【世界遺産】廬山国立公園とは？｜中国文化・政治を育んだ名所！

江西省九江市に位置する廬山国立公園は1996年に登録された世界遺産で、「匡廬の奇秀は天下一である」と昔から評価されるほど傑出した自然環境が特徴です。雲海、瀑布、朝日という3つの絶景を中心に豊かな自然で構成されている上に、4世紀からこの廬山で宗教に関連する建造物が建ち始めました。

九江出身の陶淵明を始めとして李白、白居易など中国を代表する詩人が多く訪れこの地で作品を残しています。また、政治家の別荘地としても知られていて、蒋介石や毛沢東などが歴史のターニングポイントを生み出した場所でもあります。

自然、文化、政治の3要素を併せ持つ廬山国立公園はまさに世界遺産にふさわしい場所と言えるでしょう！

廬山国立公園とは？

匡山または匡廬と呼ばれることもある廬山。殷周の時代、匡という名字を持つ7人の兄弟がこの地に簡素な住居を建て、質素な生活を続けていました。彼らはそんな隠遁生活を続けた末、仙人となり彼らの住んでいた住居が山へと変化したそうです。

この伝説から匡山、匡廬という別名がつけられたといいますが、廬山を実際に訪れてみると、辺りが雲に覆われていたり、風光明媚な景色が延々と広がっていたり、確かに仙人が住んでいてもおかしくないような雰囲気を感じ取ることでしょう。

三畳泉という落差155mの滝や5人の老人が座っているように見える五老峰など見どころはたくさんあります。中国の浄土教の発祥地となった東林寺や中国四大書院の一つ、白鹿洞書院など宗教、文化的な建造物も見逃せません！数ある世界遺産の中でもとっても魅力的な世界遺産のうちの一つといえるでしょう。

廬山の中で最高峰である漢陽峰は海抜1474m。他のほとんどの峰も1000m以上と高所に位置しています。そのため、気候はさわやかで過ごしやすく、夏の間も平均温度は17℃ほど。別荘地として多くの中国人が憧れを抱く世界遺産としても注目されています！

廬山国立公園へのアクセス

廬山国立公園は江西省北部の九江市内にあり、市街地の南に位置しています。鉄道の駅である九江火車駅からはおよそ35km、九江廬山空港からはおよそ40kmほど離れています。

廬山へは九江市街地からバスの利用をおすすめします。別荘群の建造物など、主要な見どころは徒歩で観光することができるため観光者にとってはうれしいポイントです。

廬山国立公園のおすすめポイント

別荘群

快適な自然環境が知られていることで、多くの別荘が立ち並ぶ九江市の廬山国立公園。清の時代から欧米諸国の商人や牧師が避暑地として九江市の廬山に別荘や公館を建て始め、今でもさまざまな建築様式の建物を見ることができます。最も有名な別荘といえば蒋介石の美廬別荘で、イギリス人が1903年に建設したもの。

その後所有権を得た女性のオーナーが蒋介石の奥さんと親交があったことから1934年に蒋介石へ譲りました。この別荘は歴史の表舞台に立ったことでも知られていて、1937年蒋介石と周恩来がここで会合を行ないました。また、1949年の新中国誕生後に毛沢東が宿泊したことで九江市の廬山を中国全土でさらに有名にしたと言われています。

詩人墨客を魅了した風光明媚な自然

廬山国立公園で見ることのできる滝、朝日、雲海の3つの絶景を称して「廬山三絶」と称されています。落差155mの三畳泉はとても豪快でその昔、李白が七言絶句「望廬山瀑布」を詠んだことでも有名です。「まるで空から落ちてきたようだ」と表現された滝は、九江市の廬山観光のハイライトにもなりうるスポットでしょう。

李白の他にも陶淵明や司馬遷など中国を代表する詩人がこの地で作品を残し、その数は4000首以上、延べ1500人が訪れたとも言われています。白居易が残した『香炉峰の雪』は、清少納言が枕草子で引用したことでも有名で、また多くの書画、山水画も残されているので、それらの作品の舞台を巡る観光というのもとっても興味深いでしょう！また、廬山は九江市よりも標高が高いので、寒暖差を利用して茶の栽培も盛んに行なわれていて「廬山雲霧茶」と呼ばれる名産品もあります。

◎まとめ

廬山国立公園の魅力が伝わりましたか？はるか昔から芸術家、政治家を始め無数の人々を魅了してきた廬山は世界遺産にふさわしいスポットと言えますね！

雲海や瀑布、奇岩など様々な自然を楽しめるだけでなく、中国の宗教や文化、政治を育んできた歴史も併せ持ち、世界遺産の中でもディープな観光ができる稀有な世界遺産と言えるでしょう！また、陶器の里で知られる景徳鎮も120kmほどの位置なのでセットで観光することをぜひおすすめします！

【世界遺産】廬山国立公園とは？｜中国文化・政治を育んだ名所！