名称:グアラニーのイエズス会伝道所群
住所:São Miguel das Missões Estado de Rio Grande do Sul
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/ja/list/275
二国に囲まれた世界遺産「グアラニーのイエズス会伝道施設群」
ブラジルとアルゼンチンには、世界でも珍しい2国間にまたがった施設群があります。「グアラニーのイエズス会伝道施設群」は、歴史的な背景や美しい外観などの魅力が揃った世界遺産です。多くの観光客が集まっている観光スポットでもありますよ。そこで今回はブラジルとアルゼンチンの世界遺産、「グアラニーのイエズス会伝道施設群」のについて紹介します!
目次
二国に囲まれた世界遺産「グアラニーのイエズス会伝道施設群」
グァラニーのイエズス会伝道施設群とは?
「グアラニーのイエズス会伝道施設群」はブラジルとアルゼンチンにまたがったイエズス会伝道所の施設群。世界でも珍しい2つの国にまたがった世界遺産として有名です。この施設群が建設された歴史として、アメリカの先住民族・グアラニー族が関係しています。
ブラジルには「サン・ミゲル・ダス・ミソオエス遺跡群」。アルゼンチンのミシオネス州に「サン・イグナシオ・ミニ」、「サンタ・アナ」、「ヌエストラ・セニョーラ・デ・ロレート」、「サンタ・マリア・ラ・マジョール」の計5ヶ所が残されています。
現存する建物は外側だけですが、当時の面影を残しているスポットもありますよ。特に「サン・ミゲル・ダス・ミソオエス遺跡群」と「サン・イグナシオ・ミニ」は人気観光スポットです。
グアラニーのイエズス会伝道所群へのアクセス
【サン・イグナシオ・ミニ】
飛行機でブエノスアイレスまで向かいます。ブエノスアイレスから国内線に乗り継ぎ、約2時間のフライトでポサーダスに到着。ポサーダスから「サン・イグナシオ・ミニ」までは車で約1時間です。ブエノスアイレスから長距離バスを利用すると約14時間かかります。
【サン・ミゲル・ダス・ミソンイス遺跡群】
飛行機でポルト・アングレまで向かいます。そこから電車かタクシーを利用してポルト・アングレ駅まで移動してください。ポルト・アングレ駅近くのポルト・アングレ・バスターミナルからサン・ミゲル・ダス・ミソオエスまで長距離バスを利用します。所要時間は約6時間です。
移動時間だけでも時間がかかってしまうため、途中の都市で宿泊することをおすすめします。
グアラニーのイエズス会伝道所群おすすめポイント3
歴史的背景
農耕を主に生計を立てていたグアラニー族は17世紀頃、ブラジルのサンパウロを根拠地とする奴隷商人によって捕らえられ、ブラジルで労働する奴隷にされるということが頻繁に発生していました。
そこでグララニー族の警備とキリスト教の布教活動を兼ねてイエズス会は、ブラジル南部、アルゼンチン北部、パラグアイの国境が接する辺りの密林地帯を普及活動の中心地として数々の伝道所を建設。これが世界遺産誕生のきっかけです。
イエズス会はキリスト教を布教しながらも、強制労働や奴隷狩りから逃れたグアラニー族をかくまって共同生活を送っていました。しかし、1767年にスペイン王カルロス3世がアメリカ大陸のスペイン領土からイエズス会の追放を命じたため、伝道所は崩壊。集落は放棄され廃村となってしまいました。
サン・イグナシオ・ミニ
アルゼンチンのミシオネス州にある「サン・イグナシオ・ミニ」。「グアラニーのイエズス会伝道施設群」の中でも特に保存状態が良く、アクセスしやすいことから多くの観光客が訪れている遺跡です。
遺跡の中心にはイタリア人建築家ジュアン・ブラサネッリによって作りられた記念教会があります。幅2メートルの赤い砂岩の壁と陶製タイルの床が特徴。グアラニー族による装飾など芸術的な外観も魅力的です。近隣の施設には調理場や食堂、作業場などの跡がありますよ。
また、遺跡以外にはサン・イグナシオ・ミニ・イエズス会博物館が併設されています。グアラニー族やイエズス会、そして世界遺産「グアラニーのイエズス会伝道施設群」についての展示物や資料があるので、興味ある方はぜひ足を運んでみるといいでしょう。
サン・ミゲル・ダス・ミソンイス遺跡群
「サン・ミゲル・ダス・ミソオエス遺跡群」はブラジルのリオグランデ・ド・スル州北西部にあります。日干しした赤いレンガ造りの外観が印象的。グアラニー・バロック様式で作られたこの赤レンガの壁面は、「グアラニーのイエズス会伝道施設群」の象徴とも言えます。
当時のイエズス会はグアラニー族をキリスト教化していたため、スペインやポルトガルの奴隷商人たちから保護する目的で約10年の歳月をかけて伝道所を建設しました。しかしその努力にも関わらず奴隷商人は横行。イエズス会退去令の後に伝道所は廃れてしまいました。
また、「サン・ミゲル・ダス・ミソオエス遺跡」は他の伝道所よりも1年早く世界遺産に登録されています。アルゼンチンの4ヶ所が翌年の1984年に登録されました。すでに世界遺産に登録されていた「サン・ミゲル・ダス・ミソオエス遺跡」と統合することになったため、この世界遺産の先駆け的存在でもあります。
◎まとめ
ブラジルとアルゼンチンのニ国にまたがって登録されている珍しい世界遺産です。広い大地の上に佇んでいますが、特徴的な赤い砂岩で造られた伝道所を見ることができますよ。遺跡にはまだまだ危険な場所もあるので、スニーカーなど履き慣れた靴で訪れることをおすすめします。ブラジルとアルゼンチンに訪れる機会がありましたらぜひ、「グアラニーのイエズス会伝道施設群」巡りをしてみてはいかがでしょうか?