世界遺産「大板山たたら製鉄遺跡」の観光ポイントを徹底解説します!

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世界遺産「大板山たたら製鉄遺跡」の観光ポイントを徹底解説します!

山口県萩市には「大板山たたら製鉄遺跡」という製鉄所跡があるのをご存知ですか?こちらは2015年7月にユネスコ認定の世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産・製鉄、製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として登録されました。高殿をはじめとする遺構が状態よく保存され、日本で独自に発展した製鉄業の流れを知る上でも貴重な文化財です。大板山たたら製鉄遺跡がある紫福地区には、炭の原料となる木材が豊富にあり、そのため日本古来の製鉄方法である「たたら方式」の製鉄所がこの地に作られました。

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世界遺産「大板山たたら製鉄遺跡」の観光ポイントを徹底解説します!

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大板山たたら製鉄遺跡とは?

大板山たたら製鉄遺跡とは、江戸時代から明治時代にかけて3度操業した製鉄所の跡地です。大井川を利用して運搬した砂鉄を原料にして、豊富な森林から作る木炭を燃焼させてたたら方式により鉄を作っていました。

砂鉄を運び上げた道を「鉄の道」と呼び、作られた鉄も同じ道を逆に運搬して港まで運ばれました。ここで作られた鉄は西洋式軍艦「丙辰丸」を作るのに用いられたことでも知られています。また萩藩内に展開した岩見系たたら遺跡の典型として、史跡名勝天然記念物や国の史跡にも指定。

現在保存されている建物跡は幕末期のものであり、高殿や砂鉄洗い場などを跡地として見られます。

高殿跡

大板山たたら製鉄遺跡高殿跡

出典: nishinomiya / PIXTA(ピクスタ)

製鉄所の内部の中心には「高殿」があります。中央には砂鉄と木炭を燃焼させて砂鉄を鉄に変える「製鉄炉」がおかれており、地下には水分を取り除く構造があり、熱を蓄える工夫もされていました。

製鉄炉の両側にある足踏み式の天秤ふいごでは、絶えず風を送り炭を燃焼させて炉の温度を千数百にまで上げていました。またこちらの高殿には砂鉄を焼いて乾燥させる「砂鉄焙焼炉」もあり、製鉄には欠かせない設備を設置。

製鉄方法としては次の通りです。ふいごを使って木炭の入った炉を高温にして、鉄の酸化物である砂鉄を使い、一酸化炭素による還元反応を起こさせることで鉄を精製していました。炉の底からは「ノロ」と呼ばれる鉄と不純物が混じったものが流れ出て、一種の精錬が行われていたと考えられます。これらの作業は三日三晩から四日にわたって続けられていたと伝えられています。

ほかにも村下と呼ばれる技師長が休憩をする「村下場」やふいごを踏む番子という作業員が休憩をする「番子小屋」なども高殿にはもうけられていました。

砂鉄洗場跡

山口・萩・大板山たたら製鉄遺跡・砂鉄洗い場と復元された東屋

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砂鉄洗場跡では鉄を作る原料である砂鉄を水洗いし、不純物を取り除いていました。砂鉄掛取場とも呼ばれ、鉄を作るのに欠かせない作業場の一つです。鉄が水に沈むという性質を利用して、水に浮かんだ不純物を取り除いていました。

大板山たたら製鉄遺跡で使用されていた砂鉄は、島根県の浜田市より北前船を使って阿武郡奈古の港まで運ばれました。そこから先ほどの鉄の道を通り、陸路で馬を使って大板山に持ち込まれたと伝わっています。

現在、砂鉄洗場跡には復元された東屋が建っています。

鉄池跡

大板山たたら製鉄遺跡・鉄池は精製された鉄を冷やす池のこと

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製鉄炉で精製された熱い鉄の塊をさますための池があったのが「鉄池跡」です。炉を背にして高殿の左手に位置しています。高殿の右手には給水池があり、鉄池で使われる水が貯められていました。

またこちらの大板山たたら製鉄遺跡には「大板山たたら館」という展示休憩スペースがあります。2017年に作られたばかりの建物で、中には大板山たたら製鉄の歴史や遺跡発掘時の様子を伝える資料が展示されています。

その中でも萩藩の絵師によって描かれた、たたら製鉄の絵巻を紹介するビデオは必見。これによって当時の製鉄の様子を詳しく見られます。

元小屋跡

「元小屋跡」では山内で作業をする人々のために仕事や生活にかかわる事務作業をしていました。山内全体を見渡せる高台に位置し、たたら道具を修繕する鍛冶場も隣接。

元小屋跡には1803-18年の文化年間と1854-60年の安政年間の二時期の建物跡があり、それぞれの時代の元小屋とされています。

現地にはガラスに描かれた復元図が表示されています。ガラスを通して元小屋跡地を見ると、建物の大きさがより詳しく分かるようになっています。

アクセス&イベント情報

大板山たたら製鉄遺跡では毎年10月に、ボランティアの方々や福栄文化遺産活用保存会によって「たたら祭」を開催。お祭りではミニたたら操業の実演やたたら太鼓の演奏、地元特産品の販売などをしています。

またこちらでは「鉄の道、ダム湖周遊山菜採り」などのイベントも開催しています。大板山たたら製鉄遺跡を訪れるなら、このようなお祭りやイベントの時期に行ってみるのも良さそうですね。

地元ボランティアの方のガイドも

毎年3月から10月までの期間、9時~17時の間で地元ボランティアの方による日本語のガイドもあります。大板山たたら製鉄遺跡の歴史や施設の説明などを現地で説明してもらえる無料サービスです。こちらは希望日の10日前までに予約が必要となります。

山口県萩市の大板山たたら製鉄遺跡は、2015年7月にユネスコ認定の世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産・製鉄、製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として登録されました。高殿をはじめとする遺構が状態よく保存され、日本で独自に発展した製鉄業の流れを知る上でも貴重な文化財です。大板山たたら製鉄遺跡の見どころを紹介します。

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