足尾銅山で学ぶ日本の近代史|トロッコ電車に乗って坑内探検!

画像出典:へたくそ/PIXTA(ピクスタ)

足尾銅山で学ぶ日本の近代史|トロッコ電車に乗って坑内探検!

かつて「日本一の鉱都」と呼ばれていた足尾銅山は、1610年の銅山発見からおよそ360年の歴史を経て1973年に閉山しました。現在は坑内の一部が一般開放されており、およそ700mにわたって続く坑道の内部をトロッコ電車に乗って見学することができます。日本の近代化を支えた歴史の一部を垣間見れる重要な遺産「足尾銅山」。今回は、その見どころや観光情報についてご紹介していきます。

目次

足尾銅山で学ぶ日本の近代史|トロッコ電車に乗って坑内探検!

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1.足尾銅山とは?

出典: へたくそ/PIXTA(ピクスタ)

「足尾銅山」は、1610年に発見された江戸幕府直轄の鉱山です。幕府は足尾に鋳銭座を設け、当時の代表的な通貨である「寛永通宝」を製造させながら足尾の町を発展させていきました。江戸時代のピーク時には、なんと年間1200トンもの銅を産出していたこともあるそうですよ。

そんな足尾銅山ですが、急激に採掘量が減少すると幕末から明治時代初期にかけてはほぼ閉山状態に。1871年に経営を民間に移行すると閉山の意見なども目立ち始めましたが、およそ10年後の1881年に再び有望鉱脈を発見します。

更に探鉱の技術の向上により有望鉱脈が続々と発見され、急速な発展を遂げた足尾銅山。1900年代初頭には、日本の銅産出量のおよそ40%占める大鉱山となったのです。

2.全長はなんと東京~博多間と同じ約1,200km!

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現在、足尾銅山跡で一般公開されていてる範囲は700m程ですが、実はそれはほんの一部です。足尾銅山の坑道の全長は約1,200km。東京~博多間と同じくらいの距離があります。

出典: さすらいの写真家/PIXTA(ピクスタ)

現在のような掘削機械のなかった時代に、それだけの坑道を掘り進めたというのは驚きですよね。実際に全てを見ることはできませんが、足尾の山々の地下に1,200kmにも及ぶ坑道があると思うと、当時の作業の過酷さを感じます。

3.掘削方法の進化にも注目

かつては全て手作業で行われていたという掘削作業。鉱石を掘る「掘り大工」や鉱石の選り分けをする「手子(てご))」、選り分けられた鉱石を運び出す「負夫(おいふ)」などの役割を分担しながら、500名以上の労働者が過酷な重労働をしていました。

明治時代に入り足尾銅山が民営化されてからは、徐々に技術が進化し一気に坑道内の電力化が進みます。大正時代には「足尾式鑿岩機(さくがんき)」が開発され、それまでの手彫り作業から機械掘りへと変わり、飛躍的に作業効率が上がりました。

さらに昭和時代に入ると、鑿岩機で開けられた穴を爆破しながら岩を砕き進むとった風に作業の合理化が進み、労働環境も少しずつ改善されていったのです。

4.江戸城や東照宮の建築にも使用された銅

出典: Stossi Mammut/PIXTA(ピクスタ)

足尾銅山で採掘された銅は、渡良瀬川を南下しながら関東平野を渡り、利根川の水路を利用して江戸へと運ばれていきました。この銅の道は「あかがね街道」と呼ばれ、沢入(そうり)・花輪・大間々・大原・平塚の5つの宿と共に大いに賑わったと言われています。

足尾銅山の銅は様々な歴史的建造物に使用されていますが、その中でも代表的なのが日光東照宮。さらに江戸へと運ばれた銅は、徳川家ゆかりの増上寺や江戸城、上野の寛永寺の建設の際にも使用され、後にオランダや中国などへも輸出されながら近代日本の繁栄を支えたのです。

5.「公害」という悲しい歴史

出典: 内蔵助/PIXTA(ピクスタ)

足尾銅山の歴史を語る上で避けられないのが「足尾銅山鉱毒事件」。実は現在もその影響が残されていると言われています。鉱毒による被害は、まずは渡良瀬川に生息している鮎の大量死という形で表れました。

精製時に発生した鉱毒ガスが酸性雨を降らせ、さらに森林伐採を続けたことにより足尾銅山周辺の木々が減少。やがて土砂が崩れ、その崩れた土砂が渡良瀬川へとなだれ込み何度も洪水を繰り返したのです。

足尾の木が枯れ始めると、渡良瀬川から取水する周辺の田園の農作物が枯れ、鉱毒被害の範囲は足尾周辺に留まらずどんどん拡大されていったのだとか。

環境被害が認められてからは、砂防ダムの工事や森林の緑化が始まりましたが、現在に至っても足尾の緑化が進んでいるのはごく一部のみ。2011年の東日本大震災後には、渡良瀬川から高濃度の鉛が検出されるなど今も様々な被害が報告されています。

6.足尾銅山のアクセス方法

出典: 浦部高明/PIXTA(ピクスタ)

【電車】
わたらせ渓谷鉄道「通洞駅」から徒歩約5分。

【バス】
JR日光駅/東武日光駅から市営バス「双愛病院行き」で約50分。バス停「銅山観光入口前」から徒歩すぐです。

【車】
日光宇都宮道路「日光IC」から約30分。駐車場は無料で利用できます。

◎最後に:坑内は寒いので服装に注意!

足尾銅山坑内は夏場でもひんやりとしています。奥に進むほど外部との気温差が大きくなるので、何か羽織れるものを一枚持って行くことをおすすめします。また、坑内では所々で水滴が落ちてくる箇所もあり、足元が滑りやすくなっているので歩きやすい靴を履いてお出かけくださいね。

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