アラビアンナイトが奏でる街!イエメンの世界遺産サナア旧市街

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アラビアンナイトが奏でる街!イエメンの世界遺産サナア旧市街

アラビア半島南西部に位置するイエメンの首都サナア。標高約2,300mと首都としてはかなりの高地にあり、また世界で最も人口の増加が急速に進んでいる都市でもあります。拡大を続けるサナアの中心にある城壁に囲まれた旧市街は、2500年以上も前から続く古い都市。そのためサナアの旧市街は、1986年に世界遺産に登録されました。

サナアは古代から交易で栄えていたものの、その反面数々の抗争にも巻き込まれてきました。被害を避けるために、サナア旧市街にはたくさんの工夫が施されています。ジャンビーヤと呼ばれる小刀を腰紐に差した男性と、黒いマントで全身を隠すように覆っている女性たちが今も見られるイエメンの街。この記事では世界遺産サナアの見どころをご紹介しましょう。

目次

アラビアンナイトが奏でる街!イエメンの世界遺産サナア旧市街

サナア旧市街とは?

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世界最古の街とも呼ばれるサナア旧市街には、『旧約聖書』に登場するノアの息子セムによって創建されたとする伝説があります。同じ旧約聖書でユダヤ人の祖とされているエベルの子孫ウザルにちなみ、サナアの町は古くは「アザル」と呼ばれていました。

紀元前後ごろには、現在と同じ「サナア」になったと考えらえれています。サナアとは、南アラビアの言葉で「堅牢な要塞」という意味。すなわち、このころにはすでに城壁に囲まれた都市であったと考えられます。6世紀にかけては、紅海を通じた海洋交易や陸路での隊商交易のルートを巡り、アラビアのヒムヤル王国とアサバ王国、そしてアフリカ大陸のアスクム王国が領有をめぐって争いました。

1918年にイエメン王国が成立するまで、サナアはその時々のイスラーム国家に支配され、地域の中核都市として機能しました。イエメンが独立して以降、サナアは今日までその首都であり続けています。

サナア旧市街へのアクセス

日本からサナア国際空港への直行便はないので、イスタンブールやドバイ、ドーハなどを経由する必要があります。

イエメンには鉄道はないので、空港から市内へはバスやタクシー、そしてダッパーブと呼ばれる乗り合いのミニバスを利用します。世界遺産のサナア旧市街は、徒歩で十分回れる広さです。

サナア旧市街のおすすめ①:レンガ造りの建物

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世界遺産サナア旧市街の建物は、全てレンガで構築されているのが特徴です。レンガが使われるようになったのはメソポタミア文明の時代といわれ、当初は日干しレンガが主流でした。紀元前3000年ごろからより強度のある焼成レンガが造られるようになり、大型の建物が造れるようになったのです。

サナア旧市街の建造物はこの焼成レンガで造られたもので、イエメン様式とも呼ばれています。崖の上に建つ家々と石畳の道のコントラストは、レンガならではのすばらしいものです。サナアのレンガ建築物は、内側には一番厚い日干しレンガを用い、外側に焼成レンガを使用するという方法がとられています。ただ、レンガの焼成には大量の薪を使うので、近年は森林伐採が環境問題となっています。

世界遺産の旧市街には6500棟の民家のほか、106棟ものモスクが立ち並んでいます。いずれもイエメン様式のレンガ造りで圧巻されます。窓にはカマリアと呼ばれる採光のための小窓が付いていますが、白色の窓とレンガの赤が絡み合い、町並みをいっそう鮮やかに彩っています。

また、城壁に囲まれた旧市街にはブスターンという共同菜園があります。これは、敵が襲ってきても籠城生活ができるように造られたもので、実際に戦時には自給自足の生活が送られていました。戦いに備えた工夫は一般の家屋にもみられ、敵が城内に侵入しても家族を守れるようにひときわ高い位置に居住スペースが設けられています。

サナア旧市街のおすすめ②:夜景

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世界遺産のサナア旧市街はもちろん昼間散策しても素晴らしい景色ですが、夜にはさらなる絶景を拝むことができます。日が傾くと街の家々に明かりが灯りはじめます。マッチ棒で少しずつ火を付けていくような感動的な瞬間が、訪れる人々を優しくもてなします。

そして辺りが真っ暗になると、サナアの旧市街だけが別世界のような風景に変わります。サナアの夜は言葉では言い表せない絶景!まさしくアラビアンナイトそのものです。

◎まとめ

2018年現在、イエメン全土に外務省の危険情報レベル4が発令されています。これは最も危険度の高い退避勧告で、いかなる理由であれ渡航することはできません。

これは、2015年から続くイエメン内戦によって、国が国として機能していない状態に陥っているためです。当内戦は南部スンニ派と北部フーシ派という旧来の対立のほか、アルカイダ系の過激派組織が加わった三つ巴の様相を呈しています。残念ながら、世界遺産サナア旧市街を自由に観光できる日が近いとはいえない状況です。

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