名称:メイマンドの文化的景観
住所:Kerman Province, Iran
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1423
イラン南東部のケルマーン州にあるシャフレ・バーバクには、遊牧民のような生活を送っているメイマンドという村があります。数千年前に山の中心に掘られた住居を現在も使用していて、2015年には「メイマンドの文化的景観」として世界遺産に登録されました。長い歴史の中で受け継いできた伝統を大切にし、自然と共存するメイマンドには様々な魅力が詰まっています。今回はメイマンドについてピックアップしました。
目次
伝統的な生活を続けるイランの世界遺産、メイマンドの文化的景観
メイマンドの文化的景観とは?
メイマンドとはイラン南東部のケルマーン州シャフレ・バーバク郡にある村です。伝統的な移住農牧業が営まれている村として、「メイマンドの文化的景観」の名義で世界文化遺産に登録されました。メイマンドは山脈南端の渓谷と乾燥地帯に位置する自給自足の生活を送っています。半遊牧民たちが伝統的な季節移動を伴う牧畜を行い、冬には穴居生活を営んでいますよ。
家畜ではなく人々が季節によって移動する生活スタイルは珍しく、この独特な生活様式が評価されて世界遺産の登録に繋がりました。少なくとも3000年以上の歴史を持つ、現在でも昔の生活習慣を行っている希少なメイマンドは、人類と自然の共存した姿を見ることができます。
1年間で3つの場所を移動して生活を送っていますが、山岳地方では鹿やヒョウ、キツネなどの野生動物が生息。平原にも蛇やトカゲ、カメなどが生息しています。メイマンドにある家の集落は機械を使用することなく全て手造りで、病気の治療には薬草を使用、そしてサーサーン朝時代の古代ペルシア語の単語を使用するなど村の人々は伝統や自然を大切にしている特徴が見られます。
メイマンドの文化的景観へのアクセス
ケルマーン州シャフレ・バーバク郡のメイマンドは、ケルマーン州の市内中心部から約250km、ヤズドから約300km、シーラーズから約400km離れているため、車での移動が必須です。なお、メイマンドの村内には観光客が宿泊できる施設があります。日帰り観光よりもじっくり見学することができて、食事や就寝などの日常生活も伝統的なスタイルで過ごしているメイマンドをより深く体験することができるでしょう。
メイマンドの文化的景観のおすすめポイント2
伝統的な建築様式
出典: Alireza Shakernia (CC BY-SA 3.0)
伝統的な建築様式は魅力的です。モスクの建築の造りはシンプルですが、メイマンド独特の特徴があります。19世紀に造られたと推測されているモスクはメイマンドの中で最も新しく、内部は火を使用したことがないため唯一白色のまま残っている建物です。約120平方mの球型の内部では岩の上に手織りのじゅうたんが直接敷かれ、岩を削って造られた壁棚や聖壇・メフラーブや説教壇・メンバルなどを見ることができます。
さらにモスク以外の建物も高度2200mのところにあって、数千年前に山の中心で掘られた住居は現在も変わらず使用。長い歴史を持つ住居ですが、山は石が堆積して硬くなり、そこに掘られた部屋は頑丈なことから現在も使用できるようになっています。1つ1つの住居を見比べると面白いでしょう。伝統的な生活を送っているメイマンドの雰囲気を肌で感じられる世界遺産です。
伝統的な生活を体験できる宿泊施設
出典: vahid Reyhani (CC BY-SA 4.0)
伝統的な生活を送っているメイマンドの人々は、訪れた観光客を快く迎え入れてくれるだけではなく、普段どのような生活をしているかを丁寧に教えてくれることも魅力の1つです。メイマンド唯一の宿泊施設は山の中にある洞窟のような形をしていて、普段どのような場所で生活しているかを観光客も経験することができます。また、メイマンドの人々が実際に生活で使用している道具の一式が揃っているので、道具を借りて生活体験することも可能です。
さらにメイマンドには伝統的な料理を提供してくれるレストランもありますよ。このような生活を体験できることから、世界各国の観光客が足を運んでいます。メイマンドで生活を送っている人々も暖かく迎え入れてくれるでしょう。山の中にある洞窟のような家で伝統的な料理や生活体験は貴重な経験になりますね。
◎まとめ
古き良き伝統を受け継ぎ、現在も変わらない生活スタイルを貫き、観光客も暖かく迎え入れてその伝統を体験させてくれる「メイマンドの文化的景観」は様々な魅力が詰まった世界遺産です。メイマンドがあるケルマーン州は2018年4月現在、首都テヘランで起きたテロの影響により、外務省の海外安全情報で不要不急の渡航中止勧告が出ています。必ず外務省の海外安全情報の指示に従い渡航は控えてください。