西アフリカ最後の原生林が広がるコートジボワールの世界遺産タイ国立公園

画像出典:Kafougue (CC BY-SA 4.0)

西アフリカ最後の原生林が広がるコートジボワールの世界遺産タイ国立公園

コートジボワール共和国は、ギニア湾北部の西アフリカに位置します。フランス語で「象牙海岸(Côte d'Ivoire)」を意味する国名の通り、かつてこの地から世界各国に向けて大量の象牙が輸出されたのです。
現在は、隣国ガーナと共に世界有数のカカオ生産国として知られています。

皆さんは、コートジボワール国内に「西アフリカで最後」と呼ばれる原生熱帯林が広がっているのをご存知でしょうか?この「タイ国立公園(Taï National Park)」には、絶滅危惧種に指定されている動物や希少な高山植物が多数生息しており、その貴重さから1982年には世界遺産に登録されています。
それでは、コートジボワールの「タイ国立公園(Taï National Park)」についてご紹介していきましょう。

目次

西アフリカ最後の原生林が広がるコートジボワールの世界遺産タイ国立公園

タイ国立公園とは?

出典: yakovlev.alexey/Flickr (CC BY-SA 2.0)

タイ国立公園は、コートジボワールの南西部のカヴァリ川とササンドラ川に挟まれたところに広がる熱帯雨林です。アフリカ大陸でも赤道直下は高温多湿であるため、長年にわたって熱帯林が育まれてきましたが、近年は森林の伐採や開発などにより減少しているのが現状。そんな状況において、西アフリカ最後の広大な原生熱帯林であるタイ国立公園は、希少な動植物たちの生息地として世界中から注目を浴びています。

1982年に世界遺産に登録されたタイ国立公園の総面積は、原生林の約1割にあたる3300平方Km。これは日本の鳥取県とほぼ同じくらいの大きさです。元々は現在の8倍ほどの広さを誇っていたのですが、1960年にフランスからの独立を果たしたコートジボワールは、国を再建するため開墾や森林伐採を繰り返しました。その結果、貴重な原生林が瞬く間に姿を消してしまったのです。

近年は周辺地域に居住する人口も増えてきており、さらにはわずかながら公園内で鉱物が得られることもあって、森林伐採や鉱山開発の勢いは留まることを知らず。未だに密猟も行われており、危機的状況を脱することができていません。西アフリカに生息する動物の約半数が暮らすという、「動物の楽園」タイ国立公園を守るための取り組みが早急に必要となっています。

タイ国立公園へのアクセス

リベリア国境付近に広がる「タイ国立公園」へは、コートジボワールの空の玄関口であるアビジャン(Abidjan)が観光拠点となります。とはいえ距離にして約590Kmも離れているため、より短時間でアクセスしたい方は、アビジャンから空路でダロア(Daloa)まで国内線を利用するのがおすすめです。
ダロアからタイ国立公園までは約200Km。陸路でおよそ3時間です。

日本からコートジボワールまでの直行便はないので、中東やヨーロッパでの乗り継ぎが必要となります。
おすすめはドバイを経由するエミレーツ航空で、フライト時間は最短の25時間弱。そのほか仁川とパリを経由する大韓航空でも、比較的短時間でアクセスすることができます。

タイ国立公園のおすすめポイント

◆西アフリカ最後の原生熱帯林

世界遺産「タイ国立公園」の最大の魅力といえば、西アフリカ最後と呼ばれる広大な原生熱帯林!
3300平方Kmもある広い敷地と約300mもの高低差という好条件が揃っているため、他では見られない珍しい植物を観察することができるのです。

公園内には50種類以上の固有種や1300種類以上もの高山植物など、この地域独特の植物があちらこちらに生い茂っています。中には砂糖の5000倍もの甘みを持ち、人工甘味料の原料にもなっているという「ソーマトコッカス・ダニエリ」なんかも生息しているそうですよ。

そんな「希少な植物の宝庫」であるタイ国立公園ですが、周辺地域の人口増加や森林伐採、鉱山開発などの影響でその範囲は年々狭まっています。実際、1972年までに行われた森林伐採によって、絶滅してしまった種もあるのだとか。ここに生息する希少な動植物のためにも、私たち人間が率先して守って行かなければいけませんね。

◆様々な野生動物

タイ国立公園の魅力は、植物だけではありません。公園内には「絶滅危惧種のレッドリスト」に掲載されているコビトカバ、オリーブコロバスモンキー、レパード、ソメワケダイカー、チンパンジーの5種類が生息しています。特にサルが有名で、世界的にも貴重な種を含む計11種が生息しているそうですよ。

日本の動物園ではお馴染みのチンパンジーですが、実は野生のチンパンジーは絶滅危惧種。しかし、タイ国立公園内では、3000頭もの大きな群れをなす野生のチンパンジーを見ることができるのです。
タイ国立公園はチンパンジーの研究の場としても注目を浴びており、世界中からたくさんの学者たちがチンパンジー保護のためこの地を訪れています。

他にも約250種類の鳥類や、50種類以上のトンボ、100種近くのアリなど多様な生き物が生息していますので、のんびり散策しながら野生動物を探してみてはいかがでしょうか?
サバンナでのサファリとはまた一味違った興奮が、あなたを待ってますよ。

◎まとめ

豊かな自然と希少な動植物を有する「タイ国立公園」ですが、現在も少しずつ地球上からその姿を消そうとしています。動物たちの楽園を守るため、また、西アフリカで最後の原生熱帯林を守るために何ができるのか、私たち人間も考えて行かなければなりませんね。

ちなみに、2018年現在「タイ国立公園」があるリベリアとの国境付近は、外務省の海外安全情報でレベル2に分類されています。隣国リベリアの武装集団や難民とのトラブルが絶えず、危険が伴うと判断されているためです。徐々にレベルは引き下げられていますが、不要不急の渡航はしないよう注意しましょう。

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