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世界遺産に登録されたことで、外国人にも人気の観光地となった紀伊半島熊野地方。熊野三山とそこへ通じる参詣道を中心に、自然と信仰が織り成すさまざまな観光スポットが点在しています。熊野灘に面する三重県熊野市にも、世界遺産の構成資産をはじめ、魅力的な観光名所がたくさんありますよ。ここでは、熊野市内の見どころを8選にまとめてご紹介します。

1. 世界遺産・熊野古道

出典： ユイ / PIXTA(ピクスタ)

熊野と聞いて思い出すのは、なんといっても世界遺産の熊野古道ですよね。正式名称は「紀伊山地の霊場と参詣道」といい、1万2千ヘクタールにおよぶ広大な範囲が登録されています。

しかし、熊野三山をはじめとる霊場の多くは、実は熊野市のある三重県ではなく和歌山県にあります。熊野市内では、参詣道の1つ「伊勢路」とその沿道の名勝、および花の窟神社が構成資産に含まれています。

いずれも紀勢本線沿いにあるのでアクセスも便利！世界遺産の観光スポットを順に取り上げてみましょう。

◆鬼ケ城と獅子巖

出典： yasuyuki / PIXTA(ピクスタ)

熊野市街から歩いて行ける鬼ヶ城（おにがじょう）と獅子巖（ししいわ）。どちらも熊野灘の厳しい荒波が生み出した奇岩の観光名所です。

とくに鬼ヶ城の断崖に沿って設けられている遊歩道は、波しぶきを間近に感じられてとってもスリリング！山上には本物の戦国時代の城跡があり、太平洋の水平線が一望できますよ。

◆花の窟神社

出典： 安ちゃん / PIXTA(ピクスタ)

獅子巖近くの「花の窟（はなのいわや）」は、『日本書紀』の神代巻上に由来が記されていることから、日本最古の神社といわれています。神社といっても社殿はなく、ご神体とされる巨岩「磐座（いわくら）」がむき出しになっています。

岩の麓の「ほと穴」は、国産みの神伊弉冉尊（イザナミノミコト）の墓所と伝わるところ。磐座から海に向かって縄綱が張られていて、2月2日と10月10日には掛け替えの神事が行われます。

◆七里御浜

出典： 安ちゃん / PIXTA(ピクスタ)

熊野灘というと険しいリアス式海岸のイメージですが、鬼ケ城脇から22kmに及ぶ七里御浜は、実は日本一長い砂礫海岸！荒波にももまれて磨かれた色とりどりの粒石は、アクセサリーにも加工されています。

どこまでも続く浜辺は、裸足で歩くと気持ちいいですよ。山越えの巡礼者も、この景色にさぞ心が和んだことでしょう。

◆松本峠

出典： 安ちゃん / PIXTA(ピクスタ)

熊野古道といえばの石畳のコースは、熊野市内にもいくつかあります。なかでもおすすめなのが、鬼ヶ城裏手の松本峠越え。山道には苔むした石段が続き、古道の風情たっぷりですよ！

峠の東屋からは、熊野古道随一といわれる七里御浜の絶景が広がります。そのまま鬼ヶ城に下りることもできるので、気軽に歩ける区間です。

◆二木島峠道・逢神坂峠

もう少し本格的に歩きたいという人には、新鹿駅と二木島駅の間の二木島峠・逢神坂峠コースがおすすめ。約5.5kmのほぼ全区間に石畳が残っていて、2つの峠を越えるので適度なアップダウンも楽しめます。

逢神（おうかみ）の名は狼がよく出没したからともいわれ、両峠間には害獣除けの猪垣も見られます。

2. 丸山千枚田

出典： 安ちゃん / PIXTA(ピクスタ)

旧紀和町の山中にある丸山千枚田は、日本の棚田百選に選ばれた人気の観光名所です。一時は田んぼの数が530枚まで減少しましたが、現在は地元の復興活動やオーナー制の導入などにより、本当に千枚を超える1,340枚を数えます。

無数の段々田んぼに水が張る初夏や、黄金色の稲穂が収穫を待つ9月には、とくに幻想的な風景を楽しむことができますよ。谷筋の棚田を囲むように展望所がいくつか散在しているので、ぜひ時間をみつくろって、美しい棚田の景色をいろいろな角度から味わってみてください。

3. 瀞峡

出典： 安ちゃん / PIXTA(ピクスタ)

熊野市の隣には、日本で唯一1村まるまる都道府県の飛び地となっている和歌山県北山村があります。これは周囲の熊野山地があまりに険しく、かつては陸路を行くより熊野市との境を成す北山川を下って、和歌山県の新宮市にアクセスする方が近かったことによるもの。そんな北山川の峡谷も、今では「瀞峡（どろきょう）」として立派な観光名所となっています。

瀞峡の名物といえば、ウォータージェット船での奇岩巡り！墜落岩に松茸岩、天柱岩に大黒岩と、次から次に巨岩・断崖が現れます。熊野市側にある小川口乗船場からは、所要時間約1時間～1時間55分の3つのコースで運航されています。

4. 赤木城跡

出典： 安ちゃん / PIXTA(ピクスタ)

丸山千枚田北方の山里に、忽然と現れる立派な石垣の城跡。築城の名手として知られる藤堂高虎が、豊臣秀吉の弟秀長の命で建てたとされています。奥熊野の土豪たちは支配者に従順とはいえなかったため、壮大な城郭を築いて権力を見せつける必要があったのです。

それでも大坂の陣に乗じて、地侍たちの大規模な一揆が発生しました。しかし、この北山一揆は当時の領主浅野氏によって鎮圧され、363名の残党が赤木城を望む田平子峠で処刑されました。

そんな悲しい歴史の残る城跡も、今ではきれいに整備された観光スポット。本丸からは赤木の里や熊野の山並みが一望できるほか、春には城内に植えられた桜の若木が、累々と残る石垣を彩ります。

5. 布引の滝

出典： k-hiro / PIXTA(ピクスタ)

熊野山地の奥の奥、秘境とも呼ぶべきところにある布引の滝は、日本の滝百選にも入っている隠れた観光スポット。名前の通り1反の白布を下ろしたような美しい名瀑で、見える部分で3段、全体では4段から成っています。

階段を下りれば滝つぼまで近づくことができ、霊峰熊野に連なる流水の、清く澄んでいるさまを実感することができますよ。

周辺には荒滝・隠れ滝・八丁大滝と涼やかな優瀑がいくつかあるので、じっくり滝めぐり観光を楽しむのも良いですね。

6. 楯ヶ崎

出典： Buuchi / PIXTA(ピクスタ)

熊野市北端の二木島湾に突き出た楯ヶ崎は、柱状節理と呼ばれる角柱状の岩々でできた島のような岬。神武天皇が東征で上陸したところと伝えられるほど、神々しさと荒々しさを兼ね備えた観光スポットです。

遊歩道が整備されているので歩いて行くのも良いのですが、せっかくなら楯ヶ崎観光遊覧船がおすすめ！楯ヶ崎にはいくつもの海蝕洞があり、とくに「青の洞窟」や「海金剛」と呼ばれる奇岩の洞穴は、船でしか見ることができません。

観光遊覧船は事前申し込みが必要で、大泊の松崎港から出航しています。所要時間は約1時間10分で、観光名所の鬼ヶ城も巡りますよ。詳しくは熊野市観光公社のHPをご覧ください。

7. まぐろ養殖エサやり体験

出典： commons.wikimedia.org

日本人ならみんな大好きマグロ！値段や流通量の安定のためには、マグロの養殖は欠かせません。二木島湾にもマグロの養殖場があり、ここではマグロに餌を与える作業を体験することができます。間近で餌に群がるマグロは、水族館で見るよりさらに迫力があって動きもダイナミック！おいしいトロや赤身になるよう、気持ちを込めて餌を撒きましょう。

エサやりの後は、地元伝統のたこかご漁も体験できます。前日に特殊なかごを仕掛けて引き上げる漁法で、タコのほかにもカワハギやカニ、ベラなども獲れますよ。ゲットした魚はすべて持ち帰り可能！熊野観光のお土産に、自分で獲った新鮮な魚なんてシャレてますね。

◎まとめ

熊野市内の世界遺産関連の観光スポットは、JR紀勢本線に沿って集まっています。この点は、和歌山県側の熊野古道に対して大きな観光の利点といえるでしょう。

また世界遺産以外にも、棚田百選や日本の滝百選の観光名所など、熊野地方ならではの見どころがたくさんありましたね。熊野三山を観光して余裕があれば、ぜひ熊野市にも足を運んで観光を楽しんでください。

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