オランダの世界遺産Ir.D.F.ヴァウダヘマール！現役の揚水施設とは？

オランダ北部の蒸気式揚水施設、Ir.D.F.ヴァウダヘマールは、オランダの歴史を語る上で欠かすことの出来ない世界遺産です。水害と戦ってきたオランダの歴史の影には、さまざまな揚水施設が存在しているのです。代表的なものは、オランダの風景といえば思い出す風車ですが、今回ご紹介するIr.D.F.ヴァウダヘマールは、世界最大の揚水施設であり、オランダの人々を水から守るための要となっているもの。Ir.D.F.ヴァウダヘマールは世界遺産として登録されているものの現役の施設です。100年近くもの間オランダの要として動き続ける、まさに世界遺産に相応しい施設をご紹介します。

Ir.D.F.ヴァウダヘマールとは

世界遺産Ir.D.F.ヴァウダヘマール（D.F.ヴァウダ蒸気水揚げポンプ場）とは、オランダ北部、フリースラント州南部のアイセル湖に建てられた、世界最大の蒸気式揚水ポンプ場。その規模だけでなく、技術的にも最も進んでいるといわれ、世界中の揚水ポンプ施設の基準となっていることから、世界遺産に登録されました。

Ir.D.F.ヴァウダヘマールは、建築家のD.F.ヴァウダ（Dirk Frederik Wouda）によって建てられ、1920年10月に開設。施設名は、D.F.ヴァウダの名前をとったもの。オランダは、その領土の多くが海抜よりも低い位置にあることから、昔から水害に悩まされてきました。オランダの歴史は水との戦いの歴史と言っても過言ではないほどで、いかに水を排出するかが重要な課題です。このような干拓地オランダで水の排出をするために生まれたのが、揚水ポンプ施設Ir.D.F.ヴァウダヘマール。このような歴史的価値のある産業施設であることから、ユネスコはIr.D.F.ヴァウダヘマールを1998年に世界遺産として登録しました。

Ir.D.F.ヴァウダヘマールへのアクセス

Ir.D.F.ヴァウダヘマールへのアクセスは、オランダ北部のアムステルダムから列車でおよそ2時間、ヘーレンフェーン駅にて下車。車で向かう場合は、アムステルダムから北東で100km程の町、レマーを目指します。ローカルバスを乗り継いで行くこともできますが、かなり時間がかかるため、可能であれば列車や車を利用するのがおすすめ。敷地内には駐車場も用意されています。

Ir.D.F.ヴァウダヘマールのおすすめポイント２

現役稼働のボイラー

Ir.D.F.ヴァウダヘマールの世界遺産は、何といってもこの揚水施設を動かし続けてきたボイラーの存在を抜きに語ることは出来ません。規模・技術ともに世界ナンバーワンの称号を誇るこのポンプ場は、毎分400万リットルもの排水能力を有し、オランダの人々を水害から守ってきた歴史を持っています。

この歴史を支えるのが、世界遺産Ir.D.F.ヴァウダヘマールの要である計4基の大きなボイラー。揚水施設のエンジンとして現在も活躍しているのです。とはいえ常時稼働しているわけではなく、通常時は周囲の施設で排水処理を行い、大雨などで水が溢れそうになると、Ir.D.F.ヴァウダヘマールの揚水ポンプが緊急出動し、余分な水をアイゼル湖へ排出しています。1920年の開設以来、今もなお現役で活躍する世界遺産Ir.D.F.ヴァウダヘマールの力強さを、間近で見学することができますよ。

施設内の博物館

Ir.D.F.ヴァウダヘマールが世界遺産に登録されるまでになった歴史を垣間見ることができるのが、施設内の一部を一般開放した博物館。Ir.D.F.ヴァウダヘマールの建物全体がミニチュアになった模型では、この施設の全体像をしっかりと把握することができます。施設内で使用されているボイラーやポンプ等も、小さな模型で再現されており、実際の施設を見学したあとにミニチュア模型を見ることで、いかにこの模型が精巧につくられているかを実感できることでしょう。

博物館ではこうした展示場の他に、Ir.D.F.ヴァウダヘマールの歴史を学ぶ映画も上映されており、この歴史的産業遺産がなぜ世界遺産に登録されるにいたったのかを、存分に実感できること間違いなしです。

◎まとめ

世界遺産Ir.D.F.ヴァウダヘマールのおすすめポイントをご紹介しました。水害に悩まされたオランダの歴史に、揚水は欠かせないものでした。その中で100年近くに渡って活躍し続け、今なお現役で稼働しているIr.D.F.ヴァウダヘマールは、まさに世界遺産に登録されるにふさわしい産業遺産。オランダと水の歴史を物語る揚水施設Ir.D.F.ヴァウダヘマールは、より深い視点でオランダを知るきっかけになるかもしれません。

オランダの世界遺産Ir.D.F.ヴァウダヘマール！現役の揚水施設とは？