千年の時を超えて守り続ける生活文化!セネガルの世界遺産バサリ地方

画像出典:BOULENGER Xavier/Shutterstock

千年の時を超えて守り続ける生活文化!セネガルの世界遺産バサリ地方

植民地時代からの影響でフランス語を公用語とし、文化的にも多大なる影響を受けているセネガル共和国ですが、一部の民族は依然として独自の言語や文化を今もなお守り続けています。今回ご紹介するセネガルの世界遺産「バサリ地方:バサリ、フラ、ベディクの文化的景観」は、バサリ人、フラ人、ベディク人の3つの異なる民族がそれぞれ特徴のある文化や社会、宗教観を持っている特異な地域です。

中には千年以上もその伝統を守りながら、未だに昔ながらの生活を続けている人たちもいるそうですよ!
現代社会に生きる私たちには想像もつきませんよね。そんなセネガルのバサリ地方で、普通の観光とは一味違う体験をしてみたいと思いませんか?

目次

千年の時を超えて守り続ける生活文化!セネガルの世界遺産バサリ地方

バサリ地方:バサリ族、フラ族、ベディック族の文化的景観とは?

出典: John Atherton/Flickr

「バサリ地方:バサリ族、フラ族、ベディック族の文化的景観(Bassari Country : Bassari, Fula and Bedik Cultural Landscapes)」とは、セネガル南東部に分布する3つの民族の伝統的な生活様式や世界観、そして独特の社会や儀式、風習、文化などを指します。2012年にセネガルで7番目の世界遺産としてユネスコに登録されました。

11世紀以降にバサリ地方に定住し始めたというバサリ族とフラ族、そしてベディック族の3部族は、それぞれ全く異なる地形に住みながら、宗教的にも社会的にも全く異なる特徴を持っています。このように、外界の様々な環境変化にも揺るぐことなく、今もなお各部族が伝統を守りながら生活するバサリ地方は、マルチカルチャーが上手く共存している好例と言えるでしょう。

文明社会で何不自由なく生活する私たちにとっては、あっと驚くような風習や儀式がたくさんありますが、非日常を体験できるのも旅ならでは。それぞれの部族の特徴をじっくり見てみてくださいね。

バサリ地方:バサリ族、フラ族、ベディック族の文化的景観へのアクセス

バサリ地方への観光拠点となるのは、首都ダカール(Dakar)から約400Km南東にあるタンバクンダ(Tambacounda)です。ダカールからタンバクンダへは「トランスエア・セネガル」が就航しており、運航は週1便のみ。フライト時間はおよそ80分です。ちなみに、車での移動の場合は8時間程かかります。

タンバクンダから各集落までは、ケドゥグ(Kédougou)を経由して行きましょう。タンバクンダからケドゥグまでは車で約4時間。ケドゥグからはガイドと車を雇って各集落を回るのがおすすめです。
ケドゥグには乗り合いバスがありバサリ地方のサレマタ方面へも走っていますが、乗客が一定数集まらないと出発しない上、料金もまちまちですのであまりおすすめしません。

バサリ地方:バサリ族、フラ族、ベディック族の文化的景観のおすすめポイント

◆バサリ族

バサリ族(Bassari)が11世紀頃から定住し始めたというサレマタ(Salemata)は、手つかずの自然が多く残る長閑な場所です。元々は高台に住んでいたバサリ族ですが、現在は平地に暮らしながら棚田で米の生産をして生活しています。高台にあるかつての村落は、現在は伝統儀式や村の行事を催す場として利用されているそうですよ。

村落では、毎年5月に1年で一番のビッグイベントである「成人の儀式」が行われます。色鮮やかな衣装を身にまとった男性100人以上が、羽のついた弓矢を持ち歌い踊りながら村を練り歩くこの伝統儀式。夜通し行われるというこのお祭りは観光の目玉にもなっていますので、ぜひ時期をあわせて訪れてみてください。

また、サレマタ周辺は野生のチンパンジーが生息していることでも有名です。村でたった一つの宿泊施設を経営するオーナーは、チンパンジー見学ツアーのガイドも行っているとのこと。
他にも、バサリ地方で唯一ヤシワインの採取方法を見学できるツアーなどもありますよ!
見どころの多いサレマタは、ゆっくり時間をかけて観光するのがおすすめです。

◆フラ族

かつて遊牧民であったフラ族(Fula)は、11世紀にバサリ地方のダンデフェロ(Dindéfello)に定住し始めました。農業だけではなく、現在も引き続き放牧をしながら生計を立てており、独自の宗教に加えイスラム教も信仰しているのが特徴です。そのため、集落の中心にはモスクが置かれています。フラ族は宗教だけでなく言語体系も非常に独特ですよ。

夫や長男のことを他人に話すのはタブーとされており、夫を「あの人」「誰それの父親」「家の主」などと呼びます。また、長男の容姿が褒められると「醜い」と卑下するような表現もします。しかし、これは長男の話がタブーということだけではなく、容姿に嫉妬する悪い精霊から長男を守るという意味からなのです。

バサリ地方のみならず西アフリカの多くの国に分布しているというフラ族は、部族に代々伝わる伝説や民話がたくさんあることでも知られています。中には日本語に訳されているものもありますので、興味のある方はぜひ!

◆ベディック族

バサリ地方のバンダファシ(Bandafassi)を住処としているベディック族(Bedik)。彼らの家は三角形の尖った草葺き屋根で覆われており、数件ずつ密集して建てられているのが特徴です。ベディック族はセネガル人よりもマリ人やその国境付近に住む別の民族との交流が多く、文化的にも少し似ている部分があると言われています。

宗教的にアミニズムをルーツとしているベディック族では、常に自然と一体となって暮らしてきたこともあり、草木など生きているものだけでなく石や建物、話す言語にさえ魂が宿ると考えられてきました。
実は日本にも、物に魂が宿った「九十九神(つくもがみ)」という神様がいるんですよ!遠く離れたセネガルの秘境で、このように日本の宗教と同じような考え方があるなんて何とも不思議ですよね。

◎まとめ

セネガルの世界遺産「バサリ地方:バサリ族、フラ族、ベディック族の文化的景観」をご紹介しましたが、いかがでしたか?
古来の部族が、現代においても昔と変わらぬ生活を続けているというのはすごいことですよね。
近代化の波をもろともせず、千年以上にわたって独自の文化を守り続けている民族との交流は、古来文化を大切にしている日本人にとっても共感できたり癒される部分があるかもしれません。
少々アクセスは不便ですが、時間をかけて行くだけの価値はありますよ!

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