名称:慧日寺跡(えにちじあと)
住所:〒969-3301 福島県耶麻郡磐梯町大字磐梯字寺西38番地
公式・関連サイトURL:https://www.town.bandai.fukushima.jp/site/enichiji/
平安時代の会津で栄えた仏教寺院「慧日寺(えにちじ)」はご存知でしょうか。東北地方の寺院(建立時期が確かなもの)の中では最古のものとされ、建立をきっかけに会津の地に文化や技術をもたらし、会津の歴史を一気に加速させた史跡です。昭和後期より進められている復元事業は現在も続けられており、慧日寺およびそれを取り巻く歴史の解明が着々と進められています。そんな平安時代の雰囲気や仏教文化に触れられる慧日寺跡についてご紹介します。
慧日寺とは
慧日寺とは、平安時代の初め、今から1200年ほど前に「徳一」という僧によって創建された寺院です。徳一は、京の南都で法相宗について学んだのち、理想の修行の地として会津にたどり着き、磐梯山を奥院としてこの慧日寺を建立しました。天台宗の最澄や真言宗の空海と大論争を繰り広げた僧としても知られています。
民間信仰の中でも特に山岳信仰と強い結びつきをもっていた慧日寺は、東北地方で建立期が明らかになっている寺院としては最古のものとして知られています。また、建立をきっかけにさまざまな文化や技術が会津にもたらされたため、会津仏教発祥の寺としても歴史的価値の大きな寺院です。
明治初期の廃寺となったあとは、昭和45年(1970年)に国の史跡に指定され、現在に至るまで復元事業が進められています。
復元された金堂
慧日寺の整備事業の一環として、平成20年(2008年)に復元されたのが、寺の中心的な建物であった金堂です。金堂は、平成17年から約3年の歳月をかけて復元されました。国の史跡に認定された寺院の中で、中心的な建物の復元としては全国初の事例になります。
平安時代の建築技法そのままに復元されており、材料に関してもできるだけ当時に近いものが使用されています。創建者・徳一の修行風景や仏教に対する思いを肌で感じることができる場所です。現在は一般公開されており、中門・資料館と合わせて見学することができます。
中門
金堂と同時期に復元作業が行われたのが、この中門です。金堂が復元された翌年に完成しました。古代寺院において、中門は寺の外と寺の中心的な存在である金堂を隔て、神聖な空間を作り出す「バリア」のような役割を持っていました。中門の存在によって、金堂ないしは修行空間が守られていたといわれています。
金堂・中門両者の復元によって、慧日寺の整備事業は一気に成果をあげたと言えるでしょう。金堂・資料館と合わせて訪れることで、慧日寺の果たしてきた仏教的役割やその教えの意義をより感じることができます。
仁王門
明治までの戦乱や火災などを経てもなお残存していたのが、この仁王門です。仁王門は、薬師堂や鐘楼が焼失した明治5年(1872年)の火事を免れており、現在までに3回移築されています。
慧日寺建立時はどの場所にあったのかが不明だったという点も合わせると、謎に包まれていながらも、何か強いパワーを持っているのではないかという考えを抱かざるを得ない不思議な建築です。
昭和45年(1970年)の修理の際、柱の根元が切り詰められたことにより、全体の高さがわからない状態になっています。一方で、焼失の難を逃れたという事実は大きく、仁王門の建立時期である近世の慧日寺の様相や技術、文化を解明するための重要な建築物として研究が進められています。
磐梯山慧日寺資料館
慧日寺の復元事業と並行して昭和62年に開館されたのが磐梯山慧日寺資料館です。
こちらの資料館では、慧日寺に関連する有形文化財や民俗文化財の展示や、パネルや模型資料による慧日寺の歴史の紹介などを見られます。慧日寺の保護、整備のための調査資料も展示公開されているため、慧日寺や会津で栄えた仏教文化についての知識を深めることができるでしょう。
入場料は慧日寺跡の金堂・中門と共通になっていますので、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。冬季は休館しているので、訪れる際はご注意ください。
【開館日】
4月1日~11月30日(期間中無休)
【開館時間】
9時00分~17時00分(受付は16時30分まで)
龍ヶ沢湧水
慧日寺に訪れた際にはぜひ足を運んでいただきたいのが、名水百選に指定されている龍ヶ沢湧水です。会津盆地の中間かつ猪苗代湖近くに位置する磐梯町は、「名水のまち」として知られています。磐梯山に降り注いだ雨や雪解け水が湧き出す清水や滝が点在しており、龍ヶ沢湧水はその中でも代表的な湧水地です。
干ばつの際でも決して枯れることがないと言われてきた龍ヶ沢湧水の水は、磐梯山慧日寺資料館の庭園にも引水されています。自然水愛好家の方々でにぎわうこちらの龍ヶ沢湧水で、自然のもつ安らぎをぜひ感じてみてください。
アクセス
【アクセス】
磐梯町駅より車で3分/ 磐越自動車道 磐梯河東ICより車で5分
【駐車場】
あり(50台)
【入場料】(2020年2月15日現在)
一般・大学生:500円(400円)
高校生 : 400円(300円)
小・中学生 : 300円(200円)
駐車場がありますので、慧日寺へは車でのアクセスが良いでしょう。周囲には、会津若松・猪苗代・裏磐梯・喜多方といった観光資源の豊富なエリアに囲まれているため、慧日寺のある磐梯町を訪れる際は、磐梯町を中心に他の観光スポットを訪ねてみるのがおすすめです。
慧日寺が実存していた際の特徴を感じることができる石敷広場も復元されるなど、今まさに歴史の保存・復元が活発になっている史跡です。会津で栄えた仏教文化を感じに、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
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