名称:Lake Turkana National Park
住所:Lake Turkana, Kenya
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/801/
ケニア最北部に位置するトゥルカナ湖(Lake Turkana)は、面積が琵琶湖の約10倍にも及ぶという世界最大のアルカリ湖です。植物プランクトンが多く美しい緑色をしていることから、別名「翡翠の海」とも呼ばれています。手付かずの自然が広がるトゥルカナ湖周辺は、まさに動物たちの楽園!ナイルワニやカバの繁殖地となっているほか、フラミンゴやサギ、ペリカンなどの渡り鳥が飛来することでも知られています。
トゥルカナ湖には3つの国立公園があり、1997年には「トゥルカナ湖国立公園群」として世界遺産にも登録されました。生態系の豊かさはもちろんのこと、公園内で古人類の骨や動物の化石が発見されるなど、人類学の研究の場としても非常に高い評価を得ているそうですよ。
それでは、ケニアの世界遺産「トゥルカナ湖国立公園群」についてご紹介していきましょう。
目次
手つかずの自然が残るケニア最北の地・世界遺産トゥルカナ湖国立公園群
トゥルカナ湖国立公園群とは?
アフリカ大陸を南北に縦断する「グレート・リフト・バレー(アフリカ大地溝帯)」。その中で最も北部に位置する湖が、このトゥルカナ湖です。砂漠の中にある湖として、また、アルカリ塩湖として世界最大規模を誇るというトゥルカナ湖は、ナイルワニの繁殖地および生息地として世界的にも知られています。
トゥルカナ湖があるケニア北部は非常に乾燥しており、気温が高く常に熱風が吹いているという半砂漠気候です。しかも、水源はアルカリ性であるトゥルカナ湖のみのため、水の確保すら難しいことも。
そんな過酷な条件が重なっていることから、トゥルカナ湖周辺は「ケニアの秘境」と呼ばれているのです。
1997年に世界遺産に登録された「トゥルカナ湖国立公園群」は、トゥルカナ湖の東岸にあるシビロイ国立公園と、湖の中心に浮かぶセントラル・アイランド国立公園、そして湖の南東部に浮かぶサウス・アイランド国立公園の3つの国立公園で形成されています。ワニやカバの生息地としてはもちろん、渡り鳥の飛来地としても有名な世界遺産なのですが、実は考古学的にも非常に重要な場所なんですよ。
トゥルカナ湖が属するグレート・リフト・バレーからは、元々古人類の骨や遺物がいくつも発見されており、「人類発祥の地」として人類学者たちの間でも注目を浴びて来ました。ちなみに、トゥルカナ湖では1980年頃にコービ・フォラで最初の人骨が見つかった後、1999年にはさらに古いと推測される350万年前の人類「ケニアントロプス・プラチオプス」も発見されています。
このように、豊かな自然に抱かれた動物たちの楽園であると共に、人類の進化や歴史を知る上で重要な手がかりがたくさん眠っている場所であることが評価され、ケニア初の世界遺産としてユネスコに登録されることとなったのです。
トゥルカナ湖国立公園群へのアクセス
ケニア北部は手つかずの自然が多く、道も舗装されていないため非常にアクセスが困難です。「トゥルカナ湖国立公園群」までは、ケニアの首都ナイロビ(Nairobi)から距離にして約800km。陸路で2~3日かかる上、激しいオフロードを走る必要があります。
空路で行く場合は、ロドワル(Lodwar)を拠点にすると良いでしょう。ナイロビからのフライト時間は約100分で、その後、四輪駆動車に乗り換えて湖の畔にあるキャンプ地を目指します。湖の上に浮かぶサウス・アイランド国立公園やセントラル・アイランド国立公園へは、ボートで渡ることができますよ。
トゥルカナ湖国立公園群のおすすめポイント
◆シビロイ国立公園
シビロイ国立公園(Sibiloi N.P)は、エチオピアとの国境近く、トゥルカナ湖の東岸に位置します。
敷地内にそびえ立つシビロイ山が名前の由来となっており、一面を砂漠で覆われているのが特徴です。
およそ200万年前の木々が化石化した「化石の森」や公園内のサファリなど、とにかく見どころ満載!
サバンナでは定番のライオンやチーター、ヒョウ、シマウマなどの大型動物を見る事ができますよ。
シビロイ国立公園が素晴らしいのは、豊かな自然だけではありません。コービ・フォラ(Koobi Fora)地区からは、約200万年前の古人類の骨や石器時代の遺物などが見つかっており、世界中からも注目を浴びています。コービ・フォラには化石の発掘サイトや博物館もありますので、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
◆セントラル・アイランド国立公園
セントラル・アイランド国立公園(Central Island N.P)は、トゥルカナ湖の中心に浮かぶ火山島です。
島には火山活動によって誕生した3つの湖があり、それぞれ生息している動物に基づいてクロコダイル湖、フラミンゴ湖、ティラピア湖と呼ばれています。特にセントラル・アイランド国立公園は、ナイルワニの繁殖地として世界的にも有名なんですよ。
トゥルカナ湖のちょうど真ん中に位置するため、アクセス方法はボートのみ。シビロイ国立公園または、トゥルカナ湖の西岸にあるイリー・スプリングス(Eliye Springs)という村から乗船することができます。
イリー・スプリングスにはキャンプ場やロッジもあるので、ここを拠点にしながらのんびり過ごすのもおすすめ。夕暮れ時から見られる満天の星空は必見ですよ。
◆サウス・アイランド国立公園
サウス・アイランド国立公園(South Island N.P)は、トゥルカナ湖の南部に浮かぶ島です。島全体が火山灰に覆われ常に荒涼とした雰囲気が漂っているため、先住民の間では「悪霊が宿る島」として恐れられてきたのだとか。一方で、たくさんの渡り鳥がやって来る「野鳥の楽園」としても知られています。
毎年ヨーロッパから飛来する渡り鳥の種類は、およそ34種。3月から5月にかけて一斉に飛び立つ様子は圧巻ですよ!そのほか、サギの仲間のゴリアテサギやハサミアジサシなど、20種以上が島に生息していることが分かっています。バードウォッチングにはもってこいですね。
◎まとめ
毎年6月には、トゥルカナ湖周辺の10の部族が集まって「トゥルカナ・カルチャー・フェスティバル」を開催しています。それぞれ言語や風習は違えども、伝統を守り続けようとする熱い思いは同じ。
そんな彼らの姿に圧倒されること間違いなしですよ!
ただし、2018年現在「トゥルカナ湖国立公園群」があるトゥルカナ郡には、外務省の危険情報レベル2が発令されています。ケニア北西部と国境を接する南スーダンで不安定な治安状態が続いており、民兵や難民による略奪や暴力事件が絶えないためです。特に国境近くでは、移動の際に護衛が必要な場合などもありますので、不要不急の渡航は避けるよう注意しましょう。