険しい断崖に残る古代王朝の記録!イランの世界遺産「ビソトゥーン」

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険しい断崖に残る古代王朝の記録!イランの世界遺産「ビソトゥーン」

イラン西部のケルマーンシャー州にある世界遺産ビソトゥーン。先史時代から15世紀頃まで、かつてこの地を支配していた王国や王朝の記録が断崖に刻まれている遺跡です。
なかでも特筆すべきは紀元前521年にアケメネス朝ペルシアの王になったダレイオス一世の碑文。この碑文は古代の3カ国語のくさび形文字で記されており、古代文字の解読に大いに役立ちました。そしてアケメネス朝に関する唯一の記録でもあり、考古学的価値の高さも計り知れません。そんなイランの世界遺産ビソトゥーンをご紹介しましょう。

目次

険しい断崖に残る古代王朝の記録!イランの世界遺産「ビソトゥーン」

ビソトゥーンとは?

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ケルマーンシャー州ビソトゥーンには、先史時代から紀元前8~前7世紀のメディア王国からはじまり紀元前6~前4世紀のアケメネス朝、さらに3~7世紀のササン朝ペルシアから13~14世紀のイル・ハン朝に至る遺跡が残っています。

なかでも考古学的価値が高いものがアケメネス朝ペルシアの王であるダレイオス一世が自らの即位の経緯や、その正当性を主張する文章とレリーフを刻んだ巨大な碑文。地上100メートル以上という高い場所に位置しており、高さ約3メートル幅約5.5メートルの浮彫と周辺に文章がエラム語、古代ペルシア語、アッカド語(新バビロニア語)という3カ国語で記されています。

この碑文はエジプトで発見された石碑ロゼッタ・ストーンと同様、古代文字の判読に大きな貢献をしました。アケメネス朝時代唯一の歴史的文書ということもあり、人類の歴史上、重要な時代を例証するものとして世界遺産に登録されるに至りました。

ビソトゥーンへのアクセス

イラン西部にあるビソトゥーンへのアクセス方法として、まずはケルマーンシャー市内まで飛行機で向かうことをおすすめします。

ケルマーンシャー東部の郊外に位置する最寄りの空港シャヒード・アシュラーフィー・エスファハーニー空港からケルマーンシャー市内までは、タクシーで10分ほどで向かうことが可能です。

ケルマーンシャー市内からビソトゥーン碑文まではバスが運行していますので、そちらがおすすめです。ケルマーンシャー市内からハマダーン方面のバスに乗ると約50分ほどで到着し、そこから遺跡までは徒歩で数分程度の距離ですよ。

ビソトゥーンのおすすめポイント①:断崖の迫力

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ビソトゥーンを訪れて、まず驚くのがその断崖の迫力です。碑文を間近で鑑賞するには、まずその切り立った崖を登り切らなければなりません。そのため訪れる際は汚れてもいい、なおかつ動きやすい服装や靴で向かうようにしましょう。

崖をのぼっている途中には古代の神ヘラクレスなどのレリーフなどを鑑賞することができますよ。自然の崖を利用して描かれたレリーフは見事な芸術性と迫力を感じることができます。世界遺産ビソトゥーンに訪れた際は、その圧倒的なスケールが特徴の崖も併せて楽しんでくださいね。

ビソトゥーンのおすすめポイント②:碑文の内容

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ビソトゥーン碑文の内容は、イギリス軍武官のヘンリー・ローリンソンによって1846年以降に古代ペルシア語の解読に成功したことを皮切りに、その後1851年にはアッカド語部分の解読を発表。1855年にはエドウィン・ノリスがエラム語部分の解読を発表し、すでに全ての内容が解読されています。

その内容はアケメネス以来の家系やアケメネス朝の判図、カンビュセス二世が兄弟であるスメルディスを暗殺するもガウマータという人物に国を奪われ王家の粛清がされたこと、ダレイオス一世がガウマータを倒して王位に就いたことなどが含まれています。まさに大河ドラマのような歴史スペクタクル巨編ですので、ビソトゥーン碑文を鑑賞する前にぜひ内容をチェックしてみてくださいね。内容をある程度知っておけば、レリーフなどがさらに楽しめますよ。

◎まとめ

イランの世界遺産ビソトゥーンについてご紹介いたしました。ダレイオス一世の碑文だけでなく磨崖そのものも世界遺産の対象となっており、その圧倒的なスケールや芸術性を楽しめるビソトゥーン。かつて栄華を誇った王朝や王国の歴史が刻まれたこの地は、悠久のロマンを感じることができる世界遺産ですよ。

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