屋久島トレッキング「縄文杉登山コース」:ウィルソン株~大王杉~縄文杉

屋久島トレッキング「縄文杉登山コース」:ウィルソン株~大王杉~縄文杉

屋久島のランドマークといえば縄文杉。縄文杉は最大級の屋久杉で樹齢は3,000年以上といわれています。日本に自生する杉の中で幹回りが最も太く、その周囲は約16.4m。しっかりと根を張って立つ姿には、毎年多くの台風が襲う屋久島の厳しい自然の中で生き抜いてきた強さが感じられます。今回は縄文杉を見る人におすすめの縄文杉登山コースについて紹介します。

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屋久島トレッキング「縄文杉登山コース」:ウィルソン株~大王杉~縄文杉

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縄文杉登山コースは体力が必要?

縄文杉を見るには往復約20㎞、所要時間約10時間のトレッキングをしなければなりません。縄文杉トレッキングコースはある程度の体力が必要です。屋久島は年間を通して天候が崩れやすく、雨天時はより体力を必要とします。心配な方は普段からウォーキングなど、トレーニングをしておくといいでしょう。

道のりの大半を占める「トロッコ軌道」

登山者を神秘へ誘うかのよう。屋久島のトロッコ道

縄文杉までの道のりの約8割にあたる最初の8㎞は、通称「トロッコ軌道」(※約8km/約2時間半)と呼ばれる森林鉄道。その線路の上をひたすら歩き続けます。

トロッコ軌道の正式名称は「安房森林軌道」。日本で最後となる現役の森林鉄道としても知られています。トロッコ軌道は多くの森林鉄道と同じように、もともとは木材を運ぶための鉄道でした。しかし現在は電力用ダムの保全や、古い切り株の運搬、トイレの汚物運搬、負傷した登山客を運ぶためなどに使用されています。トロッコ軌道は緩やかな上り坂で、景色の変化もあまりないので、この2時間半はかなり長く感じられるかもしれません。比較的平たんな道で、枕木が敷かれているので歩きやすそうにも見えますが、8㎞も歩くと足にかなりの負担がかかってしまいます。そうはいっても長いトレッキングの序盤。ウォーミングアップのつもりでマイペースで歩きましょう。川のせせらぎや標高が高いところからの眺め、少しずつ森の中へと入っていく感覚を楽しんでください。

3,000年以上の命を感じる「三代杉」

三代に渡り命を紡ぐ屋久島・三代杉

トロッコ軌道を歩くことおよそ一時間。巨大な三代杉が見えてきます。

三代杉とは一代目の倒木の上に二代目が育ち、二代目の切り株の上に三代目が育った杉のこと。諸説ありますが、一代目の樹齢はおよそ1,200年、二代目は1,000年、三代目は現在も生きていて350年といわれています。屋久島ではこのような「更新」が多く見られますが、親子三代にわたって命をつないでいる杉は珍しく、三代杉は倒木更新、伐採更新の中でも代表的なものとして知られています。

三代杉が三代合わせると3,000年以上も生きられている理由は、屋久杉が一般の杉の10倍も樹脂があるから。樹脂には金を真持つ働きがあり、腐敗から守ってくれます。自然の中を生きる強い生命力を感じますね。ちなみに三代杉の三代目自身は小さい杉であるため、まだ屋久杉とは呼べません。

厳しい山道が続く「大株歩道」

トレッキング開始から2時間20分ほど行ったところに、本格的な登山道の入り口があります。ここで長かったトロッコ軌道は終了です。

ここから縄文杉まではトイレがないため、ここでトイレ休憩をはさんだ方がいいです。また水分補給、ストレッチなどをして一息つきましょう。ここから先の歩道は通称「大株歩道」と呼ばれ、道沿いには屋久杉の巨木が多く見られます。なかでも縄文杉や大王杉などが有名で、5月から6月頃にヤクシマシャクナゲが美しく咲き誇る様子も見ごたえがあります。ここからは平坦なトロッコ軌道とは違い、いきなり急斜面が待ち構えています。厳しい山道が続くので、より慎重に歩くことを心がけてください。

縄文杉の次に太いと言われる「翁杉」の切り株

屋久島で最も古い切り株と言われる翁杉

大株歩道の入り口からすぐのあたりにある太い切り株は翁杉。400年ほど前に伐採された最も古い切り株といわれています。

屋久島で最も有名な杉の木は縄文杉ですが、その縄文杉に次いで二番目に太い杉がこの翁杉です。昔ここから翁岳が見えたことが名前の由来になっているそうです。翁杉は最近まで力強く立っていたのですが、残念なことに、空洞化した幹の内側から腐敗が進んだことなどから自身や着生植物の重さに耐えきれなくなり、2009年に倒木してしまいました。この辺りでは、伐採でできた広い空間に再生した小杉群が育っていることから、屋久島の自然のサイクルを見て取ることができます。翁杉が立っていた場所からも、いつか新しい杉が生まれるかもしれません。

空を見上げるとハートが見える「ウィルソン株」

屋久島トレッキングで特に人気があるウィルソン株

樹齢推定3000年のウィルソン株という名前は、アメリカの植物学者ウィルソン博士の名にちなんでつけられました。ウィルソン博士は大正3年に屋久島を訪れ、日本の針葉樹の森を初めて世界に紹介した人物です。

ウィルソン株は現在は切り株で、豊臣秀吉が島津氏に命令し、大坂城築城のために伐採させたといわれています。巨木が切り取られた後、根際に3本の小杉が生えました。これを「切り株更新」といいます。株の内部は10畳ほどある巨大な空洞。そこから空を見上げると切り株がハート型に!このコースのフォトスポットのひとつなので、ぜひ写真に収めましょう。

うまくハート型にとるにはコツが必要です。まず、切り株に入ったら右手側にしゃがみます。ハート型に見えなければ少しずつ移動してみましょう。ウィルソン株の辺りは少し広くなっていてベンチも設けられているので、休憩にもちょうど良い場所です。

屋久杉のシンボルとして君臨する「大王杉」

見る人を圧倒する大王杉

ウィルソン株から大株歩道を45分ほど奥に進んだところにあるのが大王杉。屋久島に古くからある屋久杉で、高さは24.7m、周囲は11.1m、樹齢は推定3000年といわれています。

下部には人が入れるほどの大きな割れ目があり、根元部分は空洞になっています。昭和41年に縄文杉が発見されるまでは最大の杉とされていたため、その名にふさわしく屋久杉のシンボルとして堂々と君臨していました。急斜面に立っていて、株の根元の上端と下端では5.3mもの落差があるのですが、、大王杉を見られる場所が谷側から見るため、訪れる人は必ず仰ぎ見る形になります。その力強い姿には、きっと圧倒されるはずです。

まるで手を繋いでいるみたい「夫婦杉」

3m離れた2本の杉が、高さ10mのところでつながっていて、まるで仲良く手をつなぐ夫婦のような杉。高い位置にある右の杉が夫、低い位置にある左の杉が妻とされています。

もともと杉は融合しやすいのですが、離れた杉同士がこれほど高い位置でつながっているというのはなかなか珍しいことです。夫婦で訪れると、夫婦仲良く過ごせるとの言い伝えがあるそう。秋には美しく色づいた、マルバヤマシグレとナナカマドの紅葉を楽しめます。

アクセス(※3~11月までマイカー規制)

近年、縄文杉の登山者が増加しています。環境負荷の軽減と混雑緩和のため、縄文杉トレッキングのスタート地点である「荒川登山口」へは、3月から11月までの間はマイカーで行くことが規制されています。この時期に訪れる場合はバスかタクシーを利用するようにしましょう。また、帰りにバスを利用する場合は、最終バスの時間を考慮した時間配分をする必要があるので気をつけてください。

レンタカーを利用している場合は、屋久杉自然館の駐車場に車を停め、そこから登山バスを利用できます。屋久杉自然観前には約160台分の無料駐車スペースがあります。宮之浦や安房から向かう場合は、直行バスがないので、屋久杉自然館で登山バスに乗り換えなければなりません。事前準備をしっかりして、縄文杉トレッキングを楽しんでください。

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