柳井市「古市・金屋」の白壁を観光!山口県に残る商人町とは

画像出典:風待人 / PIXTA(ピクスタ)

柳井市「古市・金屋」の白壁を観光!山口県に残る商人町とは

山口県柳井市の古市・金屋「白壁の町並み」を訪れたことはありますか? 古市・金屋は、山口県に残る商人町の風情を漂わせる町並みです。約200mにわたる白壁と格子窓の土蔵造りの家並みが続いています。古くからの伝統と歴史を残す町並みは、重要な建造物群として国が指定する保存地区にもなっています。風情と魅力にあふれる古市・金屋「白壁の町並み」について紹介します。

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柳井市「古市・金屋」の白壁を観光!山口県に残る商人町とは

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古市・金屋の歴史

古市・金屋「白壁の町並み」ができた背景には、古市・金屋地区の歴史があります。まず古市・金屋「白壁の町並み」の特徴を見たうえで、それを形作ることとなった古市・金谷の歴史を振り返ってみましょう。

江戸末期の町並みが残る貴重な景観

古市・金屋の白壁の町並みは国の重要伝統的建造物群保存地区。保存地区は約200メートルの通りの両側を中心に、約1.7ヘクタールの区域に及びます。保存すべき建物として47棟が指定を受けいて、他に門・板塀などの保存すべき工作物10件、石積み水路33本。修景すべき建物14棟・残念ながら空地になった6筆も見られます。

建築年代は、江戸中期以前が2棟、文化・文政期7棟、明治から昭和初期8棟で、残り30棟が江戸末期の建物です。つまり、この地域の今の町の姿は江戸末期の景観を残しているものと言えます。

町なみの特徴は、2つあります。1つは、各戸を際立たせる三角形の破風・塗りあげられた白壁・厨子2階に開けられた四角い2つずつの窓、それらが連続している景観の美しさです。

古市・金屋は金属町・鍛冶屋町として栄えた

もう1つの特徴は、町割と敷地のつくり方です。古市・金屋地区は、町筋から北50メートルにある「新市水路」の用水路で他地区からの雨水を防いでいます。この地区の雨水は、室町時代頃から柳井川に向かう石積み水路で排出。今もその排水溝が町割と敷地を形作っています。

敷地は、間口が20尺・約6.6メートル、あるいは30尺・約9.9メートルの細長い形をしています。前に母屋があり、その奥に中庭・本蔵・米蔵・離れ座敷などが並びます。建物には今も人が住んでいるため内部を見ることは難しいですが、後ほどご説明する「国森家」と「むろやの園」は、一般に公開されています。

なお室町時代からこの町筋に鋳物師が集団で住んでいたからか、江戸時代には金屋町や鍛冶屋町などの町名も見られていたようです。

白壁の理由は防火対策?

柳井の歴史を見ると、江戸時代に4回の大火に見舞われています。亨保13年の大火では、柳井川一帯の家屋175軒が焼失するほどでした。このように大火の被災が続いたことから、当時の町の人達は、密集した町並みを火災から守るため、いろいろと工夫をこらしました。

その結果が、この古市・金屋の街筋を、土蔵様式の白壁造りの町並みに変えていき、今に残る白壁の町並みとなったのです。この町並みは『美しい日本の歴史的風土準百選』に選ばれ、『都市景観100選』にも選定されています。

古市・金屋地区の町割りは、岩国藩のお納戸と呼ばれるほど繁盛しました。

裕福な油商の屋敷跡「商家博物館むろやの園」

商家博物館むろやの園は、油商として知られた小田家の屋敷跡です。山口県の指定有形民俗文化財にもなっています。

約800坪・奥行き119mを誇る屋敷の敷地の広さは、国内に現存する町家でも最大規模になります。商家博物館むろやの園には、当時の生活用具・文書などが展示されています。

明治期の重厚な建築の銀行「柳井市町並み資料館」

柳井市町並み資料館は、もともと周防銀行本店として明治末期に建築されました。明治期の重厚な銀行の姿を今に伝える、国内でも数少ない貴重な建物です。

周防銀行はその後合併を重ねますが、建物の最後の所有者となった山口銀行から平成10年に柳井市に寄贈され、平成12年に国の登録有形文化財になっています。1階が町並み資料館で、町並み保存地区の町家模型を展示。見どころとしては町についての情報を得られそうですね。

江戸中期の豪商の家造「国森家住宅」

国森家住宅は、18世紀後半に建てられたもので、江戸時代中期の豪商の家造りを表す典型例として国の重要文化財にも指定されています。

細かいところを含めて、昔の姿のままにしっかりと保存されています。内部の見学もできるので、当時の商人の暮らしぶりの一端をのぞいて見るとよいでしょう。

柳井市の伝統と文化を学ぶ「しらかべ学遊館」

しらかべ学遊館は、山口県柳井市の伝統と文化を楽しめる施設です。昔使われていた民具や懐かしい生活用具などが多数展示されています。

この学遊館は、柳井市青少年育成センターなどの機能も兼ね備えています。子どもたちが安心して学習し、遊ぶことができる環境づくりを目指した複合施設です。

柳井の語源になった伝承が残る「湘江庵」

湘江庵には、柳井の地名の発祥地とされる「柳と井戸」の伝説があります。

その昔、豊後国から瀬戸内海を上京する般若姫が嵐で苦しんだ折、柳井津の入江で里人が差し出した井戸水を飲み元気になりました。喜んだ姫はお礼にと中国大王から贈られた不老長寿の柳の楊枝を、井戸の傍らに差したそうです。その楊枝はやがて柳の巨木になった……という内容です。

この楊枝と井戸から「楊井」の地名が生まれ、それが「柳井」に変わったと伝えられています。ほか、この井戸の清水を飲むと美人になれるとの言い伝えも生まれました。

町並みの周辺にはカフェや食事処も点在

古市・金屋「白壁の町並み」は、知れば知るほど興味深いです。ぜひ一度訪れて散策してみたいものですが、散策の途中には、腰を落ち着けて町の風情を味わうのもよいでしょう。

古市・金屋の道筋には地元の美味しいスイーツや季節の味覚を味わえる食事処も点在しています。ぜひ立ち寄ってみてください。

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