名称:バムとその文化的景観
住所:Kerman Province, Bam District, Iran
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/pg.cfm?cid=31&id_site=1208
イランの世界遺産「バムとその文化的景観」は、2003年に発生した地震により壊滅的な被害を受けた危機遺産リストにも登録されていました。しかし懸命な修復作業が評価され、2013年には危機遺産リストから除外。現在も修復作業が行われて、リストから除外された世界遺産として注目を集めています。砂や粘土などの天然素材で造られた古代の要塞都市「アルゲ・バム」は見ごたえ抜群です。今回は地震の甚大な被害を乗り越えたイランの世界遺産、「バムとその文化的景観」について紹介していきます。
目次
地震による甚大な被害を乗り越えた世界遺産、バムとその文化的景観
バムとその文化的景観とは?
出典: Patrickringgenberg (CC BY-SA 3.0)
イランの南東部ケルマーン州に位置する都市バムは、地震によって甚大な被害を受けた翌年の2004年に、「バムとその文化的景観」として世界遺産に登録されました。しかしながら近代都市のバムはその大きな地震によって全体の7割以上が倒壊。4万人以上もの犠牲者が出てしまい、その大きな被害は世界遺産の登録と同時に危機遺産にも登録されるほどでした。その後懸命な修復作業を行われ、2013年にはその修復及び保全活動が評価されて危機遺産リストから除外されました。
「バムとその文化的景観」の見どころは要塞都市のアルゲ・バムです。アフガニスタン軍の侵攻や、シーラーズの攻撃を受けて町の放棄を余儀なくされました。やがて農業や工業の中心地として発展し、地震後は観光スポットとして栄えています。砂漠が続く乾燥地帯ながらも、カナートと呼ばれている地下井戸網の整備によって東西貿易を支えていたオアシス都市でもありますよ。
バムとその文化的景観へのアクセス
世界遺産があるバムへは、イランの各主要都市から運行しているバスを利用することをおすすめします。ケルマーン州の中心部からバムまではバスで約2時間半、シーラーズからは約9時間、ヤズドからは約6時半と移動時間が長いため、スケジュールは余裕をもって計画しましょう。なお、イランまでの直行便は運航していません。また、バムから北東近郊にあるアルゲ・バムまでは約20分の徒歩で訪れることができます。その道中もバムの町の雰囲気を感じることができたり、マーケットに立ち寄ることもできたりして面白いです。
バムとその文化的景観のおすすめポイント2
アルゲ・バム
出典: Patrickringgenberg (CC BY-SA 3.0)
「バムとその文化的景観」の見どころは、なんといっても古代の要塞都市アルゲ・バムです。「バムの城」という意味を持つアルゲ・バムの特徴は、そのスケールの大きい城にあります。砂や粘土、わらなどの素材で作られたアベドと呼ばれる天然素材で造られた城は、2003年の地震による傷がまだ完全に癒えていないにも関わらず圧倒的な存在感を見せていますよ。
イランの王朝のサーサーン朝ペルシア時代に最初の都市が建設されたと言われているアルゲ・バムは、1722年にアフガニスタンの軍による進行により廃墟。その後もシーラーズの攻撃によって再び町の放棄を余儀なくされた歴史があります。その後は次第に農業と工業の中心地として栄え、2003年に発生した地震まで急成長を続けていました。地震後は世界遺産の登録も重なり、人気観光スポットになっています。
未だに残る地震の爪痕
2003年に発生したマグニチュード6.5の地震によって、バムやアルゲ・バムは壊滅的な被害を受けています。その甚大な被害は世界遺産に登録されると同時に危機遺産にも登録されるほど。その後の修復及び保全活動が評価され危機遺産リストから除外されましたが、今でもその甚大な被害の爪痕は容易に見ることができます。特にアルゲ・バムではその被害を顕著に確認することができるでしょう。
城や入り口部分は修復が進んでいますが、それでもまだ瓦礫になっている部分や登ることができない部分が多く残っています。城以外の箇所は未だに瓦礫の山となっていて、廃墟の雰囲気を感じてしまうほど。城に登ってアルゲ・バム一帯を見渡してみると、その崩壊具合をより把握することができます。この一帯がどれほど地震の被害が甚大だったのか、危機遺産リストから除外させるほど気の遠くなるような修復作業が行われていたのかなど、色々考えさせられる世界遺産です。
◎まとめ
地震によって壊滅的な被害が出たにも関わらず、懸命な修復や保全活動が評価され、現在は多くの観光客を集める世界遺産となった近代都市パムと古代の要塞都市アルゲ・バム。スケールの大きさや歴史的な雰囲気、そして未だに残る地震の爪痕など多くの見どころが揃っている世界遺産です。「バムとその文化的景観」があるケルマーン州は2018年4月現在、外務省の海外安全情報で不要不急の渡航中止勧告が出ています。治安が落ち着くまでは渡航は控え、外務省の海外安全情報に必ず従ってください。