日本有数の実業家の邸宅!三重県桑名市「六華苑」の完全観光ガイド

画像出典:KAMUI (CC BY-SA 3.0)

日本有数の実業家の邸宅!三重県桑名市「六華苑」の完全観光ガイド

三重県桑名市にある「六華苑」をご存知ですか。日本有数の実業家であった2代目諸戸清六(もろと せいろく)の邸宅です。洋館は損傷が激しかった部分がありましたが、2014年に修理が行われており開苑当時の姿が再現されています。六華苑にはどんな見どころがあるのか、詳しくご紹介します。

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日本有数の実業家の邸宅!三重県桑名市「六華苑」の完全観光ガイド

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2代目諸戸清六ってどんな人?

2代目諸戸清六は三重出身の有名な実業家です。大正時代から昭和時代にかけて林産業で活躍しました。三重の発展に大きく寄与した名士として知られています。

六華苑とは?大正初期の和洋織り交ざる建築

六華苑とは

六華苑は、東京都にある鹿鳴館やニコライ堂の設計者として知られるイギリス人建築家ジョサイア・コンドル氏が設計した建物です。

大正初期の1913年に完成しており、明治・大正期の貴重な建築遺産として国の重要文化財に指定されています。2ヘクタール近い広さを持つ六華苑には洋館・和館や蔵、回遊式庭園など多くの歴史的な面影を残す建物・施設があります。

和式と洋式の建築様式が見事に調和しており、庭園も国の名勝に指定されています。六華苑は現在一般公開されており、地元の方のみならず、多くの観光客も集ってにぎわいながら憩い・語らい・交流できる空間となっています。

多彩なスタイル内包する「洋館」

六華苑-洋館

ヴィクトリア朝様式の木造2階建て・寄棟屋根に天然スレート葺の洋館です。洋館の角にある搭屋は4階建てでドーム屋根が特徴的です。

庭園に向ってポリゴン状に張り出した1階ベランダと2階のサンルームも特徴です。広いガラス窓から日差しがさんさんと降り注ぎます。1階と2階ではスタイルが違い1階は洋風、2階は洋間に和風の襖が飾られていて和洋折衷な内部を楽しむ事が出来ます。

押入れに作り付けの収納棚などの工夫もされています。1階の車寄せ側のドアは戦災で破損したステンドグラスが改修され、美しい姿を取り戻しています。階段の手すりに施されているハートの矢印模様は遊び心でしょうか。ハートの装飾は他にもありますので、探してみるのも楽しみの一つになります。塔屋になっている3階と4階は非公開です。

貴重な近代和風建築「和館」

和館は、諸戸家が雇い入れた大工の伊藤末次郎が棟梁として腕を振るった木造平屋造り・一部2階建ての建物です。

洋館よりも広い作りになっており、洋館に直に接続しています。和館の周囲には板廊下が張り巡らされており、内庭に面する板廊下と各部屋の間は畳廊下になっています。和館の一の間が来客用の座敷で日本庭園が良く見えます。

洋館とは異なり煌びやかな装飾は殆どなく、水平線が強調されています。ただ、豪商の居宅ですので建材は豪華なものが使用されています。六華苑和館も大正時代初期の近代和風建築の遺構として貴重で、国指定重要文化財になっています。

美しく広大・趣向を凝らした「庭園」

六華苑-庭園

主庭園と内庭があります。

● 主庭園
建物の南側は芝生広場と池が中心の日本庭園です。渓流・滝などが上手に配置されています。この主庭園は18,000㎡もの広大な敷地で一周回ることができるので、見事に手入れされた庭園をゆっくり散策してみてください。主庭園は建設当初、コンドルの設計で噴水を配したバラの洋式円形花壇がありました。この花壇は、大正末期から昭和初期頃の改築時に撤去されており、現在の庭園は揖斐川の流れを取り込んだ和風の池泉回遊式です。六華苑の庭園は2001年に国の指定名勝になりました。

● 内庭
内庭は当初、茶室や待合に合わせた露地風の庭園でした。その後茶室は撤去され、離れ屋が作られており、仏間でしたが現在はお茶室として使用されています。この撤去の改修に携わったのが茶道でも有名な松尾流が監修し、主庭園も含めて携わりました。

旧高須藩陣屋の古跡?「 旧高須御殿」

六華苑の旧高須御殿

六華苑の旧高須御殿は、大正初めの1912年に奥庭の離れ座敷として移築された木造平屋建・入母屋・桟瓦葺です。

現在の岐阜県海津市にあった旧高須藩の陣屋御殿の一部との伝承があり、高須御殿と呼ばれていました。その証のように、高須松平家の資料が額に入れられ床の間に飾られています。伝承が正しければ、旧高須藩陣屋の数少ない古跡ということになります。

当時の暮らしを垣間見る「番蔵棟」

六華苑-番蔵棟

六華苑の番蔵棟は木造2階建・土蔵造りです。内部は四番蔵から七番蔵の4部屋に分かれていて南面と東面に下屋が設けられていて主に衣類を始め、道具など日常的に使用するものを収納していたとされています。

切妻・桟瓦葺で黒色の漆喰仕上げになっています。現在は4つの番蔵の間にある壁に四角い穴が開けられており、連続した部屋としてギャラリーとして利用されています。しかし、廊下を歩いてみるとそれぞれの番蔵にはぞれぞれ別の出入り口があります。つまり、各番蔵は独立して使われていたものと思われます。番蔵棟は1996年に三重県の指定文化財になっています。因みに、一番蔵は和館の奥にあり、また内玄関棟から外に出るとすぐに黒色の二番蔵があり、食器類や家具などがしまってあります。

となりの諸戸氏庭園もおすすめ

出典: Hiroko

六華苑を散策したあとは周辺の観光スポットものぞいて見たいですね。おすすめは諸戸氏庭園です。初代諸戸清六氏が江戸時代の豪商の隠居所跡を買い取り増築した庭園です。

およそ1ヘクタールの庭園は春・秋の年2回開園しています。春は新緑と花菖蒲(ハナショウブ)が見どころで、秋は美しい紅葉を楽しめます。菖蒲池があるエリアは諸戸氏庭園でもっとも古い場所。六華苑と同じように回遊式になっています。さらに御殿のそばには池庭が作られています。この場所はもともとは水田でした。埋め立てられたのち、揖斐川(いびがわ)から流れる水が干満の影響とともに池の水位も変化します。当時は水位が変わる様子を楽しんでいました。

現在は揖斐川からの水門を閉じている関係上、水位の変化は見られません。池庭は江戸時代の庭園とは風情も異なっているのが特徴です。2つの代表する庭園の表情の変化も楽しんで見学してみてください。

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