イスラム建築様式の博物館?世界遺産イスファハンのジャーメ・モスク

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イスラム建築様式の博物館?世界遺産イスファハンのジャーメ・モスク

イラン中部に位置する観光都市イスファハン。イスファハンの世界遺産といえばイマーム広場が有名ですが、イラン最古の貴重なモスクとしてジャーメ・モスクも世界遺産に登録されています。

17世紀、人口50万人をかかえる大都市は世界中でも、イスタンブール、ロンドン、パリ、北京、江戸、そしてこのイスファハンぐらいであったとされます。東西をつなぐ要衝だったイスファハンの繁栄ぶりは、「世界の半分」と言われたほど。

今回はそんなイランの真珠とも称えられる美しい街の世界遺産「イスファハンのジャーメ・モスク」をご紹介します!

目次

イスラム建築様式の博物館?世界遺産イスファハンのジャーメ・モスク

イスファハンのジャーメ・モスクとは?

出典: suronin/Shutterstock

世界遺産イスファハンのジャーメ・モスクはペルシャ語でマスジェデ・ジャーメと呼ばれ、日本語にすると金曜日モスクという意味です。金曜日モスクはイランの各都市に存在しますが、一般的にその都市にあるモスクで一番格式の高いモスクといわれています。

世界遺産のジャーメ・モスクは、イラン全体の歴史遺産としても最も古い歴史を持つモスクです。841年に建設された当初は煉瓦と木材を使用したイスラム初期の非常にシンプルな形で作られていたことがわかっています。

現在の姿は主に11世紀から12世紀のセルジューク王朝期にかけて建てられたものです。その後も修復と増築を繰り返し、創建以来1200年の間に様々な時代の建築様式や装飾技術の特徴を取り込み、混在している様子はまるで建築様式の博物館のようだともいわれています。

内部の二重構造で造られたドームは音響効果が素晴らしく、マイクなど無かった昔でもコーランを唱える声が美しく響き渡ったことでしょう。世界遺産イスファハンのジャーメ・モスクは、観光客が多く押し寄せるモスクとは異なり、今でもお祈りに訪れる敬虔なイスラム教徒が後を絶ちません。

イスファハンのジャーメ・モスクへのアクセス

日本からイスファハン、またはイランの首都テヘランへの直行便は就航していません。アジアや中東の都市を経由してテヘランへ行き、テヘランからイスファハンへ行くルートがあります。

また、羽田空港、成田空港、関西国際空港からアラブ首長国連邦のドバイを経由してイスファハン空港へ行くこともできます。日本からドバイへの飛行時間は約12時間、ドバイからイスファハン空港までは2時間ほどかかります。

イスファハンのイマーム広場からジャーメ・モスクまでは2kmほどの距離がありますが、バザールを抜けて行くことができます。

イスファハンのジャーメ・モスクのおすすめポイント2

1.イーワーン

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世界遺産イスファハンのジャーメ・モスクは、11世紀から12世紀のセルジューク王朝期にかけて大改修の際に、中庭を囲む四方にイーワーンが築かれました。イーワーンとは、イスラームの建築様式で、入り口がアーチになった半ドーム状の天井を持つ空間のことを指します。この4イーワーン様式を取り入れた最古のモスクがこの世界遺産のジャーメ・モスクといわれています。

1121年から1220年ごろまでの間に南、東、西、北の順にイーワーンが作られたと考えられており、それぞれ異なった建築様式を取り入れながらも素晴らしい外観の調和を保っています。上の写真は南イーワーンで、唯一ミナレット(尖塔)を備えており、ジャーメ・モスクのシンボルにもなっています。

イーワーンの半ドーム天井を飾る鍾乳石模様(スタラクタイト)のタイル装飾はため息の出る美しさです。凹凸をつけて幾何学的に局面を集合させた装飾は、ジャーメ・モスク以降に建設されたモスクで積極的に取り入れられ発展していきました。

2.聖龕(ミフラーブ)

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ミフラーブとは、全てのモスクの中の礼拝堂にあるメッカの方向を示す印として造られた壁の窪みのことです。世界遺産ジャーメ・モスクを訪れるイスラム教徒も1日に5回、サラートといってメッカのカアバ神殿へ向かって祈りを捧げます。

イスラム教は偶像崇拝を禁止しているので、ミフラーブに具象物などが描かれることはなく、幾何学的な模様をタイルなどで描く場合が多いです。世界遺産ジャーメ・モスクでの見どころの1つ、オルジェイトのミフラーブでは石膏細工に彫り込まれたとても美しい幾何学模様やアラベスク模様のミフラーブが見られます。

世界遺産ジャーメ・モスクには、サファヴィー朝時代、ムザッファル朝時代、イルハン朝時代のものなど各所に計13箇所のミフラーブが設けられているので、それぞれの異なるデザインを比較しながら見てみましょう。

イスファハンのジャーメ・モスクについての注意事項

イランは厳格なイスラム国家なので、女性が顔と手以外、肌や体のラインを出すことは禁じられています。長袖長ズボンを着用し、髪はスカーフなどで覆い隠しましょう。男性も半ズボン、タンクトップなどは避け、襟付きシャツと長ズボンを着用しましょう。
ジャーメ・モスクは、朝8時から見学可能ですが、お昼は2時間ほど閉まります。午後2時頃から見学再開しますが、祈りの場なので予定時間通りに開かない場合もあるようです。

◎まとめ

ご紹介しました世界遺産イスファハンのジャーメ・モスクはいかがでしたか?イスファハンにあるもう一つの世界遺産イマーム広場に建つモスクも、青いタイルの繊細な装飾が美しいモスクです。

ジャーメ・モスクは、後年建てられたイマーム・モスクよりも落ち着いた渋い印象を受けますが、イスラム建築様式発祥の地として見ると、その重厚さが味わい深いです。今も信者が多く訪れ祈りの声が響く世界遺産ジャーメ・モスクにぜひ訪れてみませんか?

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