名称:Ashur (Qal'at Sherqat)
住所:Qal'at Sherqat,Muḥāfaẓat Ṣalāḥ ad-Dīn
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1130
現在のイラクを中心とするメソポタミア文明を代表する国といえば、世界初の大帝国を築き上げたアッシリアでしょう。強力な軍隊を背景に、最盛期には東はペルシャから西はエジプトまでを支配しました。
アッシリアがいつごろから王国になったのかは、よくわかっていません。4つに分けられるアッシリアの歴史のうち、後期2ステージの時代に都がおかれていたのが、今回ご紹介するイラクの世界遺産アッシュールです。そもそもアッシリアとは、最高神とされていたアッシュール神の名にあやかったもの。その主神と同名の都市が、遺跡となってイラクの荒野に埋もれているのです。
目次
メソポタミア文明を代表するアッシリアの都!イラクの世界遺産アッシュール
アッシュールとは?
アッシュールの街が形成されたのは、紀元前3000年紀中ごろといわれています。アッシリアの王は主神アッシュールの副王として国を統治するという政治体制をとっており、アッシュール神は都市アッシュールを神格化したものとも考えられています。アッシュール・ウバリト1世に始まる紀元前14世紀の中アッシリア時代には、アッシュールはその首都となっていました。
アッシリアが世界帝国となって初期の紀元前883年、アッシリア帝国の都はカリフ(ニムルド)へ遷され、アッシュールは宗教的な中心都市と見なされるようになります。しかし、紀元前614年に新バビロニアのナボポラッサルとメディア王国のキュアクサレス2世の連合軍に敗れ、アッシュールも陥落します。まもなくアッシリア帝国も滅び、アッシュールも時代と砂に埋もれていきました。
アッシュールへのアクセス
イラク戦争後の混乱が続くイラクで、現状アッシュールへの確実なルートはありません。
操業している最も近い空港は、アルビール国際空港です。第2のドバイと呼ばれ復興が進んでいる地域ですが、日本からの直行便はないので、イスタンブールやドバイなどを経由する必要があります。
アルビールからアッシュールへの公共交通機関はないので、タクシーなどを自身でチャーターすることになります。
アッシュールのおすすめポイント①:タビラ門
ティグリス川沿いの丘の上にあるアッシュールを訪れると、まず美しい三連アーチの門が出迎えてくれます。人間の身長の3倍ほどもある大きな門で、アッシリアの権勢と技術の高さをうかがい知ることができます。
かつては川と城壁に囲まれた扇形の都市でしたが、今では城壁・城門合わせて残っているのはこの部分だけです。
アッシュールのおすすめポイント②:出土品
一部報道によれば、アッシュールの遺跡は2015年にISILによって爆破されてしまったとも伝えられています。安全の確保が完全ではないため現地の調査はまだ行われていないようですが、貴重な世界遺産が損傷してしまった可能性は高いといえます。
他方で、アッシュールは20世紀初めにドイツの調査団によって発掘がなされています。その際の出土品はヨーロッパへ持ち去られ、幸か不幸かベルリンの博物館島やロンドンの大英博物館に収蔵されています。
◎まとめ
イラクのアッシュール周辺地域は、近年までISILの支配地域でした。現在は解放されたとはいえ、治安が回復しているとは言い難い状況です。
外務省の海外安全情報でもレベル4の危険地域に指定されているため、2018年現在いかなる理由であってもアッシュールへ観光に行くことはできません。