名称:宮良殿内
住所:沖縄県石垣市大川178
公式・関連サイトURL:https://bit.ly/36Oy5tD
「みやらどぅんち」という読み方からも沖縄らしさを感じる「宮良殿内」は、琉球王朝における上級士族の邸宅です。戦火を免れ、士族階級の住宅様式が極めて良い状態で保存されていることから、邸宅は国の重要文化財、琉球石灰岩の枯山水庭園は国の名勝に指定されています。貴重な文化財である旧宮良殿内を訪れ、琉球王朝時代にタイムスリップしてみませんか?
目次
旧宮良殿内(みやらどぅんち)|石垣島の上級士族邸宅と琉球石灰岩の庭園
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1. 旧宮良殿内(みやらどぅんち)とは?
「殿内(とぅんち)」というのは、士族の家柄やその邸宅の敬称です。
今回ご紹介する宮良殿内は、宮良家8世の宮良当演(みやらとうえん)が八重山の地頭職に任命されたことを記念して、1819年に建造した格式高い屋敷。『旧宮良殿内』という名称で、国の重要文化財指定を受けています。
建築様式は、首里の貴族邸宅を模して建造された本瓦葺きの寄棟平屋建て。建材にはイヌマキという虫を寄せない硬い木を多用しているため、200年ほど経った今でもしっかりしていてビクともしません。
そんな立派な邸宅であるがゆえ、その当時 "地頭職には分不相応"と、琉球王府から取り壊しの命が幾度となく下されたといいます。取り壊しには従わなかったものの、1875年には本瓦葺きから茅葺きに変更を余儀なくされました。
しかし明治の廃藩置県の後、再び本瓦葺きへと戻されています。
第二次世界大戦で琉球の歴史的建造物がほぼ破壊されたなか、宮良殿内は奇跡的に戦火から逃れました。
1956年に琉球政府が指定重要文化財として保護。1972年の沖縄返還に伴い、日本国の重要文化財に指定されました。現在、琉球士族建築としては、沖縄県で唯一の重要文化財になっています。
2. 石垣と薬医門
宮良殿内は、琉球石灰岩で築かれた立派な石垣に囲まれているので、まずはこの琉球独特の石垣を見てみましょう。
南面に入り口の門があります。門の形式は、邸宅として一般的な薬医門。門の屋根は、琉球仕様の赤瓦で葺かれています。
3. ひんぷん
門をくぐると前庭があり、正面に目隠しとなる築地塀形式の「ひんぷん」が立っています。
「ひんぷん」とは、主に沖縄地域で外部からの視線を遮るための目隠しとして、門と家屋の間に設けられる壁のことです。石を積んだもの、板でできたもの、生垣など種類はさまざま。目隠しのほか、悪霊対策としての目的も兼ねています。
中央部に設けられているのは「中門」。冠婚葬祭の時のみ使用する仏間に通じる門です。
前庭の右手にもひんぷんがあり、母屋の東側に作庭された枯山水庭園は見えないようになっています。
4. 母屋
462坪という広大な敷地に建てられた母屋は、八重山産のイヌマキという槙材を使用した平屋建ての木造建築です。柱は大面取りされ、建物周囲に雨端が設けられています。
宮良殿内は観光地として敷地内を公開していますが、母屋自体は生活を営んでいる現役の家屋です。内部の見学はできませんが、縁側には当時使われていた茶碗や重箱、花瓶などが展示されているのでじっくり見てみてください。
母屋の構造模型と設計図は、石垣市立八重山博物館に展示されてます。
5. 宮良殿内庭園【国指定名勝】
母屋の客間である一番座の東側には、国の名勝に指定されている枯山水の『宮良殿内庭園』があります。
枯山水庭園といっても、石垣島では京都のように白砂を使用していません。サンゴ礁由来の琉球石灰岩を配して枯山水を表現するのが琉球庭園の特徴です。宮良殿内庭園は、城間親雲上(ぐすくまぺーちん)によって作庭、造園されました。
琉球石灰岩を主材料とした5つの築山があり、北が一番高く、南側に向かうにつれて低くなるというデザインがとられています。2と3の山の間には枯れ滝が落とされ、3と4の山の間には石橋が架けられており、4と5の山の間は岩島風。
ソテツやフクギなど琉球植物を配して、自然のままであるかのように見せかけるテクニックも見どころです。
隠れた工夫が随所になされているワイルドな庭園は、見ていて飽きません。
名称:宮良殿内庭園
公式・関連サイトURL:https://bit.ly/2Z1zXMW
6.『万書付集』
宮良殿内には『宮良殿内文書』などの古文書が保管されていました。『宮良殿内文書』には大津波や琉球処分など幅広い資料が掲載されており、八重山の歴史研究における一級資料といわれています。
『万書付集』は、『宮良殿内文書』の諸史料を代表するものの1つ。現在は保全のため、琉球大学に寄贈、保管されています。
名称:『万書付集』
公式・関連サイトURL:https://irdb.nii.ac.jp/00846/0003269051
7. 入館案内
赤瓦屋根の正門をくぐり、受付で拝観料を支払います。パンフレットを受け取り、入館しましょう。
【入館時間】9:00~17:00
【休業日】火曜日
8. 拝観料
旧宮良殿内は、石垣市教育委員会が管理しています。
【拝観料】
・大人 200円
・子供 150円(小学生・中学性・高校生)
※2019年12月現在の情報です
◎アクセス:桃林寺も一緒に観光
石垣市街地にある宮良殿内は、観光や買い物のついでに寄ることもできるアクセス便利な観光スポット。石垣港離島ターミナルから北東方面へ歩いて10分ほどで行くことができます。
宮良殿内から500mほど北西に桃林寺という寺院があるので、時間があれば散歩がてら行ってみてください。一度は大津波で流されたのに、海岸に打ち上げられ戻ってきたという仁王像が、山門の両サイドで訪れた人を歓迎してくれます。力強い姿に不思議なパワーを感じられますよ。
また、八重山で御朱印をもらえるのは、ここ桃林寺と石垣市白保地区にある出雲大社先島本宮の2か所のみ。ぜひ御朱印も拝受してくださいね。
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