名称:タッターの文化財
住所: Sindh, Thatta
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/143
インドやアフガニスタン、イランと国境を接する国パキスタン。南アジアにあるイギリス連邦の加盟国でもあります。正式な国名はパキスタン・イスラム共和国といい、その名の通り国民のほとんどがイスラム教徒の国なんですよ。
そんなパキスタンにはモヘンジョ・ダロの考古遺跡をはじめ、6つの世界遺産があるのはご存じでしょうか?パキスタンにはインダス文明発祥のインダス川が流れ、その流域には多くの遺構などが残っています。今回はそのインダス川にほど近いパキスタンの世界遺産の一つ、「タッターの文化財」をご紹介しましょう。
目次
広大な墳墓群と豪華絢爛なモスク!パキスタンの世界遺産タッターの文化財
タッターの文化財とは?
世界遺産タッターの文化財とは、パキスタン南部シンド州のインダス川デルタ地帯にある古い都市で、人口は22,000人ほどです。かつてはサンマー朝、アルグン朝、タルハーン朝の3つの王朝の首都であり、栄えた時期もありました。しかし、16世紀の終わりごろからムガール帝国に占領され、支配下に置かれるようになりました。
14世紀から18世紀頃まで繁栄した王朝の遺跡と、広大な面積にわたる共同墓地が残っており、世界遺産タッターの文化財として保存されています。タッターの文化財はイスラム建築で作られた美しいモスクや無数の共同墓地が特徴で、パキスタンの代表的な世界遺産になっています。
タッターの文化財へのアクセス
世界遺産タッターの文化財へ一番近い空港はカラチのジンナー国際空港です。ジンナー空港からタッターまでは約85キロ、車で1時間半から2時間弱で行くことができます。
タッターの文化財のおすすめポイント①:広大な共同墓地
世界遺産タッターの文化財に含まれるマークリーの丘は、10キロ平方メートル以上にもおよぶ墳墓群です。400年にもわたって建てられ続けた墳墓群は、王族や役人、学者などが葬られておりその数はなんと100万以上。
マークリーの丘で最大の霊廟はタルハーン朝の王イサハーン・タルハーンのもの。白いドームと柱で構成されている霊廟は華やかなタイルで装飾されていることもなく、特徴的です。しかし棺や柱に彫られた装飾は細かく見事で、静かな美しさ。さらに15世紀後半にタッターを治めたジャム・ニザムディーンの霊廟もタイルはありませんが、見応えのある彫刻。こちらはドームもなく正方形と、ムスリム建築とは少し違った様式です。他の有力者の廟には青いタイルで美しくかざられたものがいくつかあり、その違いを比べるのにも興味深い世界遺産です。
タッターの文化財のおすすめポイント②:シャー・ジャハーン・モスク
ムガール帝国第5代の皇帝であったシャー・ジャハーンによって建てられたこのモスクは、その名を冠しシャー・ジャハーン・モスク、またはジャーマー・モスク(金曜のモスク)と呼ばれています。シャー・ジャハーンは父親に反旗を翻した際、このタッターの町に匿われたことによって感謝の印としてこのモスクを授けました。
世界遺産タッターの文化財の中でも一際美しく、インド亜大陸での最も精巧なタイル仕事だとも言われています。ターコイズブルーやコバルトブルー、バイオレット、さらに白いタイルをふんだんに使い、ドームには夜空のような星を模してタイルが並べられているんですよ。シャー・ジャハーン・モスクは、明らかにトルコやペルシャに影響を受けているのも興味深いです。そして音響もよく、祈りの声がドーム全体で聞くことができるようになっています。
◎まとめ
この美しい世界遺産タッターの文化財に縁があるシャー・ジャハーンは、あのタージマハルを建造した王でした。シャー・ジャハーンが建築したものは豪華なものばかりで、壮麗王とも称えらていたんですよ。しかし残念ながら、これら美しいモスクや霊廟のある世界遺産のエリアは現在外務省の海外安全情報でレベル2に分類されています。「不要不急の渡航中止」が推奨されていますので、旅行に行くには様子を見た方がいいでしょう。