名称:タムガリの考古的景観にある岩絵群
住所:Tamgaly,Kazakhstan
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1145/
中央アジアとヨーロッパにまたがるカザフスタンは、カスピ海とアラル海に面している国です。人気観光スポットはゼンコフ正教会やホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟、アスタナにあるモニュメント兼展望台のバイテレックなどがあります。そして歴史に触れることができたり、大自然を堪能することができる世界遺産も多いです。その中でも今回は「タムガリの考古的景観にある岩絵群」について紹介していきます。
目次
5000点を超える岩絵!タムガリの考古的景観にある岩絵群
タムガリの考古的景観にある岩絵群とは?
アルマトイ州にある峡谷のタムガリは、アルマトイから北西約180キロメートルのところにあります。2004年に「タムガリの考古的景観にある岩絵群」として世界文化遺産に登録されました。中央アジアに残る岩絵群の中で初の世界遺産登録です。
この一帯には紀元前14世紀以降に描かれた岩絵群が残されていて、その数はなんと5000点以上。その周辺に残る住居群や祭祀場跡と推測されている遺跡群と共に、中央アジアにおける優れた文化的景観を形成しました。岩絵には一つ一つ個性的な絵が描かれています。「タムガリの考古的景観にある岩絵群」は見て楽しめる世界遺産です。
タムガリの考古的景観にある岩絵群へのアクセス
アルマトイから北西に約180キロメートルの場所に位置しているタムガリへは、車で約2時間半で到着します。公共交通機関で行くことはできませんが、現地ツアーなどもあるので参加してみるのもいいでしょう。アルマティ2駅の近くはタクシーが多いため、簡単に捕まえることができます。タクシーに乗る前にはきちんと値段交渉をしておくといいですよ。
タムガリの考古的景観にある岩絵群のおすすめポイント3
岩絵群の歴史
紀元前後の時期になると、一帯で暮らす遊牧民が独自の岩絵を作成するようになって岩絵の多様化が顕著になりました。中央アジアの遊牧民が残した他の岩絵群と似ているものは、家畜生活がはじまったあとに描かれています。
中世になると中央アジアを中心とする広い地域に居住してきたテュルク系民族によって、政治的象徴性の強い岩絵が描かれるようになりました。しかし13世紀頃、モンゴル帝国の西進によって衰退してしまいます。
19世紀以降、再び芸術として岩絵が評価されるようになりました。考古遺跡としてはじめての調査は1957年。世界遺産「タムガリの考古的景観にある岩絵群」の登録地には20世紀の岩絵も含まれています。
芸術性の高い岩絵
「タムガリの考古的景観にある岩絵群」は洞窟壁画とは違って、露天の岩面に残されています。金属器や石器で岩の表面を傷つけて線刻描画したペトログリフです。岩絵群は48の遺跡地域に分けられ、5000点を超える岩絵群の約6割は5つの遺跡地域に集中しています。
岩絵群には羊や馬などの動物に人物像、アニミズムなどが描かれています。その中でも神格化された太陽の顔が描かれている岩絵は、芸術性が高いことから好評です。最も古いものは紀元前14世紀後半頃に描かれたと言われています。
建造物の遺跡
寒さを防ぐため南向きに造られた石造りの住居跡や、墓所の遺跡もこの世界遺産に含まれています。墓所の遺跡は時代によって石囲いから墳墓に変化していった様子などを感じることができますよ。石造建造物の資材を切り出したと考えられている石切場跡も発見されました。
峡谷の中心部には住居跡がありません。代わりに岩絵群の密集した区画があることから、祭札があったと推測されています。岩絵だけではなく遺跡なども残っている貴重な世界遺産です。「タムガリの考古的景観にある岩絵群」でぜひ古い歴史に触れてみてはいかがでしょうか?
◎まとめ
中央アジアの遊牧民生活の変遷をたどる上で、貴重な証言となっているカザフスタンの世界遺産「タムガリの考古的景観にある岩絵群」。中央アジアには他にもたくさんの岩絵群がありますが、規模と研究の進展度という2つの面から見るとタムガリは卓越した価値を持っています。カザフスタンに訪れたらぜひタムガリの岩絵群を見てみましょう!