独立から15年。ようやく治安の安定してきた東ティモールの最新情報。

東ティモールは、オーストラリアのダーウィンから500kmほど、ティモール島の東半分を領する四国と同じくらいの大きさの国です。2002年に当時ティモール島全体を占領していたインドネシアから独立した新興国家です。

国自体が新しいことに加え、あまり観光産業の開発も進んでいないので、日本では東ティモールについての情報は限られています。そこで、東ティモールの現在の治安状況について説明します。

1 .独立と治安の安定まで

東ティモール地域は16世紀にポルトガルの植民地となり、1970年代までその状態が続いていました。しかし、1976年にインドネシアが武力で東ティモールを併合し、その際に多数の死者を出しました。

前述の通り2002年に独立を果たしましたが、当初は政治上の混乱から治安もかなり悪化していました。その後、東ティモールは国連の援助により治安維持をしつつ、独立国家としての体制が整備されていきました。今では国連の平和維持機関は撤退し、治安は東ティモール独自の警察や軍などにより、ある程度安定しています。

2. 経済状況からくる治安のリスク

東ティモールは独立直後の混乱を脱し、治安も安定してきました。しかし、経済面での発展はなかなか進んでいないのが現状です。とはいえ、貧しい国でよく陥るような無法地帯化まではいたっていません。もちろん、置き引きなどの窃盗事件は発生していますが、強盗や殺人といった凶悪犯罪は少なく、治安はよく保たれています。

ただ、国内経済が発展しないままで、とくに若者の失業率の高さが問題となっています。また、軍や警官への給料も低いままで、それを不服とした人たちのストやデモも起こっています。経済的な不満は蔓延しているので、それが一気に高まり暴徒化する危険が潜んでおり、現在もっとも大きな治安リスクとなっているといえます。

3. インフラ整備が進んでいないことのリスク

東ティモールでは、インフラ整備などを主に国外からの援助に頼っています。独立から15年が経ちますが、未だに道路や水道などが整っていない地域も少なくありません。これがときに、旅行者にとって治安リスクのひとつになります。

道路は舗装されていないところが多いので、土砂崩れなどの危険もあります。移動中に巻き込まれて孤立しないよう気をつけてください。また、病院も不足しているので、海などで事故に遭うと十分な治療を受けられない場合もあります。感染症にも気をつけなければなりません。治安の良い国ですが、医療の整った隣国までは300キロ以上の距離があるので、気をつけて行動しましょう。

4. 国境付近は治安が不安定

東ティモールは独立してから15年が経った今でも、隣国のインドネシアとの国境が一部未確定なままになっています。そのため、国境の周辺はいまだに散発的に抗争が起こる、治安の不安定な地域になっています。またこの地域では、東ティモールの独立に反対していた勢力が潜んで反政府組織となっていたり、犯罪者やテロリストなどの密入国も茶飯事となっているようです。

両国の間には独立を巡る争いだけでなく、民族や宗教にも大きな違いがあるため、トラブルが発生しがちです。国境付近の治安は、その他の地域とは異なるので、なるべく近づかない方がよいでしょう。

5. 新しく生まれた不安

世界的な治安の悪化の原因ともなっている、ISなどのイスラム過激派の活動は、東ティモールにも及んでいます。東ティモールとインドネシアの国境周辺は治安が安定せず、両国政府も統治しきれていない地域なので、反社会勢力の拠点となるのです。

また、インドネシアなどイスラム教徒の多い国に近いものの、国民のほとんどがキリスト教徒である東ティモールは、イスラム過激派の標的になりやすい国でもあります。旅行者は治安の悪い国境近くへは近寄らないのが無難でしょう。旅行中も最新情報を得るよう気をつけ、テロの危険の高まりには警戒してください。

◎まとめ

東ティモールの治安は、国境付近以外はほとんど問題ないといえるでしょう。ただ、まだまだ経済的な安定には程遠く、観光名所と言えるところも多くはありません。

ですが、そういったこれからの国ならではの良さを、これだけ安定した治安のなかで楽しめる場所というのも珍しいといえます。東ティモールを旅行するなら今！かもしれませんよ。

独立から15年。ようやく治安の安定してきた東ティモールの最新情報。