

大津島馬島港に到着後は、徒歩10分程度で回天記念館にアクセスできます。回天記念館から回天訓練基地跡までは、徒歩10分程度かかります。

回天記念館の展示内容

回天記念館には、回天に関する遺品や資料が揃います。回天の歴史や当時の生活の様子など、戦争末期の日本について、パネル展示で紹介されています。展示品や収蔵品は、遺書や手紙、軍服、遺品など、およそ1,000点以上を数えます。

他にも、研修室、視聴覚コーナーなどを備えており、地域の子どもたちの学習の場としての一面も持っています。回天を通じて、戦争や平和について学習できる施設となっています。

黒木大尉の遺書ノート

黒木大尉は訓練中の事故によって命を落とした、回天による初めての殉職者です。訓練中の事故で操作が利かなくなった船内で、酸素欠乏によって命を落としました。

酸素がなくなるまでの間、訓練方法や回天の改善点などを2,000文字以上で書き残しました。遺書ノートは記念館内の展示ケースで公開しており、内容もパネル付きで分かりやすく紹介されています。

池淵中尉の関連遺筆

池淵中尉の関連遺筆は、妻から宛てられた手紙や送った電報など、当時の暮らしぶりや家族との関係性が分かる資料の数々です。池淵中尉は幼なじみと結婚後1週間で大津島基地に着任し、その後は任務のため、妻に会えずこの世を去ったと伝えられています。

休暇が取れそうだという手紙や、近くに引っ越しておいでという手紙など、前向きな内容がある一方で、「メンカイデキヌクルナ」という電報も残っており、日々変わる状況の中での二人の心情の変化も感じることができます。

回天訓練基地跡地

回天記念館から徒歩10分のところには、回天訓練基地跡地が残っています。元は、無人の酸素魚雷の発射試験場として造られた場所で、呉市で製作された魚雷を海上運搬してここから発射し、その性能を山頂付近にある魚雷見張所から観察、確認していました。

回天が実装されてからは、回天の操縦試験場として利用されていました。島を周回するように、潜水艇に乗り、操縦の実習を行うこともありました。2階建ての建物内には、机上で操作が練習できるように司令官手作りの演習台も設置されていました。

近くの海底にはゴツゴツとした岩があったり、潮の流れが激しい海域があったりなどして、実習中の事故も度々発生していました。天気によっても流れが変わるため、練習を監督する司令官も、常に的確な判断力を求められたと伝えられています。

旧魚雷観測所

大津島の中心にある旧魚雷観測所は、回天記念館の裏山の中腹に佇む建物です。当時は、魚雷の性能を観測する場所として使用されていました。山頂よりも海の眺めが良い場所で、笠戸島や向島もよく見えます。

回天記念館からは約400mほど山道を登ったところにあるため、訪れる際にはしっかりとしたスニーカーを履いて行くのがおすすめです。フェリーまでの待ち時間にちょこっと散策するのにも、最適なスポットです。

◎大津島ものんびり観光しよう

山口周南の大津島の風景

出典: 240pikaru / PIXTA(ピクスタ)

回天の島としても有名な大津島は、回天記念館だけでなく豊かな自然を感じられるスポットとしても楽しめます。回天記念館や試験場を見学した後は、島の周囲をぐるっと散策してみるのもおすすめです。

大津島は桜の名所としても有名で、春になると桜まつりが開かれるほど賑わいを見せます。また、海釣りができるスポットもあり、季節の魚を求めて釣り好きも集まります。大津島を訪れた際には回天記念館と合わせ、大津島の自然や文化にも触れてみてくださいね。

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