名称:蓮華王院「三十三間堂」
住所:京都府京都市東山区三十三間堂廻り657
公式・関連サイトURL:https://www.sanjusangendo.jp/
拝観:定休日なし
【4/1~11/15】8:30~17:00
【11/16~3/31】9:00~16:00
※受付終了は閉門時間の30分前
国宝「三十三間堂」は、成人の日に催される"通し矢"で有名な京都の観光名所です。修学旅行で訪れたことがある方でも、その頃は「わ~、千手観音すごーい」くらいの印象しかなかったのではないでしょうか?でも大人になってから行く三十三間堂は、ひと味ちがいます!三十三間堂の歴史、見どころ、アクセス情報などをわかりやすくご紹介しましょう。
目次
蓮華王院「三十三間堂」長い本堂と千体の千手観音が壮観|京都国宝巡り
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1. 蓮華王院「三十三間堂」とは
三十三間堂(さんじゅうさんげんどう)は京都市街地の南東部、京都駅から1kmほど東にあります。正式名称は「蓮華王院(れんげおういん)」。
南北約120mにもおよぶ長い本堂が特徴で、三十三間堂として親しまれています。
平安時代の後期、後白河上皇は東山の阿弥陀峰山麓から鴨川へ至る広範囲に「法住寺殿(ほうじゅうじどの)」を創建しました。
蓮華王院とは、この広大な敷地の南殿に平清盛が寄進した堂宇の1つです。後白河上皇は二条天皇に位を譲ったあと、ここで院政を行っていました。
当初の三十三間堂は「丹塗り」と呼ばれる鮮やかな外観で、内側も花や雲の彩り豊かな模様で装飾された煌びやかなお堂でした。しかし、1249年の火災で焼失。鎌倉中期の1266年に後嵯峨上皇が再建供養し、その後も室町幕府第6代将軍足利義教などによって手厚く護持・修復され、今に至っています。
2. 国宝「三十三間堂」:本堂の特徴と名前の由来
本堂は、和様入母屋(いりもや)本瓦葺の総ヒノキ造り。南北118.2mという長大な伽藍はまさに壮観!奥行16.4mの平屋建てながら、かなりの迫力です。
本堂を正面外側から見ると、柱の間数は三十五あります。
中央の七間分は、前方に張り出した向拝(ごはい)。柱間(はしらま)は貨幣板扉で、開けると明障子になっています。
内部には廊下に囲まれた内陣があり、その内陣にとてつもない数の観音様がびっしりと並んでいらっしゃいます!ほかにはない圧倒的な空間を体感できますよ。
そして、この内陣の柱間数は"三十三”になるよう造られています。三十三という数は観音菩薩の三十三変化身(へんげしん)に準じたもので、このことから「三十三間堂」と呼ばれるようになりました。
この大規模な木造建築物は、地震や火災から守るために、当時のあらゆる免震法を用いた対策が施されています。
例えば、
・基礎には砂と粘土を層状に重ねて振動を吸収する「版築(はんちく)」を使用
・梁の数を増やす
・柱や長押を揺れに強い組み方にする
など、三十三間堂は当時の建築家たちの努力と工夫の結晶で建造されていることに驚きを隠せません。
遊歩道は、庭園や鐘楼、太閤塀などを見学しながら本堂の外周をぐるりと回れるようになっています。では、本堂北西部分にあたる拝観入口で靴を脱いで中へ入ってみましょう。
3. 国宝「千手観音坐像」:中央に鎮座する湛慶の代表作
お堂の中央に鎮座されている巨像は、国宝の「千手観音坐像」です。1000体の千手観音立像に囲まれて中心にいらっしゃることから「中尊」とも呼ばれています。
像高335cm、手の数42本の木造千手観音坐像は、鎌倉時代に大仏師湛慶(たんけい)が弟子と共に完成させた大作。観音の慈愛を表現した穏やかで張りのある表情は、見る者の心を魅了するでしょう。
この大きな千手観音坐像の裏側には、等身大の観音様がいらっしゃいます。表からは見えませんが、内陣の裏側へ回った時に見ることができます。この千手観音坐像と、背中合わせの等身大の観音様は一心同体!あわせて1体とされているため、三十三間堂の千手観音は合計1001体と数えられています。
4. 国宝「千手観音立像」:前後10列、合計1000体が並ぶ圧巻の光景!
三十三間堂といえば千体観音。国宝「千手観音立像」が有名です。中尊の左右にそれぞれ500体(前後10列×50体)、計1000体の千手観音様が並ばれた姿は、実際に見ると圧巻のひとこと!
千手観音立像には手が40本あり、中尊と同じく穏やかな表情で合掌しています。特に注目すべきポイントは、1000体すべてお顔が微妙に違うこと。だから、会いたい人に似たお顔を見つけることができると言われているんですね。
実際によく見てみると、顔形や表情がそれぞれ異なっていることがわかります。最前列から最後列まで階段状になっているので、前から3~4列目くらいまでなら観音様のお顔を確認することができるでしょう。
◆【期間限定】約1.2mの「秋雲壇」から鑑賞
少しでも後ろ側にいらっしゃる千手観音様のお顔を見たい、全体を見渡したい、と思う方は要チェック!
秋の催事として、期間限定で「秋雲壇」が設置されることがあります。約1.2mの「秋雲壇」に上がれば、少し上の目線から見ることができますよ。
◆「千体観音全尊安置」博物館に寄託されている観音様が勢ぞろい!
千手観音立像1000体の内、東京国立博物館に3体、京都国立博物館に1体、奈良国立博物館に1体、計5体が国立博物館に寄託されています。
それら5体の千手観音立像が2018年10月、三十三間堂に戻りました。1001体がそろったのは26年ぶり!三十三間堂に全尊安置されている様子が一望できます。
5.千手観音の秘密
1000体の観音様は、正式名称「十一面千手千眼観世音菩薩」。困苦の衆生を救うため手を差しのべてくださる、慈悲の象徴です。
実は、千手観音様の全ての手のひらに、1つずつ眼があることをご存じでしょうか?一眼で25の苦しみ世界を見通すことができ、救いがあるとされています。ということは、40本の手がある観音様1体で1000の救い。計1000体で1000×1000、合計100万の救い!ご利益への期待が高まりますね。
6. 国宝「風神・雷神像」
【京都・三十三間堂/風神・雷神像(鎌倉中期)】風神雷神共に、古代インドの自然神でしたが、三十三間堂の2体は風袋を持ち、或いは雷太鼓を背負い、その後の日本での風神雷神のイメージを決定づけた原点と言われます。 pic.twitter.com/OKWAvWkKf6
— 美しい日本の仏像 (@j_butsuzo) August 20, 2022
1000体観音様の前に、国宝の「風神像」「雷神像」「二十八部衆像」が並んでいます。最も入口側に風神像、二十八部衆像を挟んで、一番奥に雷神像が安置されています。
風の袋を抱えたヴァーユという風神は、高さ123cm。馬車で天を駆けて悪神を追い払い、人々に富を授ける神です。太鼓を背負ったヴァルナと呼ばれる雷神は105cmで、水の神といわれています。
躍動感あふれ、威風堂々たる風神・雷神像にも、湛慶が深くかかわりました。これら三十三間堂の風神・雷神像は、後の日本における2神のイメージを決定づけた鎌倉彫刻の傑作です。
7. 国宝「二十八部衆像」
等身大の国宝「二十八部衆像」は、中尊の周りに4体、左右500体の千手観音立像の前に12体ずつ、計28体が安置されています。
千手観音に従って仏教と信者を守護する二十八部衆は、その多くが古代インドを起源とする神。守護神から安産や音楽をつかさどる神までバリエーションが豊富です。
強力な守護神「那羅延堅固像(ならえんけんごぞう)」、矛を突き立ててすさまじい表情でこちらを睨む「毘楼博叉像(びるばくしゃぞう)」、蛇を巻き付けた5つ目の音楽の神「摩喉羅王像(まごらおうぞう)」など、力強く迫力のある像が勢ぞろい。各像の前に説明文が添えられているので、読みながらじっくり鑑賞してください。
風神・雷神像、二十八部衆像などの眼は、まるで生きているかのような迫力を感じることができます。これは、写実性を高める「玉眼(ぎょくがん)」という技法。目に水晶がはめ込まれています。
8. 太閤秀吉と三十三間堂
太閤・豊臣秀吉は、現在の三十三間堂、京都国立博物館、豊国神社を含む広大な敷地に「大仏殿方広寺」を造営しました。
この時に築かれた土塀が「太閤塀」で、方広寺の南門が現在の三十三間堂「南大門」。東寺の立派な南大門は、方広寺の西門が明治時代に移築されたものです。
南大門は現在、三十三間堂の境内東南側にあたる敷地外に建っています。この南大門は重要文化財でありながら、車も通行できますよ!
南大門に接した築地塀も、重要文化財。5本の定規筋(じょうぎすじ)が入った秀吉ゆかりの遺構です。
9. 楊枝のお加持(やなぎのおかじ)
和楽のお隣、三十三間堂へ行ってきました!1年半ぶりくらい?近いといつでも行けるような気がして、なかなか行かないものですね😅
— Nana (@222_Nana_222) January 17, 2021
楊枝のお加持、受けてきましたよ🙏✨✨
なんかスッキリした気分です✨ pic.twitter.com/UaMzsPJgG3
「楊枝のお加持(やなぎのおかじ)」は、成人の日に行われる三十三間堂の重要行事。インド伝来の歴史ある法要で、聖樹とされる楊枝で高僧が参拝客に聖水を振りかけます。
この聖水は病気や頭痛に効くといわれている人気の儀式。楊枝のお加持と通し矢大会の見物でパワーをいただき、元気になって帰りましょう!
10.「通し矢」大的大会:新成人による京都の冬の風物詩
1月17日(日)に三十三間堂で「楊枝のお加持と弓引き初め」が開催。通し矢で知られる「弓引き初め」では、全国から成人を迎えた約2,000名の弓道有段者が集います。詳しくはhttps://t.co/5dvIKqtzis#京都 pic.twitter.com/W5Z4X8aByu
— 京阪電車おでかけ情報【公式】 (@okeihan_net) January 14, 2016
楊枝のお加持と同日に催される「通し矢」は、弓道の「三十三間堂大的全国大会」。毎年ニュースで放映されている伝統的な行事です。
江戸時代には、浮世絵に描かれるほど人気があった通し矢。お堂の軒下を射通し、尾張藩や紀州藩が功名争いをしたといわれています。
三十三間堂では毎冬、この行事を今も受け継いで開催。華やいだ晴れ姿の新成人たちが矢を射る「通し矢大的大会」は、京都の冬の風物詩として人気を誇っています。
11. アクセス・駐車場
三十三間堂へのアクセスはバスや電車が便利ですが、駐車場もあります。
◆駐車場
三十三間堂には約50台ほどの駐車場があるので、車やレンタカーでもアクセスできます。
◆市バス
三十三間堂は京都駅の東、祇園や清水寺の南に位置しています。そのため、利用できるバスの系統や本数が多くて便利。「東山七条」または「博物館三十三間堂前」で下車してください。
◆京阪電車
京阪電車の場合は、特急も停車する「七条駅」が最寄り。下車後、東方面へ歩いて5分ほどです。
◎三十三間堂周辺で寄りたい観光スポット
三十三間堂周辺には、併せて訪れてほしい観光名所がたくさんあります。
七条通りを挟んだ向かい側にあるのは「京都国立博物館」。展示品もさることながら、庭園や建物も素晴らしいので散歩にもピッタリです。
京都国立博物館の北側には「豊國神社」や「大仏殿跡緑地公園」があります。秀吉の念願だった京都大仏は、いわく付きの現存しない大仏。秀吉といえば大阪城が有名ですが、三十三間堂周辺には秀吉にちなんだ場所が多いので巡ってみましょう。
京都国立博物館から東大路通りを挟んだ向かい側、南東角にあるのは「智積院(ちしゃくいん)」。成田山新勝寺など、真言宗智山派の総本山です。長谷川等伯の障壁画をはじめ、国宝や文化財を数多く保有。美しい庭園も必見です。
智積院と妙法院門跡の間には、東山へ向かって上り坂があります。この坂は、京都女子大学へと続く通称「女坂」。女坂の突き当り、565段の石段を上った先には「豊国廟」もあります。
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