名称:ストックレー邸
住所:1150 Woluwe-Saint-Pierre,Belgi
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1298
ベルギーの首都ブリュッセルにある世界遺産「ストックレー邸」。20世紀初頭に金融業者アドルフ・ストックレーの私邸として建設されたこの邸宅は、当時の最先端の芸術家たちの手によってモダニズム建築としてデザインされ、類まれなる傑作として世界遺産に登録されました。内装・外装・家具・日用品・庭園などを総合的に意識して設計された、総合芸術のさきがけともいわれるベルギーの世界遺産ストックレー邸をご紹介しましょう。
目次
総合芸術のさきがけ!ベルギーの世界遺産ストックレー邸をご紹介
ストックレー邸とは?
出典: diamond gypsy / PIXTA(ピクスタ)
ストックレー邸とは、ベルギーの首都ブリュッセルのテルヴュラン通り279/281番地に残り、2009年に世界遺産に登録された個人所有の邸宅のことです。ベルギーの金融業者であるアドルフ・ストックレーの住宅として、オーストリア・ウィーンの建築家であるヨーゼフ・ホフマンによって設計された建築物。当時のヨーロッパでは曲線を活かしたアール・ヌーヴォーの様式が主流でしたが、ストックレー邸の外観は直線的な造形デザインで約20年後から流行するアール・デコの特徴をいち早く取り入れています。この世界遺産には芸術界の著名人が訪問することが多く、最近ではアメリカ元大統領であるジョージ・H・W・ブッシュが訪問していることでも有名です。
またこの世界遺産は今まで所有権をめぐって相続者たちとブリュッセル当局で法廷闘争が行われていた経緯があります。その理由として住宅だけでなく家具や調度品などの住居内の要素も全て世界遺産の対象とするか否かという内容でした。結局その闘争は2006年に家具や装飾品などの調度品を対象に含めることで決着し、2009年の世界遺産登録に繋がりました。なお建物だけでなく、その内部全ても世界遺産の対象となった案件はストックレー邸がベルギーで初めての事例となっています。
ストックレー邸へのアクセス
ストックレー邸はベルギーの首都ブリュッセルに位置する世界遺産。この世界遺産は街中にあるため、アクセス方法は公共交通機関を利用することをおすすめします。ブリュッセル市外の中心部にあり、ベルギーの象徴ともいうべき世界遺産であるグラン・プラスの最寄り駅である「Gare Centrale駅」から地下鉄で約10分の「Montgomery駅」がストックレー邸の最寄り駅となります。この駅からストックレー邸までは1キロも離れていませんので、徒歩で約10分弱で訪れることができますよ。
また「Montgomery駅」から路面電車で向かうことも可能で、その際は「Leopold Ⅱ停留所」で降りてから徒歩約1分で到着です。なおストックレー邸には専用の駐車場が用意されていませんので、車で行く際には駐車場の確保が難しいことにご注意くださいね。
ストックレー邸のおすすめポイント①:時代を先取りした外観
ストックレー邸は、その当時のヨーロッパの主流デザインであるアール・ヌーヴォーを採用しなかったばかりか、その約20年後に流行するアール・デコを感じさせるデザインをしているのが最大の特徴となっています。曲線ではなく直線的な造形デザインを採用したストックレー邸は、建設当時から話題となりました。
ブリュッセルはアール・ヌーヴォー建築が街中に存在する都市であり、特にブリュッセル南部にあるルイーズ大通りにはアール・ヌーヴォー建築の世界遺産である「建築家ヴィクトル・オルタの主な都市邸宅群」に登録されている4軒のうち3軒があります。19世紀後半から20世紀初頭に流行した代表的なアール・ヌーヴォー建築であるそれらの建物とストックレー邸を比較すると、よりその先鋭性を感じることができますよ。
ストックレー邸のおすすめポイント②:内装
ストックレー邸の見所は、時代の流行を先取りしたアール・デコの外観だけではありません。その豪華で芸術性の高い装飾や家具などの内装も大きな魅力の一つとして挙げられます。オーストリアの画家であるグスタフ・クリムトらによってシャンデリアから銀食器に至るまで、ストックレー邸の内部を彩る多くの家具や装飾を手掛けました。
その中でもグスタフ・クリムトの素描に基づいて構想され、レオポルト・フォルシュトナーによって作成された食堂のモザイク画は世界的にも知られています。ストックレー邸は建築だけでなく庭園や装飾、内装、家具、食器に至るまで全てを内包した総合芸術作品として評価され、人々から愛されているのです。残念ながら現在内部は一般非公開ですが、公開されることがあればぜひ訪れてほしい場所です。
◎まとめ
ベルギーの世界遺産、ストックレー邸についてご紹介いたしました。流行の先取りをモダンなデザイン、豪華で芸術性の高い内装などこの邸宅には様々な魅力が詰まっています。内部は現在一般非公開となってしまっているのが残念ですが、外からその建築の姿を見るだけでも楽しめますよ。ベルギーに観光に訪れた際は、ぜひストックレー邸に立ち寄ってみてくださいね。