【中国の世界遺産】青城山と都江堰とは?|四川省成都の貴重な治水施設

【中国の世界遺産】青城山と都江堰とは?|四川省成都の貴重な治水施設

中国四川省の成都に造られた都江堰(とこうえん)は、世界遺産の治水利水・灌漑施設。荘厳な青城山(せいじょうさん)と洪水から街を守っています。特に都江堰の治水は、古代の叡智に感服することでしょう。

大きな川が2つに分かれ、見事に造られた堰は一見の価値があります。そんな世界遺産、青城山と都江堰水利(灌漑)施設のおすすめポイントを紹介してきます。

目次

【中国の世界遺産】青城山と都江堰とは?|四川省成都の貴重な治水施設

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青城山と都江堰とは?

◆青城山

青城山(中国成都の世界遺産)

青城山は、世界文化遺産で世界的にも有名な道教全真道の聖地です。また、中国4大道教名山および5大仙山の一つにも選ばれ、中国道教の重要な聖地とされています。

世界遺産の青城山の最高峰、老君閣の標高は1,260m。青城山は前山と後山に分けられ、それぞれに見どころがあります。自然が広がっているので、何とも幻想的な雰囲気に包まれています。代表的なスポットの天師洞や園明宮は、とても静かで青城山を象徴する景観です。

◆都江堰

都江堰(中国成都の世界遺産)

同じく世界文化遺産の都江堰は四川省成都市の都江堰市西部に位置し、成都平原の西の岷江にあります。紀元前3世紀の秦の始皇帝が活躍した時代には、すでに存在していました。

都江堰は大きな川をを水魚嘴・飛沙堰・宝瓶口の3つに分けました。この治水施設は2000年以上にわたって、治水や灌漑としての役割を果たし、成都平原を広大な農業地帯に生まれ変え、多くの人々の生活を支えました。

都江堰は、世界で最も長い歴史のある分流ダムで、唯一残っているものです。堰を用いずに行われた水利事業が特徴で、中国の古代労働者の勤勉、勇気、知恵の結晶でもあります。

青城山と都江堰へのアクセスは?

青城山と都江堰

世界遺産の青城山と都江堰は中国の四川省成都の郊外にあります。そのため、日本からアクセスする際は、成都を経由します。東京から成都までは5時間30分程度。また、トランジットがある場合では、北京や上海を経由するのが一般的です。

そして、成都からは成灌線という鉄道で、青城山も都江堰へもアクセスできます。青城山は終点の青城山駅から徒歩で20分ほどです。そして、都江堰へは都江堰駅で降りてから路線バスに乗って、市街地から観光エリアに移動できます。

青城山と都江堰のおすすめポイント①:魚嘴

都江堰(中国成都の世界遺産)

世界遺産の都江堰の一部である「魚嘴(ぎょし)」は、形が魚の頭に似ていることから名付けられました。岷江の中心にあり、その主な役割は、岷江を内側と外側の2つに分け、西に分割された外江を主流とし、排水のために使用します。東の内江は、人工水路に引き入れ、灌漑設備として利用。古代の魚嘴は、竹カゴで組み立て小石を積んでいました。

そして、ここからが世界遺産登録となったポイントです。都江堰の灌漑施設は岷江のカーブに建てられたため、冬と春は水量が減り、川は魚嘴を流れる際に大きく弧を描いて主流の内江へと注ぎます。約60%が内江へ、約40%は外江へと流れていきます。

一方で、夏と秋は水位が高くなり、川の勢いがあるため、流れが曲線から直線へと変化し、外江が主流に。よって、外江と内江に注ぐ水量も反転し、川の水の約60%が外江に、約40%が内江へと注ぐのです。

この地形を利用した都江堰の灌漑施設は、冬と春の農業用水の不足と生活用水の需要に応えるだけでなく、夏と秋に起こる洪水から街を守ったのです。古代の知恵が世界遺産登録へとつながった良い例といえるでしょう。

青城山と都江堰のおすすめポイント②:飛沙堰

都江堰の飛沙堰

出典: CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=649946 (CC BY-SA 3.0)

世界遺産の都江堰にある飛沙堰(ひさえん)は、水の引き入れと排水量を調節する役割があります。古くは、飛沙堰と呼ばれ、都江堰水利施設の三要素の一つ。ごく普通に見えますが、実際にはその効果は絶大です。

飛沙堰は成都平原を洪水から守る"鍵"のような役割。内江の水の量が宝瓶口の水量制限を超えた時に、余分な水を飛沙堰から流れ出るようにすることです。大きな洪水が発生した場合には、自ら堤防を破壊し、水の大半を主流の岷江に戻すことができるのです。

飛沙堰のもう一つの役割は、大雨などにより万山から急激な土砂や岩が岷江に流れ込んだ場合、内江の下流にある宝瓶口を塞ぐこと。古代の飛沙堰では、竹カゴに砂利を詰めて臨時の堰を作っていました。現在の都江堰はコンクリートに取って代わり、より高い効果を生んでいます。

都江堰にある古くからの知恵をユネスコが評価し、世界遺産としたのです。

青城山と都江堰のおすすめポイント③:青城山

青城山の天師洞(世界遺産)

青城山の中にはいくつもの、道教寺院があるのが特徴です。美しい自然を肌で感じながら、神聖な道宮に出会うことができます。

中でも「天師洞」は三清殿、三皇殿、黄帝祠といった寺院からなり、青城山の中でより中心的な役割を担う場所。さらに、道教の創始者といわれる張陵はこの天師洞で修行したとも伝えられています。

この天師洞は青城山の中でも前山に位置し、後山には泰安古鎮などの古風で趣のある村があります。まさに桃源郷の世界のようなので、ぜひ後山にも立ち寄ってみてください。

◎知恵の結晶!【世界遺産】青城山と都江堰

青城山と知恵の結晶・都江堰の見どころをご紹介しました。どちらも、併せて観光したい世界遺産です。

古代の知恵というのは素晴らしいものがあります。都江堰は季節で川の流れが変わるので、再び旅行する際には違う季節に訪れてみるといいかもしれません。中国の世界遺産は往々にして広大で、圧倒させられるものがあります。ぜひ、その目で文明の大きさを体感してください!

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