棚田を望む青く美しい王宮の丘!世界遺産「アンブヒマンガの丘の王領地」

画像出典:Dennis van de Water/Shutterstock

棚田を望む青く美しい王宮の丘!世界遺産「アンブヒマンガの丘の王領地」

インド洋に浮かぶマダガスカル共和国は世界で4番目に大きな島国。有名なバオバブの木や野生生物種の90%以上が固有種であることから、一般的には自然環境で注目されるている国です。事実、マダガスカルの世界遺産のうち2件が自然遺産で、残る1つが世界文化遺産のアンブヒマンガの丘の王領地です。

アンブヒマンガの丘の王領地は、マダガスカルを最初に統一したメリナ王国の都の跡。アンドリアナンブイニメリナ王の王宮跡など、人類の歴史上重要な時代を伝える存在として価値が認められ、2001年に世界遺産に登録されました。

アンブヒマンガは「青く美しい丘」という意味で、丘の上には王宮跡とそれを囲む要塞跡や広場が残っており、建造物の一部は現在博物館となっています。丘の斜面には棚田が広がり、王宮の丘から見下ろす風景が圧巻の美しい世界遺産です。

目次

棚田を望む青く美しい王宮の丘!世界遺産「アンブヒマンガの丘の王領地」

アンブヒマンガの丘の王領地とは?

出典: Martin Kalfatovic

マダガスカル唯一の世界文化遺産「アンブヒマンガの丘の王領地」は、メリナ王国のアンヂアマシナヴァルナ王が、1788年に王宮を建設したことにはじまるとされています。メリナ王国は、食用になる動植物の少ないマダガスカルにあって、水田稲作の技術をもっていたために他の独立勢力に対して優位に立てたと考えられています。事実、アンブヒマンガの丘の周囲には今も棚田が広がっています。

アンヂアマシナヴァルナ王の死後、メリナ王国は後継者争いによって分裂し、アンタナナリボを拠点とするアンヂアナンプイニメリナが再びメリナを統一します。そのため、1794年に都がアンタナナリボに遷され、アンブヒマンガには別荘と要塞が置かれました。

19世紀に入ると、メリナ王国は植民地政策を推し進めるイギリスやフランスとの関係に腐心することになります。1896年、ついにマダガスカルはフランスによって占領され、メリナ王国は滅亡しました。仏領マダガスカルの首都は引き続きアンタナナリボとされ、アンブヒマンガの王宮は廃されて廃れていったのです。

アンブヒマンガの丘の王領地へのアクセス

世界遺産アンブヒマンガの丘の王領地は、首都アンタナナリボから北東に向かい、小高い丘に囲まれた一本道を車で40分ほど行ったところにあります。乗り合いバスが1時間に数本程度運行されているので、これを利用するのが一般的です。

ただ、アンタナナリボの空港から市内への移動する際には、交通渋滞が大問題となっています(市内から空港も同じ)。マダガスカルには高速道路というものがなく、ほとんどは街灯もない1車線の道路で、交通量の多い雨の日などはまったく動かなくなってしまいます。早朝や深夜の空いている時間帯なら、空港と市内の間は30分くらいの距離ですが、昼間だと3時間はかかることを覚悟する必要があります。

アンブヒマンガの丘の王領地のおすすめポイント①:城壁都市跡

出典: www.istockphoto.com

マダガスカルの世界遺産「アンブヒマンガの丘の王領地」は標高1,500mにあり、総長2.5kmにおよぶ二重の城壁と外堀に囲まれています。城壁内には王の墓に森や泉、さらには湖まであります。

アンブヒマンガの丘の王領地を守る重量12トンの7つの門は、占星術で場所が決められたそうです。日本でも都や城を造る際、風水を取り入れたといわれているように、その時代の国の一大事業に人知を超えた力を使うのは万国共通のようですね。

1788年頃の建築と推定される王宮は、伝統的な設計技術や資材が使われた木造建造物で、王宮内には15mの大黒柱が立っています。また要塞の城壁は、石と卵1600万個分といわれる卵白を原料としたセメントで作られています。復元された別荘は、もともとはフランス人技術者の指導によって1870年に建設されたもの。建設からおよそ1世紀にわたるマダガスカルの貴重な都市遺構を目にすることができます。

また、アンブヒマンガの丘の王領地からの眺めは絶景で、マダガスカルの世界遺産らしい景観です!

アンブヒマンガの丘の王領地のおすすめポイント②:女王の別荘

出典: HiRo / PIXTA(ピクスタ)

世界遺産アンブヒマンガの丘の王領地には、王宮に隣接して女王ラナヴァルナ1世が建てた別荘があります。

ラナヴァルナ1世は、メリナを統一したアンドリアナンプイニメリナ王の息子ラマダ1世の妃で、ラマダ1世の死後実権を握った人物です。1794年、メリナ王国の首都が政治的理由でアンタナナリボに移ったのですが、アンタナナリボ遷都後も、アンブヒマンガの丘の王領地の別荘に避暑に訪れていました。

この別荘はフランス人エンジニアのジャン・ラボルドの技術指導のもと、1870年に建設されました。世界遺産となっている現在の建物は復元されたもので、1階には食堂や会議室、家族の寝室があり、2階には女王の寝室と休憩室があります。内部に展示されているヨーロッパ風の家具や調度品は当時のもの。アンブヒマンガの丘の王領地の斜面には棚田が広がり、建物の価値のみならず、世界遺産にふさわしいその眺望も必見です。

◎まとめ

マダガスカルの世界文化遺産「アンブヒマンガの丘の王領地」をご紹介しました。ここの宮殿に入る際は右足から、退場する際は後ろ向きに(王に顔を見せながら)左足から出るのが正しい作法なのだそうです。日本でも例えば神社のお参りの際の決まりごとがありますが、マダガスカルにも同じような作法があるとはとても興味深いですね。

ちなみにマダガスカルの世界遺産というと、尖った岩が針山のように林立するツィンギが有名です。しかし、ツィンギはアクセスが非常に悪く、最寄りの街から往復するだけで丸1日を要します。その点、アンブヒマンガの丘の王領地は首都アンタナナリボの郊外にあるので、マダガスカルではとても訪ねやすい世界遺産といえるでしょう。

国内のエリア一覧

海外のエリア一覧

カテゴリー一覧

マダガスカルでおすすめの記事

マダガスカルのアクセスランキング