名称:常栄寺
住所:山口県山口市宮野下2001-1
公式・関連サイトURL:http://sesshu.jp/
常栄寺は、山口県山口市にある臨済宗東福寺派の寺院です。通称「雪舟庭」と呼ばれる庭園は、室町時代に水墨画家の雪舟が設計したと言われ、国の史跡・名勝に指定されていることでも有名です。
今回は、歴史を感じながら美しい日本庭園が楽しめる常栄寺についてご紹介します。雪舟庭の他にも、前庭の無隠(むいん)や南溟庭(なんめいてい)、本堂など、見所は満載です。JR山口線山口駅から車で10分と、アクセスも便利。また、だれでも参加できる座禅体験についても詳しくご紹介します。
目次
常栄寺(山口市)|雪舟が設計した庭園「雪舟庭」など見どころを紹介
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常栄寺の歴史
常栄寺は1563年、毛利元就によって息子隆元(たかもと)の死を弔うため、広島県の吉田郡山城内に建てられました。しかし、関ケ原の戦いに敗れて吉田郡山城を失った毛利氏は、長州の萩城へ移されます。その際に当時、山口にあった国清寺(現・洞春寺)に寺を移して合寺し、常栄寺としました。さらに1863年、長州藩が萩城から山口城へ移された際に、常栄寺も現在の地に移され、隆元の夫人・尾崎局(おざきのつぼね)の菩提寺である妙寿寺と合寺したのです。
しかし、大正15年には火災によってほとんどが焼失してしまいました。本尊である千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ)や宝物などわずかに搬出されたものだけが焼失を逃れます。そして、昭和8年から27年にかけて再建整備され、火災から40年以上もかけて復興されました。
【常栄寺】雪舟庭
もともとこの地にあったのは、室町時代の有力大名である大内政弘(おおうちまさひろ)の別邸がありました。そして別邸を立てる際に、大内正弘は水墨画で有名な雪舟に庭を造るように命じ、寺の北側に雪舟庭が作られました。常栄寺が移転されても、この庭はそのまま維持されたのです。
本堂の北側に約900坪の広さがある雪舟庭は、中央に大きな池があり、周回する遊歩道を歩きながら景観の変化を楽しむことができる池泉回遊式の庭園です。本堂側からは石組みや地形を生かした枯山水の雄大な景色が眺められます。庭園の周囲は木々に囲まれており、西側からは激流の滝を表した石組みを見ることができます。
また、書院があった跡地である東側からは楼閣があったとされる景観が見所です。季節ごとにそれぞれの景色が変わって見えるのも楽しみの一つと言えるでしょう。
【常栄寺】無隠(前庭)
境内の入り口を入ってすぐにある前庭は、「無隠(むいん)」と呼ばれています。常栄寺二十二世である今井任桃(いまいにんとう)老大師がこの寺の新しい住職になった晋山式を記念して、平成24年に作られた新しい庭です。
砂利を用いた枯山水で円形に造られており、滝を表す石組みを設置。入り口である山門から庭を眺めながら歩くと、左側には地蔵堂、右側には鐘楼門を見ることができます。鐘楼門は大正時代の火災を逃れることができたため、当時のままの建物です。
新しい庭と歴史のある建物を一度に眺めることができるため、何百年もの時代の流れを肌で実感することができます。無隠という名の由来は、今井任桃老大師の室号である「無隠窟」から摂られたものです。
【常栄寺】南溟庭
南溟庭(なんめいてい)は本堂の南側に広がる枯山水の庭園。昭和43年に、常栄寺二十世である安田天山(やすだてんざん)老大師が重森三玲(しげもりみれい)に命じて造らせた庭です。
重森三玲は作庭家だけでなく日本庭園史の研究の基礎を築いた研究家としても功績を残している人物。安田天山は重森三玲に「雪舟より下手な庭を上手に作ってほしい」と依頼したエピソードも大変ユニークですね。雪舟庭と見比べてみるのも面白いでしょう。
庭は、雪舟が中国王朝の明から帰国まで渡った大海をイメージして造られました。また、北溟が陰の世界や北の暗い海を意味するのに対し、南溟は陽の世界や光明の世界を意味しています。雪舟が航海した旅路を想像しながら眺めるのも良いでしょう。
【常栄寺】本堂
常栄寺の本堂には、本尊である千手観音菩薩が安置されています。もともとは山口市水の上町にあった国清寺の本尊でもあります。千手観音菩薩は、千の手と千の眼を持ち、苦しむ人々を見つけ救いの手を差し伸べる大きな慈悲を持っている観音様です。
また、それぞれの手に様々な道具をもっており、あらゆる方法で私たちを救ってくれる、とされています。目を閉じ手を合わせて拝むことで、日々の苦しみから救ってくださるでしょう。
本堂の中には、千手観音像の他に昭和天皇も祀られています。そして、この本堂から北側の雪舟庭と南側の南溟庭を眺めることができます。
【常栄寺】地蔵堂
常栄寺の地蔵堂は入り口である山門から入って、前庭の無隠から右側に位置。お堂の中には地蔵菩薩が祀られています。地蔵菩薩は、昔話にもよく登場するため多くの人に知られている菩薩で、お地蔵さまやお地蔵さんという呼び方で親しまれています。
この世にあるとされる6つの世界の、人道・天道・畜生道・地獄道・餓鬼道・修羅道の6道それぞれに地蔵菩薩がいて、各世界を見守っています。6体の地蔵菩薩が並んでいる姿を見たことがある方もいるでしょう。素朴で穏やかなイメージの地蔵菩薩ですが、6つの世界でさまよい続けるすべての人を救済する、という大変偉い仏さまなのです。
地蔵菩薩には、無病息災、交通安全、五穀豊穣、安産、子授け、子供守護、水子祈願、先祖菩提、戦勝祈願など、実に様々なご利益があります。
◎だれでも参加できる座禅体験も
常栄寺では、だれでも参加できる「心を静かにして真実を追求する」座禅体験があります。過去のことを後悔したり、人と比べたりしてしまうのは、心に余裕がなくなってしまっているのかもしれません。座禅体験は自分自身と向き合い、心を穏やかにし、本来の自信ある自分を目指します。
常栄寺での座禅体験は10名から申し込むことができ、時間は1時間ほどです。予約制ですので、事前に常栄寺に必ず問い合わせをしましょう。
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