アートで注目の京都「岡崎」。美術館とオシャレスポットを観光散歩

アートで注目の京都「岡崎」。美術館とオシャレスポットを観光散歩

「岡崎」と呼ばれる京都市東部の平安神宮一帯は、美術館が集まったアート&カルチャーで人気のエリア。このコンパクトな岡崎エリアの中で、多彩なアートを観賞し、京都の伝統産業や能楽などの文化にふれることができます。

琵琶湖疎水沿いや公園を散歩したり、動物園で遊んだり。平安神宮や南禅寺など、京都の観光名所まで巡れるのが岡崎エリアの魅力です。観光の休憩には、美術館のカフェや、オシャレなパークプラザがおすすめ。そんなアートの街、京都・岡崎エリアの見どころと最新情報をご紹介します。

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アートで注目の京都「岡崎」。美術館とオシャレスポットを観光散歩

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1.岡崎エリアの中心ブロック、各施設の位置関係をチェック!

京都市岡崎エリア空撮マップ

岡崎エリアの場所はざっくりいうと、鴨川より東、銀閣寺と祇園の間あたりです。画像は、岡崎エリア中心部の空撮写真。まずはこの写真を見ながら、主要スポットや施設の場所や位置関係を確認してみましょう。

画像上部、森のような緑の部分は平安神宮。中央を南北に通っているのが神宮道(じんぐうみち)で、朱色が鮮やかな平安神宮の大鳥居が目立っています。

大鳥居の右側、緑色の屋根が京都市京セラ美術館、大鳥居の左側手前の建物が京都国立近代美術館。その左の大きな正方形の建物は「京都市勧業館みやこめっせ」です。

正方形の京都市勧業館の北に、複数の建物が集まっている場所が見えます。ここに京都ロームシアター、パークプラザ、ロームスクエア、京都市美術館の別館があります。

京都岡崎 琵琶湖疎水

また岡崎エリアには、京都市の水源である琵琶湖疎水が流れています。空撮写真の京都ロームシアターや京都市勧業館の西側、京都国立近代美術館と京都市京セラ美術館の南側に流れる、川のように見える水路が「琵琶湖疎水」。琵琶湖疏水については、琵琶湖疏水記念館の見出しで後述します。

2.京都市京セラ美術館(旧:京都市美術館)

京都市京セラ美術館(旧:京都市美術館)

岡崎エリアで今最も関心が集まっているのは、2020年5月26日にリニューアルオープンした「京都市京セラ美術館」です。

1933年(昭和8年)に開館した「京都市美術館」は、日本に現存する中で最も古い帝冠様式建築の公立美術館。今回のリニューアルでは、芸術性に優れたクラシカルな建物の魅力を守りながら、建築家の青木淳氏と西澤徹夫氏デザインによる革新的改修・増築された意匠にも注目の美術館です。

京都市京セラ美術館 京セラスクエア

美術館正面は「京セラスクエア」という開放的なスロープ状の広場になり、メインエントランスは地下1階に変わります。そして印象的なのは、エントランス前の「ガラス・リボン」。京都市京セラ美術館の新しいシンボルともいえる、流線型の透明なファサードです。

館内の中心となるのは、旧大陳列室の「中央ホール」。メインエントランスから大階段でつながり、各フロアや日本庭園などへ移動する中核部分となるのがここ。中央ホール両側の非公開だった中庭は、オープンな「天の中庭」と、ガラスの大屋根から自然光が差し込む「光の広間」に一新されています。

◆京都市美術館 別館

京都市美術館 別館

旧:京都市美術館本館は「京都市京セラ美術館」としてリニューアルオープンしましたが、別館は京都市美術館として開館しています。場所は、京都市京セラ美術館から北西へ徒歩数分、ロームシアター京都の東側。入場無料の展覧会もあるので気軽に行ってみてくださいね。

3.京都国立近代美術館

京都国立近代美術館と琵琶湖疎水

琵琶湖疎水沿いに建つ「京都国立近代美術館」は、平安神宮大鳥居のすぐ近く、京都市京セラ美術館から道路を挟んだ西側にあります。静かな内部に足を踏み入れれば、現実から少し離れられるような空間が広がっています。

京都国立近代美術館の特徴は、京都を中心に関西で活躍したアーティストの作品を所蔵・展示していること。12000点を超える所蔵作品の中でも、工芸と日本画に重点を置いています。コレクション・ギャラリーでは、日本画、洋画、版画、彫刻および陶芸、染織、金工、木竹工、漆工、ジュエリーなどの工芸、写真等の中から適宜展示替を実施。日本の近代美術の代表作や記念的な作品を中心に、欧米の近・現代の作品もあわせて展示しています。

京都国立近代美術館 東山魁夷展

例年4~6回の特別展、企画展、コレクション展などを開催。マニアにはたまらない展覧会が次々と企画されていますよ。

京都国立近代美術館の1階にはミュージアムショップとカフェがあります。ミュージアムカフェ「café de 505」のテラス席で、景色を眺めながらティータイムはいかがでしょう?豆乳ワッフルや自家製生パスタが人気で、美術館観覧チケットが無くても利用できますよ。

4.細見美術館

細見美術館

出典: Asturio Cantabrio (CC BY-SA 4.0)

ロームシアター京都から琵琶湖疎水を渡った西側、二条通りに面した角に「細見美術館」があります。大阪の実業家として知られる細見家3代が収集した美術コレクションを展示するため、1998年(平成10年)に開館しました。デザイン設計は、建築家の大江匡氏。外観は、和にモダンを取り入れた町家をイメージ。地下2階・地上3階建の建物で、中庭が吹き抜けになっています。

平安時代後期『愛染明王像』、桃山時代『吉野花見図』など重要文化財の絵画をはじめ、葛飾北斎の『五美人図』や、伊藤若冲(じゃくちゅう)の『糸瓜群虫図』など貴重な美術作品を多数収蔵。公益財団法人細見美術財団が管理・運営しています。

こぢんまりとした美術館ですが、各閲覧室が自動ドアで仕切られていて、部屋を移る度に違う空気感に包まれるのも細見美術館が多くの人々を魅了するポイント。有名な芸術家にフォーカスした特別展を定期的に催したり、ギャラリートークなどのイベントを積極的に開催しています。

館内にはカフェやレストランのほか、セレクトショップ、茶の湯体験もできる本格的な茶室も併設されています。
「CAFÉ CUBE」ではパスタやピッツァ、スイーツセットが人気です。

5.野村美術館

京都 野村美術館

「野村美術館」は、今までご紹介したエリアから800mほど東、南禅寺北側にある綺麗な美術館です。野村證券、旧大和銀行などの創業者である野村徳七のコレクションを核として1984年に開館、 2018年にリニューアルオープンしたばかり。鎌倉時代の絵画『佐竹本三十六歌仙』や、工芸品の[千鳥蒔絵面箱』など重要文化財、茶道具、能面など約1700点を所蔵しています。

野村美術館へ訪れるなら、茶道具を鑑賞しながらお抹茶と京都の生菓子をいただいてみませんか?イス席でお茶をいただける立礼茶席(りゅうれいちゃせき)なので、気軽に利用できます。

※野村美術館は通年開館していませんので、観光される際には展覧会情報をご確認ください。

6.京都伝統産業ミュージアム(旧:京都伝統産業ふれあい館)

「みやこめっせ」京都伝統産業ふれあい館

出典: mariemon (CC BY 3.0)

「京都伝統産業ミュージアム(旧:京都伝統産業ふれあい館)」は、京都市勧業館「みやこめっせ」の地下1階にあります。

京都の伝統的工芸品を約74品目500点ほど集めて紹介する常設展示、京都の伝統工芸品を展示する博物館仕様のギャラリーがみどころ。伝統工芸品制作体験や職人実演見学メニューも人気があります。

京鹿の子絞り(かのこしぼり)の絞り染体験、京こま制作体験など、2週間前までに予約すればほとんどのメニューが体験可能。日曜開催の摺型友禅染(すりがたゆうぜんぞめ)体験なら、予約しなくても体験できます。職人実演見学メニューは、京象嵌(ぞうがん)、和蝋燭(わろうそく)、綴織(つづれおり)など実演スケジュールが決まっているため、公式サイトで確認して時間を合わせましょう。
▶職人実演スケジュール
 
体験メニューは有料ですが、京都伝統産業ふれあい館は自由に入場できます。ミュージアムショップ「京紫苑(きょうしおん)」には、京都の伝統的な工芸品や、西陣織の長財布、ネクタイ、バッグ、ミニ巾着などの商品がそろっているので、お土産選びにもおすすめです。

7.京都観世会館

「能」と「狂言」はユネスコの無形文化遺産に登録されているのですが、見る機会はなかなかありませんよね?ちょっと敷居が高い能や狂言の公演を、気軽に鑑賞できる能楽堂が岡崎にあります。京都国立近代美術館の向かい側、琵琶湖疎水を挟んだ南側にある「京都観世会館」は、京都市民に長年親しまれている能楽堂。有料公演だけでなく無料公演もあるので、スケジュールをチェックしてぜひ立ち寄ってみてください。

2階には、能装束、舞台で使われる小道具などを展示。喫茶やお食事処、売店もあります。築年数50年を超える能楽拠点である京都観世会館で、京都の伝統芸能を体感してみましょう。

8.ロームシアター京都

ロームシアター京都

京都を代表するコンサートホール「京都会館」が2016年にリニューアルオープンし、「ロームシアター京都」として生まれ変わりました。ロームシアター京都には、コンサートやオペラ、ミュージカルなど総合舞台芸術の公演に対応できる約2000席のメインホールと、約700席のサウスホール、約200人収容可能なノースホールがあり、多彩なプログラムを実施しています。

そんなロームシアター京都が注目されるもうひとつの理由は、オシャレ空間の「パークプラザ」。1階の「京都岡崎 蔦屋書店 スターバックスコーヒー ブック&カフェ」と3階の「BOOK & ART GALLERIA」はイチオシ!ぜひ足を運んでみてください。2階のカフェ&レストラン「京都モダンテラス」もオススメです。

9.無鄰菴(むりんあん)

無鄰菴

国指定名勝の「無鄰菴(むりんあん)」は、山縣有朋(やまがたありとも)の別荘です。南禅寺界隈は琵琶湖疎水の恩恵で歴史ある立派な別荘が多いことで知られていますが、そのほとんどは非公開。その中で公開されている無鄰菴はとても貴重なので、ぜひ岡崎の観光プランにぜひ入れてみてください。

無鄰菴の庭園は、七代目小川治兵衛が作庭を担当。山縣有朋が伊藤博文、桂太郎、小村寿太郎らと戦争について話し合った「無鄰菴会議」は、ここ無鄰菴で行われました。洋館2階の会議が行われた部屋は、当時のまま保存されていて見学できます。

10.琵琶湖疏水記念館

琵琶湖疏水記念館

この記事の中で「琵琶湖疎水」という言葉が何度が出ていますが、「疎水(そすい)」ってナニ?と思った方も多いのではないでしょうか。琵琶湖疎水は京都市の水源として非常に重要なもので、南禅寺や岡崎エリアに別荘や庭園が多い理由にもなっています。そんな琵琶湖疎水という大プロジェクトについて紹介している施設が「琵琶湖疏水記念館」です。

琵琶湖疏水がどのようにして造られ、どのように京都を発展させたのか?また、現在の琵琶湖疏水の活用方法、疏水沿線の名所なども紹介しています。歴史や意義を知ることができれば、岡崎エリアを流れる琵琶湖疏水の見方がきっと変わりますよ!入館は無料です。

11.岡崎へのアクセス

京都岡崎「京都会館美術館前」バス停

京都市東部の岡崎エリアは、地下鉄かバスでのアクセスが便利です。京都市営地下鉄の場合は、東西線の東山駅がおすすめ。京都駅や阪急の烏丸駅からは、地下鉄烏丸線に乗って烏丸御池駅で地下鉄東西線に乗り換え、東山駅で下車します。

市バスの場合はエリアのどこから観光するかにもよりますが、本数の多い東大路通を南北に走るバスなら「東山二条・岡崎公園口」バス停で下車。平安神宮や岡崎方面に入るバスなら、「岡崎公園ロームシアター京都・みやこめっせ前」や「岡崎公園 美術館・平安神宮前」など目的の場所に近いバス停で降りると良いでしょう。

岡崎エリアには平安神宮や南禅寺など京都を代表する観光名所があり、近くには金戒光明寺や哲学の道、知恩院、丸山公園、祇園など枚挙に暇がありません。

12.観覧料金、休館日について

京都市京セラ美術館

ほとんどの美術館では、展覧会によって観覧料金が変わります。また、展示作品の入れ替えなどで臨時休館することも珍しくありません。事前に、最新情報を公式サイトで確認してからスケジュールを立てましょう。

休館日は一般的に毎週月曜日の美術館や施設が多く、月曜日が休日に当たる場合は翌日が休館になるようです。また年末・年始もほとんどの場合休みになります。

◎京都市内の移動・オトク情報

京都市内の移動には、地下鉄・バス一日券を利用すると便利です。市バスは市民の足であり縦横無尽にたくさん走っていますが、観光客にとってはわかりにくくて乗り間違えることもあります。しかし乗降自由の一日券であれば、乗り継ぎながら岡崎方面へ近づいていくことも可能です。

さらに、地下鉄・バス一日券を提示すると、平安神宮や永観堂、無鄰菴、京都市動物園などの料金割引を受けられておトク!バス運転手やバス停にいる人たちに尋ねながら、京都観光を楽しんでくださいね。

※記載は2024年1月の情報です。お出かけの前に、各公式サイトで最新情報をご確認ください。

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