【世界遺産】天地之中とは？｜少林寺はここに！河南登封の文化財をご紹介

中国の世界遺産「河南登封の文化財 “天地之中”」。名前を聞いてもピンと来ない、という方でも「少林寺」という名前を聞けば心当たりがありますよね？そう、映画や武術で有名な、あの少林寺です。

中国河南省にある嵩山（すうざん）は、古代から山岳信仰の中心とされてきました。その麓に点在する宗教的・学術的に評価された8か所（11件）の史跡群が、ユネスコの世界文化遺産に登録されています。

世界遺産に登録された史跡群の中には、映画で見たことがある「少林寺」、中国最古の天文施設、廟など2000年近くという長い歴史を誇る歴史的建造物が含まれています。別名「嵩山歴史建築群」とも呼ばれる世界遺産「河南登封の文化財 “天地之中”」についてご紹介しましょう。

「河南登封の文化財 “天地之中”」とは？

天地之中とは古代中国人の宇宙観を表し、黄河中下流域の中原こそが天地の中心であるという古来からの中華思想につながる言葉です。陰陽五行説に基づいた5つの聖山は「五岳（ごがく）」と呼ばれ、その中岳となるのが嵩山。この嵩山を中心に北岳恒山、東岳泰山、南岳衡山、西岳華山と各方位に聖山があります。

聖なる山として崇められ、世界の中心とされた嵩山には、都が置かれたり宗教・学術的な建造物が多く造られました。

「河南登封の文化財 “天地之中”」は、そんな嵩山周辺にある史跡建築群。嵩山の歴史との長きにわたる結びつきが評価され、世界遺産の登録に至ったのです。

少林寺以外にも世界遺産に登録されている史跡は、118年から123年の漢の時代に建てられた太室闕（たいしつけつ）や中岳廟（ちゅうがくびょう）、中国で最古といわれる煉瓦塔である嵩岳寺塔（すうがくじとう）、元の時代に作られた天文観測施設など、宗教にとどまらず科学技術史の史跡まで多方面で楽しめる世界遺産となっています。

「河南登封の文化財 “天地之中”」へのアクセス

日本から鄭州へは直行便が運航されています。鄭州新鄭（ていしゅうしんてい）国際空港まで、成田国際空港から約4時間15分、関西空港から約3時間半のフライトです。

鄭州新鄭国際空港から登封までは、直行バスで約1時間30分、タクシーなら約1時間。空港から少林寺へ直接行けるバスもありますよ。

天地之中のおすすめポイント①：少林寺建築群

リュー・チャーフィー主演の『少林寺三十六房』、ジャッキー・チェン主演の『少林寺木人拳』、ジェット・リー主演『少林寺』など、少林寺が舞台になった名作の香港映画は数多くあります。夢中で観た人も多くいますよね？

そんな少林寺も2010年、世界遺産に登録されました。武僧のイメージが強い少林寺ですが、実際は北魏時代495年に創建された歴史ある寺院です。527年には、南インドの僧、菩薩達磨が9年間も壁に向かい座禅を組む厳しい修行の末に開眼し、禅宗の開祖となったことでも有名です。

石が敷き詰められた床が窪むほど日々厳しい鍛錬を行ったあの武僧脚坑も、少林寺学住院内の千仏殿に実際にあるんですよ。境内に現存する「太宗文皇帝御書碑」には、少林寺の僧兵13人が李世民将軍を助けたというエピソードも記載されています。映画のシーンを思い出しながら世界遺産を観光すると、また違った感動で胸がいっぱいになりそうですね。

200以上ともいわれるレンガ造りの墓塔がまるで林のように見える「少林寺塔林」は、歴代高僧の墓所。彫刻も素晴らしいので見まわってみましょう。

天地之中のおすすめポイント②：観星台と周公測景台

観星台と周公測景台は、「天地之中」という古代中国人の宇宙観に深く関連する天文観測施設。元の時代である1267年から1269年に建造されました。中国に現存する最も古く最大級の天文学施設として、世界遺産に登録されています。

「夏至・冬至」「春分・秋分」という今日にも通用する暦の概念は、観星台を使って築き上げられたといわれています。周公測景台は影の長さを利用した日時計です。

当時、全国で72か所の観星台があったそうですが、ここが天文観測の基準地点。いかに嵩山が科学的にも優れた成果をあげていた歴史的に重要な場所であったかをうかがい知ることができます。

◎まとめ

映画ファンにはたまらない「少林寺」を含む世界遺産「河南登封の文化財 “天地之中”」はいかがでしたか？少林寺修行僧による演武を見ればワクワクして写真を撮りたくなりますが、修行僧を許可なく撮影するのは禁止されています。目に焼き付けて観光を楽しんでくださいね。

少林寺だけでなく、山岳信仰の中心とされてきた嵩山周辺の歴史的建造物はどれも見ごたえがあります。中国河南省の登封へ、「天地の中心」を体感しに行ってみましょう！

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