名称:アブ・シンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群
住所:Egypt,Nubia
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1186
世界遺産誕生のきっかけとなったのは、1979年に世界遺産登録された「アブ・シンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群」です。登録名にあるヌビアとは、エジプト南部のアスワン辺りからスーダンにかけての地方の名称。現在でもヌビア語を話し独自の文化を持つヌビア人が多く住んでいます。今回は世界遺産の原点とも言える「アブ・シンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群」について紹介します。
目次
世界遺産の原点!アブシンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群
アブ・シンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群とは?
エジプト南部にある古代エジプト文明の遺跡です。世界遺産誕生のきっかけとなったのは1956年。この年にアスワンハイダムの建設計画が持ち上がりました。このダムが完成すればアブシンベル神殿をはじめとする貴重な遺跡群は水没。構わず計画を進めようとする政府に対してユネスコがまったをかけました。
14年間にも及んだ救済活動によって、巨大なアブシンベル神殿は丘の上に移築。同じ方法で他の遺跡も救済して、ヌビア遺跡群は水没から免れました。この活動がきっかけで1972年にユネスコ総会にて世界遺産条約が成立。歴史的価値のある遺跡や建築物、自然環境などを国際的レベルで保護するという考えが誕生しました。
アブ・シンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群へのアクセス
中東またはヨーロッパでの乗り継ぎでカイロに向かい、国内線へ乗り継ぎます。日本からエジプトへの直行便はありますが、週に一便しか運航していません。
アブシンベル神殿はアブシンベル空港から車で約10分、もしくはアスワンから車で3時間から4時間です。イシス神殿へはアスワン・ダム近くのボート乗り場からボートで約20分。カラブシャ神殿へはアスワン・ハイダム近くのボート乗り場からボートで約20分です。オプショナルツアーも出ているのでぜひチェックしてみましょう。
アブ・シンベルからフィラエまでのヌビア遺跡群おすすめポイント3
アブシンベル神殿
アブシンベル神殿は、太陽神ラーを祀る大神殿と王妃ネフェルタリのために建設した小神殿からなる岩山をくり抜いて作った神殿です。建設者は新王国時代第19王朝のラムセス二世。大神殿の入口にはラムセス二世の座像が4体、大列柱室にはラムセス二世の立像が8体、奥の至聖所には神々の像に混じり神格化されたラムセス二世の座像があります。
王妃ネフェルタリを溺愛していたことから小神殿の正面には、王妃ネフェルタリの像2体を挟んでラムセス二世の像が4体、足元には彼らの子供たちが並んでいます。夜には音と光のショーが行われ魅力的です。ヘッドホンでの日本語ガイドもあるのでぜひチェックしてみてください。
フィラエ島のイシス神殿
フィラエ島にあるイシス神殿と言われていますが、フィラエ島は移築前にあった島です。現在の島はアギルキア島。移築の前にフィラエ島そっくりに形や環境を改造し名前もフィラエ島にしてしまいました。
イシス女神に捧げられたイシス神殿は、紀元前4世紀から3世紀のプトレマイオス朝時代に建てられました。イシス女神がホルス神を産んだ場所とされていて、神殿の壁にはイシス女神からお乳を飲む人間の形をしたホルス神のレリーフが見られます。
イシス神殿の第一塔門には、プトレマイオス一世が生贄の髪を掴んでイシス神とホルス神に捧げている姿が大きく描かれています。フィラエ島にはイシス神殿と共に移築された、紀元前100年頃のトライヤヌス帝のキオスクもあるので合わせて見学してみてくださいね。
カラブシャ神殿
カラブシャ神殿は新王国時代第18王朝アメンへテプ二世によって建設され、後のプトレマイオス朝、そしてローマ皇帝アウグストゥス治世時に完成しました。この神殿も水没から救済され、アスワンから50キロ離れたこのところにあります。
ヌビア独自の太陽神マンドゥリスや下エジプトの女神ワジェドなど様々な地方神が祀られています。至聖所の壁面にはマンドリスに捧げものをするファラオのレリーフが見られますよ。面白いレリーフがたくさんあるのでぜひプランに入れてみましょう。
◎まとめ
観光大国と言われているエジプトですが、交通便や治安面で個人的には周りにくい国です。ルクソールやアスワン、アブシンベルなどを効率よく周りたい場合は日本からのツアーに参加することをおすすめします。安全で楽に周ることができるのでお得ですよ。アブシンベルで一泊して満天の星空やご来光を堪能してみるのもいいでしょう。