名称:チキトスのイエズス会伝道施設群
住所:Santa Cruz, Bolivia
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/ja/list/529
ヨーロッパからイエズス会の宣教師が、当時のペルー副王領に到着したのは16世紀中頃のこと。その後17世紀から18世紀にかけて現在のボリビア東部のサンタクルスやベニ県のモホスなど各地にレドクゥシオンと呼ばれる改宗施設を建てていきました。
特に、ブラジル国境付近のサンタクルス県チキトス地方には合計10ヶ所の施設が建設され、その内の保存状態が良い6ヶ所が1990年に世界遺産へと登録されています。スペイン人入植以降、チキトス地方の人々にとってこの伝道施設は切っても切り離せないほど文化や生活に染み渡っていきました。世界遺産「チキトスのイエズス会伝道施設群」の魅力をご紹介していきます。
目次
ボリビアが誇る世界遺産!チキトスのイエズス会伝道施設群をご紹介!
チキトスのイエズス会伝道施設群とは?
出典: Jose Arcos Aguilar/Shutterstock
世界遺産「チキトスのイエズス会伝道施設群」は、スペインの植民地時代にボリビアに住む現地の人々をキリスト教へと改宗させるための施設として建設されました。建てられたのは教会だけではなく、住居や墓地、農園や学校など生活に必要なものが全て揃えています。チキトス地方の先住民にとって欠かせない存在となっていきました。
1767年に、スペイン国王カルロス3世によってイエズス会宣教師は追放された後もボリビアの人々に大切にされており、保存状態も良く当時の歴史を建造物から伺い知ることができます。今ではこの世界遺産を舞台にボリビア政府とNGOが協力をして「チキトスのルネサンス・バロック音楽祭」を開催。街全体で観光客を呼び込もうという動きが見られます。西洋の文化が南米に伝わる現地の文化と、見事に融合した稀有な一例とも言える世界遺産です。
チキトスのイエズス会伝道施設群へのアクセス
「チキトスのイエズス会伝道施設群」はボリビアの東部にある街サンタクルスからおよそ270km東にあるチキトスの近郊に位置しています。サンタクルスへは、首都ラパスから空路や、15時間ほどかかりますが、バスで行くことも可能。ボリビアの首都ラパスは高所に位置しているため、諸外国からの玄関口はサンタクルスが担っています。
チキトスのイエズス会伝道施設群のおすすめポイント2
建築様式
チキトスのイエズス会伝道施設群の中でも見どころの一つが、キリスト教とボリビアの先住民の文化が入り混じる独特のデザインとなっている建築様式。サンラファエル教会ではソロモン円柱が建てられていたり、チキトスに古くから住む先住民の肌と同じ色をしている大天使ラファエルの彫像も建っています。
イエズス会の宣教師による布教活動の時代、彼らが指導を行いチキトスの先住民たちが教会を建設していきました。これが独特な建築様式を生み出した要因でもあります。バロック様式の装飾が建物外観や祭壇に施され、1,000人規模という巨大な教会。
サンホセの聖堂は珍しく石造りで造られていますが、世界遺産に登録されたほとんどの教会は木造建築で建てられています。そのため、高温多湿のこのエリアでは、朽ちてしまい当事のまま残っている教会はありません。現在は修復された教会を鑑賞することができます。復元された太い柱や巨大な屋根は、シンプルなデザインでありながら、巨大で力強さが感じられますよ。
地元に根付く宗教との融合
出典: Jose Arcos Aguilar/Shutterstock
スペインからイエズス会が16世紀中頃に入植して以降、チキトスの人々に改宗を求めていきましたが、完全に土着の信仰が消えてなくなったわけではありません。それはこの世界遺産「チキトスのイエズス会伝道施設群」に建てられた教会のデザインからも感じられます。
基本的にはバロック様式で建てられているものの、装飾は地元に伝わるデザインでとても簡素な色合い。ボリビア人とイエズス会の宣教師との交流によって生まれた独特の様式は、今もなお評価されている点で世界遺産登録の理由の一つになっています。チキトス地方に古くから伝わる自然精霊の信仰や悪魔信仰などは、根絶やしになったわけではなく、公の場で実施されることはなくなりましたが、今でも形やスタイルを変えながら存続しています。
◎まとめ
世界遺産「チキトスのイエズス会伝道施設群」は、予備知識があればより奥深く楽しむことができる世界遺産です。スペイン人によって侵略され、チキトス地方に住む人々を改宗させるために建設された施設ですが、文化が融合した建築物は素晴らしいもの。ぜひじっくりと見てみてはいかがでしょうか。