名称:クロイスターズ美術館
住所:99 Margaret Corbin Dr, New York, NY 10040
公式サイトURL:https://www.metmuseum.org/visit/plan-your-visit/met-cloisters/japanese
メトロポリタン美術館の分館のひとつ、クロイスターズ美術館は、中世ヨーロッパの大修道院で使われていた回廊や設えを移築して構成したミュージアム。美術品が素晴らしいのはもちろんですが、建物や構内の雰囲気は落ち着いていて、大人の隠れ家のような趣です。
マンハッタン島北部の閑静な公園とハドソン川を望むロケーションが大都会ニューヨークの喧騒と対照的で、大都会ならではの強い刺激に食傷気味な気持ちを、ゆとりと芸術でもって癒したい方はぜひ訪れてみてください。館内には丁寧に手入れされた中庭を囲むカフェやミュージアムショップも併設していて、観光とアート鑑賞が穏やかに楽しめます。
目次
クロイスターズ美術館|NYとは思えない美しい欧風回廊と美術品に注目!
目次を閉じる
1. クロイスターズってどんな美術館?
1938年開館。主に中世ヨーロッパの芸術・建築様式を展示する美術館です。名前の由来になった回廊は12世紀から15世紀にヨーロッパで実際に使われたものを、アメリカ人彫刻家のジョージ・グレイ・バーナードがフランスで購入し自国に移築したものです。その後、慈善家であるロックフェラー2世が購入し、メトロポリタン美術館に寄贈。美術館を普請する際に周囲の緑地と建設費を寄付し、美術館を一般に開放しました。
外観は中世ヨーロッパの修道院か砦のような佇まい。アメリカらしさ、ニューヨークらしさを感じさせないところが、いい意味で錯覚を覚えます。決して大きな美術館ではありませんが、のんびり2時間くらいで見て回れる規模感は、MET本館を見て回る暇がない、時間の限られた旅行者に喜ばれるはずです。
コレクションは中世ヨーロッパの美術品5000点以上。特に有名なのはユニコーンのタペストリーとステンドグラス、回廊と数々の宗教画です。密度の濃いアート体験を得ることができますよ。
2. 絵に描いたような美しい欧風回廊と中庭
クロイスターは英語で「回廊」の意味。名前の通り、美術館の見どころのひとつが、中世ヨーロッパの大修道院から移築された回廊と美しい中庭なんです。手の行き届いた中庭は、専門のスタッフ(学芸員か専門の庭師かはちょっとわかりませんが……)が日々手入れをしているようで、草花の世話をする様子も絵になります。大きなテラスにある中庭から眺めるハドソン川の雄大な景色も来館者に人気です。
3. 儚く神秘的なユニコーンのタペストリー
クロイスターズ美術館でいちばん人気のコレクションがユニコーンのタペストリー。作者は不明ですが、1495年から1505年頃、オランダで制作されたと伝えられています。タペストリーはそれぞれ
・森に入る狩人たち
・見つかったユニコーン
・攻撃されるユニコーン
・身を守るユニコーン
・聖母マリアによって捕らえられるユニコーン
・手にかけられ城に連れていかれるユニコーン
・捕らえられたユニコーン
というテーマがあり、7枚1組で構成。美しいユニコーンが狩人たちに捕らえられる一連の様子は、儚くな神秘的な物語を連想させます。これはキリスト教的な視点から見るに、キリストの受難をモチーフにしていると言われています。
※写真は『捕らえられたユニコーン』
4. 繊細な描写に感心させられるステンドグラス
内装の設えに用いられる鮮やかなステンドグラスも見どころのひとつ。聖母マリアと5人の聖人が描かれた大判のステンドグラスや、繊細な技が利いた小判のもの、ノアやノアの父親が描かれたものなどがあります。12世紀頃に作られ「カンタベリー大聖堂で使用された」と言われる逸品も展示されています。
5. 中世ヨーロッパの美術コレクション
館内には20の展示室があります。回廊や聖堂のような空間的なコレクションから宗教的な装飾品や雑貨まで、形式的にもバリエーションに富んでいます。
スペインのライオンと竜を描いた巨大なフレスコ画や、3000個以上の石灰岩で作られたスペインの「Fuentidueña(フエンティドゥエニャ)」にあったロマネスク様式の教会の一部、ゴシック様式のステンドグラス、中世の最初期に制作されたアーサー王のタペストリーなど、制作期や形式ごとに整理して展示されているので、ひとつの世界観に囚われず、最後まで飽きずに鑑賞できるようになっています。
6. クロイスターズ美術館のアクセス
クロイスターズ美術館の最寄り駅は地下鉄A線「Dyckman Street」駅か「190Street」駅です。190Street駅から行く方がフォート・トライオン公園を抜けてアクセスできておすすめです。
※写真はフォート・トライオン公園の様子
◎ 最後に:メトロポリタンのチケットで入場料が無料
クロイスターズ美術館はメトロポリタン美術館の分館です。メトロポリタン美術館の入場券で分館も見て回れます。来館する方は目の前にあるフォート・トライオン公園も見て帰りましょう。きれいな公園で草花も手入れが行き届いているので、のんびり散策するのにピッタリ。ハドソン川の風景もなかなかの美しさです。歩くのに疲れたら美術館の中庭にあるカフェで休憩しましょう。