名称:Forts and Castles, Volta, Greater Accra, Central and Western Regions
住所:Liver Pool Rd, Elmina, Ghana(エルミナ城)
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/34/
西アフリカのガーナは、大西洋ベナン湾に面した自然豊かな国。アフリカのサハラ以南の国々のなかでは、初めて現地人によってヨーロッパから独立を果たした歴史ある国です。ガーナといえばカカオ豆が有名ですが、かつてはゴールド・コースト(黄金海岸)と呼ばれたほど、今も金の輸出が盛んなところでもあります。
ガーナの海岸沿いには、15世紀以降アフリカに進出してきたヨーロッパ人によって、多くの城塞が築かれました。最盛期には60以上あったといわれていますが、現在残っているのは3分の1ほど。そのうち11ヶ所が、「ヴォルタ州、グレーター・アクラ州、セントラル州、ウェスタン州の城塞群」の名称で世界遺産に登録されています。
目次
ゴールドコースト時代を今に伝えるガーナの世界遺産!ベナン湾沿いの城塞群
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ガーナのベナン湾沿いの城塞群の城塞群とは?
大航海時代が始まった15世紀、ガーナに初めて上陸したヨーロッパの国はポルトガルでした。ポルトガル人は1482年にエルミナ城を築き、金や奴隷の貿易拠点としました。その後、16世紀に入るとポルトガルやスペインに代わってイギリスやオランダ、フランスが台頭し、それぞれが城塞の建造や争奪を繰り返しました。
17世紀中ごろの大航海時代の収束と共に城塞の新築ラッシュも終わり、多くは防衛拠点から貿易の商館へとメインの役割がシフトしていきました。1821年、イギリスが黄金海岸に英領ゴールド・コーストを設置すると、1850年にはデンマークが、1872年にはオランダが一帯の城塞をすべてイギリスに売却しました。イギリスはこれらの城塞を拠点に内陸のアシャンティ王国を征服し、現在のガーナの領域を獲得したのです。
ガーナの城塞群へのアクセス
ヴォルタ州、グレーター・アクラ州、セントラル州、ウェスタン州の城塞群は、ガーナの首都アクラの西の広い範囲にわたって点在しています。アクラに最も近い喜望要塞(喜望要塞)でも、コトカ国際空港から直線で30kmほど離れています。タクシーで向かう方法もありますが、アクラからツアーに参加するのが無難です。
城塞群のある海岸線の中間付近の都市セコンディ・タコラディにはタコラディ空港があり、アクラのコトカ国際空港からの国内便が就航しています。観光スポットとして人気のエルミナ城やケープ・コースト城にはこちらからの方が近いので、セコンディ・タコラディを観光拠点とする方法もありますよ。
コトカ国際空港への日本からの直行便はないので、ドバイやイスタンブールなどを経由する必要があります。
ガーナの城塞群のおすすめポイント①: ケープ・コースト城
ガーナの世界遺産の城塞群のなかでも人気の高いケープ・コースト城。1653年にスウェーデンによって木造で建てられ、後に石造に改修されて現在の姿になりました。1663年にはデンマークに、翌1664年にはイギリスによって占領され、18世紀後半に大規模な修復工事が行われました。ケープ・コースト城は木材や金、そして奴隷貿易の拠点として使用され、1844年には英領ゴールド・コースト植民地の政治の中心となりました。
1920年代から数度の修復を経て、現在の美しい姿を取り戻しました。白壁の城壁上から望むベナン湾の眺めはとっても爽やか!白い西洋建築の建物と青い海のコントラストが映えます。ここから多くの奴隷が輸出されていったのだと思うと、歴史について考えさせられる世界遺産スポットでもあります。
ガーナの城塞群のおすすめポイント②:エルミナ城とセント・ジャゴ要塞
世界遺産のベナン湾沿岸部の城塞群のなかで最も古いのが、ケープ・コーストの西の港町エルミナにあるエルミナ城です。ポルトガル人によって1482年に建てられたもので、サハラ以南のアフリカ地域ではヨーロッパ建築としても最古の部類に入ります。ポルトガルからオランダ、イギリスと持ち主を変え、ガーナの激動の歴史を思わせる城塞です。
ガーナを代表する世界遺産エルミナ城は、城塞群のなかでも観光客に人気のスポット。最古とはいっても決して古めかしくはなく、岬の突端に築かれた巨大な白壁の要塞は、むしろ美しい宮殿を思わせます。城内にはレストランもあるので、世界遺産の建物で食事してみるのもおすすめです。
エルミナ城と向かい合う形で建っているのが、こちらも世界遺産のセント・ジャゴ要塞。エルミナ城を奪取したオランダが、もともと教会があった丘を要塞に造り変えました。今ではエルミナ城とはまた違った角度から街並みを一望できる絶景スポットとなっています。
ガーナの城塞群のおすすめポイント③:アムステルダム要塞
ケープ・コーストの西方にあるアムステルダム要塞は、ガーナの世界遺産の城塞群のなかでもとくに古城の雰囲気を漂わせてるスポットです。
1645年にイギリスによって建造され、当初は周辺の地名をとって「フォート・コルマンティン」と呼ばれていましたが、1665年にオランダによって奪取されました。このときオランダは、要塞の名前を現在の「フォート・アムステルダム(アムステルダム要塞)」に改めました。これは、前年の1664年にアメリカの「ニューアムステルダム」がイギリスに奪われ、現在に続く「ニューヨーク」に改名されたことに対抗したものとされています。
アムステルダム要塞は内部を見学することができ、やはり穏やかなベナン湾の眺めを楽しむことができます。麓の村も小さく、静かな世界遺産観光が楽しめるスポットです。
◎まとめ
ガーナの世界遺産「ヴォルタ州、グレーター・アクラ州、セントラル州、ウェスタン州の城塞群」についてご紹介しました。多くの城塞は見学可能ですが、学校や郵便局など公共施設に転用されているものもあります。
美しく、あるいは侘しい観光スポットというだけでなく、ガーナの城塞群はアフリカの植民地貿易の歴史を語る生き証人でもあります。ガーナの首都アクラ、あるいはお隣コートジボワールの旧首都アビジャンからもアクセス可能なので、両国を訪れる際にはぜひ世界遺産観光も検討してみてくださいね。