名称:Cultural Landscape and Archaeological Remains of the Bamiyan Valley
住所:Bamiyan Valley,afghanistan
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/208/
2001年3月、衝撃的な映像が世界中を駆け巡りました。それはアフガニスタン北西部のバーミヤン渓谷にある1500年も前に彫られた巨大な仏像が、反政府組織タリバーンによって跡形もなく破壊された映像です。仏像の破壊後バーミヤン渓谷は危機的遺産として世界遺産に認定され、世界中でこの貴重な世界遺産を修復しようという動きが起こりました。
そんなバーミヤンの地は元々シルクロード上にあって、アジア圏の文化と中東文化の交流地でもあります。1世紀ごろから石窟仏教寺院が作られ、中には貴重な仏教画などもありましたが、現在はその8割以上失ってしまったそうです。今回は時代の波により被害を受けたバーミヤン渓谷の古代遺跡群について紹介します。
目次
巨大な仏像があった、バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群
バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群とは?
ヒンドゥークシュ山脈の2800mもの高地にある世界遺産のバーミヤン遺跡は、中央アジアに展開していた様々な国の文化の痕跡が残る貴重な世界遺産です。その貴重な世界遺産の多くは破壊され跡形もなくなっています。1世紀頃からバーミヤン渓谷に石窟仏教寺院が作られはじめ、一時は1000以上もあったとか。
その後5世紀から6世紀頃にかけて、高さ55mの西大仏と高さ38mの東大仏と共に多くの巨大な仏像が彫られました。そして石窟内にも美しい大量の仏教画が描かれ、一時はこの地に大勢の僧侶も住んでいたそうです。しかしその後、バーミヤンの地にもイスラム教が台頭してきたことによって、華やかだった仏教文化は終焉を迎えます。
貴重な仏像や仏教壁画は残っていたものの、1970年代のアフガニスタン侵攻以来、次々に仏像や貴重な壁画が破壊。そして2001年にバーミヤン渓谷にある巨大な仏像2体が跡形もなく爆破されてしまいました。このバーミヤン渓谷の世界遺産は当面修復することなく残されるそうですが、今後2度とこのようなことが起こらないことを願うばかりです。
バーミヤン渓谷へのアクセス方法
日本から首都カーブルまでの直行便は運航していないことから、インドの首都デリーやトルコの最大都市イスタンブールなどで乗り継ぎをする必要があります。首都カーブルからバーミヤン渓谷までは300km前後、車で3時間から3時間半でアクセスすることが可能です。しかし現在のアフガニスタンではテロや誘拐など政情不安定なため、アフガニスタンへの渡航は禁止されています。
バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群のおすすめポイント
磨崖仏
バーミヤン渓谷にはかつて世界有数の巨大な2体の磨崖仏がありました。西大仏と呼ばれている高さ55mの男像が「阿弥陀如来像」、東大仏と呼ばれている高さ38mの女像が「釈迦如来像」です。しかし現在その姿を目にすることはできません。磨崖仏は2001年に破壊され見る影もないからです。破壊された破片は日本を含め、世界各国で保管されています。いずれ復旧し磨崖仏を見られる日が訪れて欲しいです。
シルクロードの中でも中東とアジアの文化が交わる中継地として、バーミヤン渓谷は過去にサザン朝ペルシアやインド仏教など様々な国の文化が花開きました。仏像の下にヘラクレスの石像もあったそうです。まさに文化の融合と言えるでしょう。
石窟寺院と壁画
バーミヤン渓谷は標高2500mにもなる高地にありながら、5世紀から6世紀にかけて多くの岩窟寺院が作られ、1000人以上の僧侶が暮らしていたと言われています。岩窟の中には様々な美しい仏教壁画が描かれていましたが、美しい仏教壁画も破壊や盗難によってほとんどなくなってしまいます。
しかし唯一奇跡的に破壊や盗難を免れた貴重な壁画もあるのです。天上界の楽師を描いている絵は色彩も輪郭も美しく、1500年もの時を感じさせません。そしていくつかの壁画は、ブラックマーケットなどで海外流出したものをアフガニスタンに返還されます。しかし未だに治安の安定していないアフガニスタンで、現在も破壊や盗掘が心配されているのも事実です。
まとめ
2018年4月現在、アフガニスタン全土が反政府勢力タリバーンとの抗争のため、地方だけではなく首都カブールも厳しい治安情勢となっています。無理に渡航すると自爆テロや銃撃戦に巻き込まれたり誘拐される可能性が高いです。外務省の海外安全情報では危険度レベル4の「退避勧告」が発令されています。どのような目的であっても渡航することはできません。必ず外務省の海外安全情報の指示に従ってください。