名称:Twyfelfontein or /Ui-//aes
住所:Damaraland, Namibia
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/ja/list/1255
アフリカ大陸の南西部に位置するナミビア共和国は、面積が日本のおよそ2.2倍という大きな国ですが、そのほとんどを砂漠やサバンナに覆われています。世界最古の砂漠として知られる「ナミブ沙漠」があることでも有名ですよね。「何もない沙漠」というその名の通り、ナミブ沙漠周辺は人口密度が非常に低いため、野生動物以外の生き物とすれ違うことがほとんどないそうですよ。
今回ご紹介するのは、そんなナミビア共和国にある世界遺産のうち、サン族(ブッシュマン)が残した岩石線画で有名な「トゥウェイフルフォンテーン(Twyfelfontein)」。2007年にはナミビア初の世界遺産としてユネスコに登録され、世界中から注目を浴びました。
それでは、世界遺産「トゥウェイフルフォンテーン」についてご紹介していきましょう。
目次
世界遺産トゥウェイフルフォンテーンはサン人が残したメッセージ!
トゥウェイフルフォンテーンとは?
出典: GuilhermeMesquita/Shutterstock
世界遺産「トゥウェイフルフォンテーン(Twyfelfontein)」は、紀元前1000年頃から約2千年間にわたって描かれたという岩絵です。トゥウェイフルフォンテーンとは「不確かな泉」という意味で、この場所にあったはずの泉がある日突然消えてしまったり、再び現れたりすることから名付けられました。
サン族が描いた岩絵はアフリカ大陸のあちらこちらにで見ることができますが、このトゥウェイフルフォンテーンが最も広範囲にわたって描かれたものであり、その数はなんと2000以上にも及ぶのだとか。
また、その描き方も独特で、他の地域にある岩絵が赤土や血を塗料にして描かれているのに対し、このトゥウェイフルフォンテーンにある岩絵は、岩に直接彫られたものであることが特徴です。
狩りを行う人間とキリンやゾウなどの動物たち、安全な場所であることを表す足跡の絵に水場を示す円など、ここに描かれた岩絵たちは、地図や教科書代わりとしても利用されていたそうですよ。そのほかにも、複数の場所でサン族が作ったと思われるペンダントやビーズなど装飾品の数々が見つかっています。
遊牧民が移ってきたことにより、西暦1000年頃にはこの地を追いやられてしまったというサン族。それと同時に岩絵も途絶えてしまいましたが、彼らが描いた絵は当時の人々の生活や信仰について知る貴重な手がかりとなっているのです。その点が高く評価され、2007年にはナミビア初の世界遺産に登録されました。
トゥウェイフルフォンテーンへのアクセス
日本からナミビアまでの直行便はないので、まずは南アフリカのヨハネスブルクを目指しましょう。ただし、ヨハネスブルグも日本からの直行便は就航していないため、アジアや中東、ヨーロッパでの乗り継ぎが必要となります。ヨハネスブルグまでのフライト時間は最短で20時間弱。ヨハネスブルクからナミビアの首都ウイントフックまでは約2時間です。
世界遺産「トゥウェイフルフォンテーン」は、ウィントフックから砂漠道を6時間ほど走った場所に位置します。レンタカーを利用して個人で訪れることも可能ですが、舗装された道路しか運転したことがない方にはかなり危険です。砂漠道は行き交う車もほとんどいないため、万が一事故に遭った場合などを考えると、多少高額でも現地ツアーに参加することをおすすめします。
トゥウェイフルフォンテーンのおすすめポイント
◆「ライオンマン」の壁画
トゥウェイフルフォンテーンで最も有名な岩絵といえば「ライオンマン」。これはライオンの尻尾と手足が人間の手になっているという不思議な絵で、人間がライオンに変身する様子を描いたものです。
その昔サン族では、シャーマン(霊媒師や巫女のような存在)は動物に変身することができると考えられていたそうですよ。
さらにはアザラシやペンギンといった海の生き物も描かれており、サン族が遠く100Km以上も離れた沿岸部にまで狩猟に行ったであろうと推測されています。このようにサン族は、かなりの広域にわたって狩猟生活を営んでいたのですね。トゥウェイフルフォンテーンではそれぞれの岩絵に説明の看板が付いていますが、じっくりエピソードを聞きながら見学したい方にはガイドツアーをおすすめします。
◆古代人からのメッセージ
出典: Marcel Brekelmans/Shutterstock
トゥウェイフルフォンテーンには、「ライオンマン」のほかにもたくさんの動物が描かれています。
実はこのように様々な動物が岩や洞窟に描かれたのは、コミュニケーションをはかるためや宗教上の儀礼ではないかと考えられているのです。「どこに水場があるか」、「どの動物が危険か」、「どこにどんな動物が生息しているか」など、どれも後世に伝えるためのメッセージでもあるんですよ。
人の足跡と動物が一緒に描かれているものは「人間が近づいても安全な動物」というメッセージ。また、狩りをしている人間と動物が描かれているものは、獲物がたくさんいる場所を表しています。
このように、トゥウェイフルフォンテーンは教育の場として非常に重要な役割を果たしていたのですね。
トゥウェイフルフォンテーン見学の際の注意事項
ナミビアは年間を通して日差しが強く乾燥しています。そのため、日焼け止め対策や水分補給は必須。
熱中症などにかからないよう、観光の際は充分に注意しましょう。
また、トゥウェイフルフォンテーンは岩場にあるのですが、足場が整備されているのはほんの一部だけなので、歩きやすいスニーカーなどを着用することをおすすめします。
◎まとめ
美しい砂漠が広がるナミビア共和国。どこまでも延々と続く広大な砂漠と澄んだ青空は、私たちに旅の醍醐味を教えてくれます。日本とは違った自然環境で生きる野生動物の姿もまた魅力的ですよね。
ナミブ砂漠の一部は「ナミブ砂海」として世界遺産にも登録されていますので、ぜひ「トゥウェイフルフォンテーン」とあわせて訪れてみてください。きっと世界観が変わりますよ!