大迫力の「黒部ダム」を徹底ガイド!五感で楽しむビッグスケールの観光

画像出典:tenjou/PIXTA(ピクスタ)

大迫力の「黒部ダム」を徹底ガイド!五感で楽しむビッグスケールの観光

富山県を代表する観光スポットとしてだけでなく、日本最大規模を誇るダムとして観光客を魅了し続ける「黒部ダム」。工期7年、総工費513億円をかけて行われた黒部ダムの建設は「世紀の難工事」として知られており、約1千万人の作業員と171人の犠牲者たちの努力の物語は、映画『黒部の太陽』として今も語り継がれています。黒部ダムの観光をより有意義なものにするなら、前もって予習しておくのがおすすめ。この記事では黒部ダムの歴史や見どころ、名物グルメなどについて詳しく解説していきます。

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大迫力の「黒部ダム」を徹底ガイド!五感で楽しむビッグスケールの観光

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黒部ダムができるまで

出典: Kentaro Ohno/Flickr

戦後の復興作業が急速に進むなか、関西では深刻な電力不足が発生し、工場や家庭で計画停電が行われていました。「このままでは関東に遅れを取ってしまう」そう考えた関西電力の社長・太田垣士郎は、一刻も早くこの状況を打開すべく「黒部ダム」の建設を決断します。

冬場の積雪量が多い黒部峡谷は、雪解け水が豊富にあるほか、急峻な地形であるため水力発電に最適な土地としてすでに知られていました。しかし、過酷な自然条件が揃った未開の地であったため、工事は資材を運搬するところから困難を極めたのです。

出典: サンダーボーイ/PIXTA(ピクスタ)

資材をヘリコプターで搬入したり、雪山から滑らせたりと様々な方法を試みますが、結局、長野県大町市からトンネル(現在の関電トンネル))を掘り進めることに決定。作業は順調に進んだかのように見えましたが、700mほど進んだ先で大きな壁が立ちはだかりました。※「破砕帯」の項目を参照

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最難所「破砕帯」の掘削を無事に終え、着工から7年の1963年、ついに「黒部川第四発電所(通称:黒部ダム)が完成します。総工費は、資本金の5倍ともいわれる513憶円。作業員の総動員数は1千万人以上で、171人もの尊い命が犠牲になりました。

「破砕帯(はさいたい)」で学ぶ黒部の歴史

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「破砕帯」とは、岩が細く砕けて砂のようになった地層に地下水が溜まって脆くなった場所。関電トンネルの大町側から700mほど掘り進めたところにあったのですが、掘削面からは毎秒660リットルもの水が噴出し、一気に坑内を飲み込んだといわれています。

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工事は手掘りで進められていたため、手足は凍てつき、湧き出る土砂に人や機材が吹き飛ばされることもあったのだとか。作業は60分ごとの交代制で行われましたが、1日に1cmも進めない日が続き、やがて暗礁に乗り上げてしまいます。

この困難を打開したのが、日本が世界に誇る建築技術と現場監督の豊富な知識でした。「冬が来れば湧水量は減る」という言葉の通り、坑内の水は徐々に減って行き、同時に水を抜く作業と破砕帯を固める作業が行われ、ついに破砕帯を突破したのです。

およそ80mの破砕帯を掘るのにかかった月日は、なんと7ヶ月!最も過酷な作業と言われた破砕帯の突破工事でしたが、犠牲者は1人も出なかったそうですよ。

大迫力の放水はいつ見られる?

出典: yu_arakawa/Shutterstock

黒部ダムでは、例年6月下旬から10月中旬にかけて観光放水が行われています。時間帯は時期によって異なりますが、だいたい早朝6:00から夕方17:30頃まで。毎秒10トンもの水が噴出する大迫力の姿を、ぜひ間近で観察してみましょう。

ダム展望台と放水観覧ステージ、新展望広場「レインボーテラス」、ダムえん堤と4つの展望スポットが備えられており、様々な角度から放水を楽しめるのがポイント。天気がよければ、虹がかかる幻想的な姿も見られます。

おすすめの展望スポット

出典: Takashi/PIXTA(ピクスタ)

黒部ダムはどこから眺めても見応えがありますが、初めて訪れる方におすすめしたいのが黒部湖クルーズ。日本一高い場所にある遊覧船「ガルベ」に乗って、雄大な北アルプスの山々とエメラルドグリーンに輝く黒部湖を堪能してみてください。

遊覧船の運航期間は、6月から11月上旬までの約5ヶ月間。タイムスケジュールは時期によって異なるので、乗船予定の方は公式ホームページにて確認しておきましょう。

また、乗船場までは建物2階分ほどの長い階段を降りなければならないので、車椅子をご利用の方や足が不自由な方は充分にご注意ください。

名物「黒部ダムカレー」を食べよう

◆黒部ダムレストハウス

ダムをモチーフにした「ダムカレー」は今や日本全国で食すことができますが、黒部ダムを訪れたのならやはり本場の「黒部ダムカレー」は食べておきたいところ。「黒部ダムレストハウス」では、現在3種類のダムカレーを提供しています。

名物の「黒部ダムカレー」は、ほうれん草ペーストが入ったピリ辛なヒレカツカレー。エメラルドグリーンは緑のルー、放水はポテトサラダ、水しぶきは千切りキャベツで表現されており、遊覧船をモチーフにしたヒレカツがアクセントとなってます。

◆扇沢レストハウス

実は黒部ダムカレーは、「扇沢レストハウス」が元祖。ライスをダムの形にする時に使用するステンレス製の型も、この扇沢レストハウスが特注したものなのです。それが50年以上たった今も引き継がれ、「黒部ダムレストハウス」でも使用されています。

メニューは元祖と呼ばれるアーチカレーのほかに、グリーンカレーとカツカレー、お子様カレーの4種類をご用意。どのカレーも見た目だけでなく味も好評なので、ぜひこの機会にご賞味くださいね。

アクセス(電車・車)

出典: Ankur P/Flickr

黒部ダムへは、長野県大町市にある「扇沢駅」から関電トンネルトロリーバスで約15分です。扇沢駅には大型駐車場が完備されており、車でのアクセスも便利。公共交通機関をご利用の方は、信濃大町駅か長野駅からバスかタクシーを利用しましょう。

【車】(駐車場:無料230台/有料350台)
・長野自動車道「安曇野IC」から、北アルプスパノラマロードと大町アルペンラインを経由して約90分。
・上信越自動車道「長野IC」から、県道長野大町線と大町アルペンラインを経由して約80分。

【バス】
・長野駅東口25番のりばから特急バス「長野-大町-扇沢線」で約100分。
・信濃大町駅から特急バス「大町-扇沢線」で約40分。

◎ここでしか買えないお土産も

破砕帯から湧き出た水を使って作られた「ハサイダー」はお土産に大人気。ミネラル豊富な天然水で作られており、甘さ控えめでスッキリとした味わいが特徴です。黒部ダムのオリジナルグッズを手に入れたいなら「スコップスプーン」はいかがでしょうか?インスタ映えすると巷でも話題のスコップスプーンですが、なんと黒部ダムのものは刻印入り。「黒部ダムカレー」のレトルトも販売されているので、スプーンとカレーを購入して自宅で黒部観光の余韻に浸るのも良いかもしれませんね。

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