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イラクは治安の悪い国というイメージを抱いている方が多いでしょう。日本で報道されるのは、IS(イスラミック・ステイト)によるテロ活動や、日本人を含む外国人ジャーナリストが誘拐され殺害されたという事件など。イラクはなぜ治安の悪い国になってしまったのでしょうか。また、治安回復の見込みはあるのでしょうか?
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不安なニュースが相次ぐイラク。治安回復の見込みはあるのか?
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1.イラクの治安はいつから悪い?
現在、非常に悪くなっているイラクの治安ですが、いつからこのような状態になってしまったのでしょうか。アラビア半島の隅にあるイラクはアラブの隣国の他、イランやトルコといった別の民族や文化の国とも接している国です。そのため、はるか紀元前から多くの国や民族が繰り返しあう国でした。
第一次世界大戦の後、イギリスが支配することで一時的に治安が安定しました。しかし、二次大戦後には再び混乱。その後サダム・フセイン独裁政権によって国内は安定をもたらしましたが、隣国イランと国境の川の水利を巡って戦争、さらにクェートに油田の利権を得るために侵攻、結局治安は保たれませんでした。
2.アメリカによるイラク攻撃後の治安は?
イラクのクェート侵攻をきっかけに1990年、アメリカとの間で湾岸戦争が勃発。イラクのフセイン政権はアメリカに敗れたものの存続しましたが、その後イラクに大量破壊兵器の所持疑惑が持ち上がり、アメリカが再び攻撃。独裁者フセインは捉えられ、その政権は終わりを告げました。
2004年、イラクに新政権が立ち上がり、アメリカの監視のもと治安も回復しました。とはいえ、イラク国内の政治は複数の民族や異なる主張を持つ人たちの対立を生み、民主化はうまく進みませんでした。このまま向上するかに思えた治安も安定しないままでした。
3.アメリカ軍撤退後の治安は?
2010年、イラクの政権が安定しきらず、イラク軍の訓練も十分とは言えないまま、イラク国内の治安維持に大きな影響力を持っていたアメリカ軍が撤退しました。それにより再びイラクの治安は不安定化します。翌2011年にはイラク内務省庁舎の玄関での自爆テロをきっかけに、治安は一気に悪化していきました。
さらにシリアで内戦がはじまり、反政府勢力が国境を越えて侵入。イスラム原理主義過激派のISも急激に勢いを増し、イラク国内の一部を占拠。イラク、イラン、トルコにまたがるクルド人勢力も独立を主張するなど、イラク国内は完全に混乱し、治安部隊にも毎月1000人単位で犠牲がでるほどの内乱状態となりました。
4.日本人がテロの標的となる国
日本人が自由に入国できた時期はほとんどありません。それほど治安が安定しない国だったと言えます。ただ、日本人に対する悪感情を持つ人がいる国ではありませんでした。現在では特にイラク国内の反政府勢力ISが、日本人を含む外国人全般を敵視しています。日本人ジャーナリストが誘拐され殺害される事件が起こってしまったり、テロ事件にも巻き込まれています。
これまで治安が悪い国であっても、日本人を標的にしたテロや凶悪事件が起こることは非常に稀でした。しかし現在のイラクは、日本人が狙われるのも当然ありうる国だと言わざるをえません。
5.イラク国内の地域による治安の違いは?
地域による差は多少ありますが、イラク国内の治安は悪い状態です。まずシリア、サウジアラビアと国境を接しているイラク西部は、非常に治安が悪く危険です。イラク政府と外国勢力、国内勢力が戦闘状態にあるので、外国人観光客だとしてもいつ巻き込まれるかわかりません。
それに対し、東部のイランやバーレーンに接している国境地区は、まだ多少は治安が保たれているとも言える地域です。とはいえ一般的な水準での話ではありません。テロの危険、戦闘が行われる危険は常にあるため、基本的には近寄ってはいけない治安状況です。
6.イラクに入国することはできる?
2018年8月現在、旅行目的でイラクに入国することはできません。普通の旅行者にとっては、今は行ってはいけない治安状況です。ただ、状況は流動的ですが入国できない国ではありません。ビザも申請してみなければ取得できるかわかりませんし、国境まで行ってみなければ実際にイラク国内に入れるかわかりませんが、まったく不可能ではないです。
しかし現在はいくら最新情報を集めたとしても、無意味なほど情勢の変化の激しい国です。常に命の危険を心配しなければならないので、入国は治安が回復するまで待ちましょう。
◎まとめ
イラクの治安が悪化し、ISが台頭してきた過去数年、日本だけではなく欧米からもイラクへの渡航を希望する人が増加しているそうです。それは日本とはまったく異なる無法状態への憧れや、日本で過ごす現状への不満からだとも言われます。しかし、そのような興味本意の動機などで渡航するには危険すぎます。よく考え慎重に判断してください。