名称:サマイパタの砦
住所:Samaipata, Bolivia
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/ja/list/883
今回ご紹介するのは、南米ボリビアの主要都市サンタクルスの南西120㎞に位置する古代文明の遺跡「サマイパタの砦」です。インカ文明によって造られたといわれるサマイバタの砦は、スペイン人によって名付けられました。
ボリビアでは、砦を意味するフェルテから「エル・フエルテ遺跡」とも呼ばれており、祭祀儀式など宗教的な目的で造られたものといわれています。それではさっそく、美しいアンデス山脈の麓にたたずむサマイパタの砦の魅力に迫りたいと思います。
目次
ボリビアの世界文化遺産!インカ文明の謎に包まれたサマイパタの砦
サマイバタの砦とは?
サマイパタの砦は、ボリビア中西部のサンタクルス県にある古代文明の遺跡。オリエンタル山脈の標高約1950mのところに築かれた遺跡で、「エル・フエルテ遺跡」とも呼ばれています。要塞のように見える石壁や山頂という立地から「砦」と呼ばれていますが、実際は軍事施設ではなく、住居や宗教施設からなっている集落だといわれています。
サマイパタの砦は、山頂にあるためアンデス山脈の山々が見渡せ、ここからの景色は絶景。紀元300年頃からこの地に築かれたと考えられている集落は、14世紀になるとインカ帝国の支配下のもとで発展を遂げました。その後スペイン植民地時代に入ると、近くにサマイパタ村がつくられ次第に衰退していきます。いまだに大きな謎を残しているサマイパタの砦ですが、この地に宗教や文化が繁栄していたことを証明する考古学的にとても貴重な古代遺跡のため、1998年にユネスコの世界遺産に登録されました。
現在、遺跡保護ため岩に登ることはできませんが、すぐそばに展望デッキが設けられ、そこから見学することができます。また各要所には案内板がありますが、スペイン語や英語のガイドもあるので利用してみてはいかがでしょうか。
サマイパタの砦へのアクセス
日本からボリビアへは、直行便はありません。まず日本からアメリカの主要都市へ乗り継ぎ、ポリビアの第2都市サンタクルスへ行きます。サンタクルスからサマイパタの砦へは、乗合タクシーが便利。タクシーは、人数が揃うと出発します。サンタクルス市内からサマイパタ村までは、片道約3時間30分。サマイパタの砦は、サマイパタの村から約9km離れた丘陵にあり、徒歩でも行くことが可能ですが、山道を登らないといけないのでタクシーをおすすめします。
サマイパタの砦のおすすめポイント2
巨大な一枚岩の彫刻
東京ドーム約4.7個分の面積を誇るサマイパタの砦は、2つの考古学的遺跡からなっています。1つは、14世紀から16世紀にかけて宗教的な儀式が行われていたと考えられる古代都市の中心であった丘。巨大な一枚岩の彫刻は、世界最大級の石の彫刻といわれ、サマイパタの砦の一番の見どころです。
東西約250m、南北約60mの石英を含んだ赤い砂岩の岩塊の表面には、人間や、ジャガーやヘビなどの動物、運河や幾何学模様などのレリーフが施されており圧巻の光景。一体何のために、誰によってこのような彫刻が刻まれたのか、はっきりとした事実は分かっていません。ただこの地には、さまざまな民族がやって来て、文化が行き交う場所でした。
政治と居住の区域
もう1つの考古学的遺跡は、丘の南側にある政治と居住の区域。14世紀から16世紀にかけて築かれた石造建築物といわれ、5つの神殿跡が残っています。石組みで建てられた500近い住居が並ぶ居住地で、その中央には2本の溝があり、水を供給する水路だったと考えられています。
また石壁には、いくつもの窪みがあり、ここには棺が入れられていました。その中には、人間が胎内にいるときのような姿勢で葬られています。また遺跡の一角には、L字型で深さが約16mもある穴がありますが、何のために使われていたのかは分かっていません。他にもマーケットや監視塔、スペインに占拠された後の軍事訓練施設跡なども残っており、紀元300年頃からスペイン植民地時代までの各時代の史跡を見ることができます。
◎まとめ
サマイパタの砦は、ボリビアの国内外から大勢の観光客が訪れる観光名所になっています。サマイパタの砦への玄関口となるのが、ボリビア第2の都市サンタクルス。美しいアンデス山脈の山麓にたたずむ遺跡はもちろんのこと、ダイナミックな山岳の風景も楽しめます。インカ独自の石造建築が楽しめる世界遺産なので、一度は訪れてみたい場所ですね。