名称:ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスール
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/750
アフリカ北西部に位置するモーリタニアには、およそ1000年前に建設された伝統的な集落があります。世界遺産ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスールは、12世紀から16世紀にかけてイスラム文化の中心となるほど繁栄していました。長い歴史のある町は、今もなおその雰囲気を感じることができるほど良い状態で保存されています。
日乾煉瓦を使用することで、浸食されることなくその姿を守り続けてきた集落は見どころ満載。今回は、そんなモーリタニアの世界遺産ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスールについてご紹介します。
目次
世界遺産ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスール
ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスールとは?
出典: Homo Cosmicos/shutterstock
ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスールは、北方からの交易路の要所であり古くから中継貿易で栄えていました。モーリタニアの中で、イスラム貿易商のオアシスとして11世紀頃に建設された伝統的な集落です。
中心にイスラム教の礼拝施設であるモスクがあり、その周囲を家や倉庫が囲んでいるという配置が特徴。そして防御の観点から全体が城壁に囲まれており、中には山に建設されているものも発見されています。この4都市は12世紀から16世紀にかけてサハラ地域のイスラム文化の中心となるほど繁栄しており、さらにはイスラム教のみならず15世紀にはヨーロッパの貿易の拠点になりました。
しかしながら16世紀以降の交易路が変更されたこと、またガーナ王国が滅亡しアラブ系の民族であるベルベル人の支配が500年以上続いたことが原因で、これら4都市は衰退していきました。なおこの4都市に建設されたクスールは、過去の文化的伝統を我々に伝えている点や、その独特な建築様式などが良好な状態で保存されている点などが評価され、1996年には世界遺産に登録されています。
ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスールへのアクセス
ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスールは、それぞれ別の場所に位置する都市のため、全てを一日で周りきるのは困難です。モーリタニアの首都ヌアクショットから、ウアダンまでが約600km、シンゲッティまでが約500km、ティシットまでは約600km、ウワラタまでは約1000km離れています。
ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスールのおすすめポイント2
建築物
ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスールの魅力の一つが、今もなお保存状態が良く、当時の建築物や街並みを堪能できることが挙げられます。その要因となっているのが建材。クスールの建材は、サハラ砂漠に近く降水がとても少ないため、雨による浸食を受けにくいという環境を利用して、日乾煉瓦を使用しています。ごくまれに石が使用されていますが、ほとんどの場合日乾煉瓦によって厚い壁を造りあげました。
砂塵などの浸食はありますが、日乾煉瓦を使用することにより浸食されることもなく、古く歴史的な町並みを保っています。しかしながら近年は、地球温暖化によって砂漠の拡大が問題視されており、この世界遺産も徐々に砂に埋もれていっているという深刻な状況です。是非モーリタニアに観光に訪れた際は、ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスールに足を運び、中世の町並みを保存状態が良いうちに見学してみて下さい。
シンゲッティ
出典: Homo Cosmicos/shutterstock
4都市の中でも一番人気を誇っているのがシンゲッティです。ここはこの世界遺産の中でも特にメッカ巡礼の聖地とされており、イスラム文化史だけでなく西アフリカの歴史でも重要な都市。四角いミナレットを持つ石造のモスクは、シンゲッティだけでなくモーリタニアの象徴とされるほどの建物です。
またシンゲッティには、膨大な書物をおさめた図書館もあり、イスラム文化史や西アフリカの歴史をここで学べますよ。ぜひメッカ巡礼の聖地とされているシンゲッティに足を運んでみてはいかがでしょうか。
◎まとめ
モーリタニアの世界遺産ウアダン、シンゲッティ、ティシット、ウアラタの古いクスールについてご紹介しました。イスラム文化の中心となるほど栄えた集落が、建設からおよそ1000年経った今でも保存状態の良い中で見学できるは貴重です。しかし近年では、地球温暖化による砂漠の拡大によって危機に瀕している深刻な状況なので、早めに足を運んでくださいね。