アッバース朝の古都!イラクの世界遺産「サーマッラーの考古学都市」

画像出典:David Stanley

アッバース朝の古都!イラクの世界遺産「サーマッラーの考古学都市」

イラクの首都バグダッドの北西に位置する都市サーマッラー。ティグリス川の左岸に栄えるこの街は、メソポタミア文明以来の歴史をもち、9世紀にはアッバース朝の首都が置かれました。

シーア派の聖地としても知られ、サーマッラー市内にはモスクのほか多くのカリフの宮殿が残されています。こうしたイスラームの歴史における重要性から、サーマッラーは2007年に世界遺産に登録されました。

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アッバース朝の古都!イラクの世界遺産「サーマッラーの考古学都市」

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サーマッラーの考古学都市とは

出典: commons.wikimedia.org

サーマッラー周辺には、メソポタミア文明初期の紀元前6000年代ごろには独自の文化が誕生していたと考えられています。

都市としてのサーマッラーが発展するのは、アッバース朝の第5代カリフ(指導者)ムウタスィムが、836年に都をバグダッドから移して以降のこと。歴代カリフは大きなモスクや宮殿を建造しましたが、一方でアッバース朝は次第に衰退します。892年には首都をバグダッドに戻しましたが、まもなく地方政権が次々に自立し、やがてアッバース朝は形骸化します。

以後、サーマッラーはシーア派が聖地として巡礼するほかは、静かな地方都市の1つとして今に至っています。

サーマッラーの考古学都市へのアクセス

サーマッラーはイラクの首都バグダッドの北西80kmほどのところにあります。バグダッドから鉄道かバスでアクセスします。

バスは世界遺産のある旧市街に停車しますが、鉄道駅はティグリス川の対岸にあるので気を付けてください。

世界遺産の主だった構成資産はサーマッラーの中心部からやや外れた場所にあるので、市内からはタクシーを利用したほうが良いでしょう。

サーマッラーのおすすめポイント①:大モスクと螺旋ミナレット

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サーマッラーの大モスクは、9世紀に建設された当時は世界最大を誇っていました。一般的に想起されるモスクとやや異なっていて、広々とした中庭とそれを囲う壁で構成されています。

モスク以上に観光スポットとして知られているのが、付属のミナレット(尖塔)。イスラム建築様式でバルコニーのある高塔のマルウィヤ・ミナレットは螺旋状になっていて、訪れる人はぐるぐると歩きながら頂上まで登ることができます。

このような螺旋式のミナレットは、世界でも3つしか存在していないんですよ。ヨーロッパの多くの画家が好んで題材にした「バベルの塔」は、たいていこのマルウィヤ・ミナレットを参考にしているといわれています。そういえば、美術の教科書なんかで見たような…。サーマッラーを訪れたら、そんな珍しい世界遺産のミナレットに登ってみてください。

サーマッラーのおすすめポイント②:カリフ宮殿

カリフのムウタスィムが建造したもので、アラブのイスラムでは最大級の宮殿です。宮殿の内部は住居や行政府、衛兵の詰所、休憩所などが完備されています。

10世紀以前の皇帝の宮殿としては、構造がはっきりわかるとても貴重な例といわれているんですよ。今なお全体の4分の3が地下に埋まっているとされ、今後の発掘調査が期待される世界遺産です。

サーマッラーのおすすめポイント③:アブ・ドゥラフ・モスク

サーマッラー市街から北西に15kmほど車で走った郊外の砂漠に、大モスクによく似たアブ・ドゥラフ・モスクがあります。

こちらも中庭を壁で囲ったモスクと螺旋形のミナレットがありますが、いずれも大モスクよりはだいぶミニチュアサイズ。大モスクのマルウィヤ・ミナレットを登るのは大変だという人は、こちらのミナレットにチャレンジすると良いでしょう。

近くには古代サーマッラーの都市遺跡も眠っています。古代ロマンに突き動かされる人にもおすすめのスポットです。

◎まとめ

2018年現在、サーマッラー周辺には外務省の海外危険情報レベル4が発令されています。いかなる理由であっても、この地域へ渡航することはできません。

また、サーマッラーのシンボルであるマルウィヤ・ミナレットは、2005年のイラク戦争の際にアメリカ軍の砲撃によって頭頂部が損傷してしまいました。一刻も早い治安の回復と、世界遺産の修復が待ち望まれます。

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