スペインが生んだ天才・ピカソの作品を心ゆくまで鑑賞!「ピカソ美術館」

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スペインが生んだ天才・ピカソの作品を心ゆくまで鑑賞!「ピカソ美術館」

現代美術の開拓者として知られるピカソ。彼の作品をメインとする美術館は、故国スペインをはじめフランスやスイス、ドイツにいくつも存在しています。なかでもバルセロナの「ピカソ美術館」は、個人や市の収集品のほかに、ピカソ本人から寄贈された作品も所蔵していることで有名。ガウディと並んで近現代のスペイン芸術を代表するピカソの美術館は、バルセロナ観光の必訪スポットです。早速その魅力をたっぷりとご紹介しましょう。

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スペインが生んだ天才・ピカソの作品を心ゆくまで鑑賞!「ピカソ美術館」

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1.バルセロナで活動したピカソ

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ピカソは、スペイン南部アンダルシア州のマラガ出身です。13歳のときにバルセロナの美術学校に入学し、以後23歳でパリに移るまでバルセロナで数々の作品を制作しました。

ピカソは積極的に若い芸術家と交際し、画道に邁進していたと言われています。多感な時期をこの街で過ごしたことは、彼の作品に大きな影響を与えたことでしょう。

2.開館までの歩み

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「ピカソ美術館」は、バルセロナ中心部ゴシック地区のモンカダ通りにあります。ピカソの友人であり、彼の秘書も務めたジャウメ・サバルテスのコレクションに、バルセロナ市の所蔵する作品群を加え1963年に開館しました。

美術館の建物は、13~14世紀に建てられた富豪の邸宅5軒を改装したもの。開館後にピカソ本人やその家族、友人からも寄贈を受け現在の充実したコレクションとなりました。ピカソが世に出る前の基礎を築いた場所であることから、バルセロナには彼の若い頃の作品が多く収蔵されています。

3.年代別に見る名作たち

ピカソ美術館では、ピカソの幼少期から晩年までの約4300点に及ぶ作品を所蔵しています。年代ごとに特徴を追いながら、コレクションの一部を見てみましょう。

◆少年期

ピカソの父は工芸学校の美術教師でしたが、弱冠13歳の息子の絵を見て、その画才が自身を超えていると痛感したといわれています。たとえば美術館コレクションの一つ『ベレー帽の男』は、14歳で描いたとは思えない繊細さ。その表現技法の成熟ぶりに、ピカソの卓越した才能をうかがうことができます。

16歳の時に父親の指導を受けながら描いた『科学と慈愛』は、なんとスペインの国展で佳作を受賞した記念すべき作品です。ベッドに横たわる婦人の患者を中心に、左右に脈をとる医師とカップを差し出す修道女を対比させたこの絵画は、当時流行した社会的リアリズムに倣っています。

バルセロナ時代の絵画は、今日一般に知られているピカソのイメージと異なり、伝統的でオーソドックスな油絵が主体。若き日を過ごした街だからこそ見られる、彼の原点というべき作品群を鑑賞できるのが、バルセロナのピカソ美術館の醍醐味といえるでしょう。

◆前衛草創期

ピカソは18歳のときに猩紅熱にかかり、一時療養生活を送ります。その後バルセロナに戻ったピカソの作品は、少しずつ独創性と探求心に満ちたものとなっていきます。

この頃の作品では、『長椅子(el deván)』や『退廃的な詩人(Poeta decadente)』などが見どころ。特に後者は友人ジャウメ・サバルテスを描いたものですが、肖像画にはとても珍しい構図が目を引きます。

◆青の時代

1901年、ピカソは19歳にしてパリで初めての個展を開きます。同じ年に親友カサヘマスが自殺したことにショックを受け、ピカソの作品には青色が多用されるようになります。いわゆる「青の時代」の幕開けです。

この時代の作品としては、パリのキャバレーの一幕を描いた『演目の最後(el final del número)』や、ゴッホの影響を受けたという『待つ間/マルゴー(la espera/Margot)』などが収蔵されています。涼やかな青色の裏にある、ピカソの心の繊細な動きを感じながら鑑賞してみましょう。

◆ばら色の時代

1904年にフェルナンド・オリヴィエと出会ったことで、ピカソの作品は一転します。この「ばら色の時代」ないし「桃色の時代」と呼ばれる約4年間は、明るい配色の人物画が数多く生み出された時代です。

バルセロナのピカソ美術館のコレクションでは、『カナルス夫人の肖像(retrato de la señora Canals)』などがこの時期に当たります。

◆キュビズムの時代

20代後半になると、いよいよ私たちがピカソと聞いて思い浮かべるキュビズムの絵画が登場します。キュビズムは対象を分解・記号化し、1枚の絵の中に多方面の視点からの画像を描き込むのが特徴です。

バルセロナのピカソ美術館でとりわけ広くスペースが割かれている作品に、『ラス・メニーナス(Las Meninas)』と呼ばれるシリーズがあります。これはスペイン絵画の黄金時代を築いたディエゴ・ベラスケスの同名の作品を、キュビズムの手法で再構築した作品。

元の絵の要素が分からないくらい大胆に分解されてしまっているにもかかわらず、どこか惹き込まれてしまうのがピカソたる所以なのでしょう。

◆晩年

1973年に91歳で亡くなったピカソですが、晩年まで創作意欲が衰えることはありませんでした。80代後半になった1968年以降は、さらに奇抜で奇天烈な作品を多数制作するように。

もはや何を描いているのかもわからないようなカラフルな絵は、批評家の間でも否定的な論調を生みましたが、当の本人は「この歳になってやっと子供らしい絵が描けるようになった」として意に介さなかったといわれています。

百聞は一見に如かず。ピカソ美術館の『座った男(hombre sentado)』や『絵描の仕事(Pintor treballant)』といった作品を見れば、齢90近い老人が描いたとは思えない迫力に圧倒されると同時に、当時の人々が困惑したのも頷けるでしょう。

4.ミュージアムショップも要チェック

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バルセロナのピカソ美術館を訪れたら、ミュージアムショップも必見です。ピカソの型破りな絵の数々をあしらったグッズであふれ、どれも思わず手にとってみたくなるようなユニークなものばかり!ピカソが好んで着ていたというボーダーの服も売られていますよ。バルセロナ観光の記念に、ぜひピカソグッズを購入して日本で使ってみてください。

5.無料入場日ならお得に楽しめちゃう

ピカソ美術館には入館無料日があります。毎月第1日曜日の終日と、毎週木曜日の18:00~21:30。さらに2月18日、5月18日、9月24日の3日間です。ただし、当然ながら無料の日は大混雑するので入場規制がかかることがしばしば。無料開放日に訪問したい方は、できるだけ早い時間に行きましょう。

逆に混雑が嫌だという人は、無料日を避けて事前にチケットを予約しておくとスムーズに入館できますよ。ちなみに、無料開放の日はピカソだけでなく、その他の博物館やガウディ建築の観光スポットも無料になります。

※情報は2019年9月現在のものです。無料日や入館方法は変更になることもあるので、公式HPで最新情報を確認してください。

6.開館時間

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月曜日 10:00~17:00
木曜日 9:00~21:30
その他 9:00~20:30
※開館時間は変更になることがあるため、公式HPで確認しておくことをおすすめします。

◎確実入場したい方は事前予約を

ピカソ美術館はバルセロナの人気スポットのため、観光客だけでなく地元の人たちも連日数多く訪れます。日曜日ともなるとお昼には長蛇の列で、運が悪ければ入場制限で入れなくなることも。ピカソ美術館は事前予約も可能なので、確実に入館したいという方はぜひチケットを予約しましょう。時間も指定できるので、比較的空いている午前中の早い時刻が狙い目ですよ。

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