名称:Le Morne Cultural Landscape
住所:Le Morne, Mauritius
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/en/list/1259/
モーリシャスはマダガスカル島の東、インド洋の沖合に浮かぶ小さな島国です。イギリス連邦に属しているものの、古くからインド商人との繋がりが強かったため、インド系の住民が過半数を占めています。
美しい海と自然が観光資源のモーリシャスですが、世界遺産については以外にも自然遺産ではなく、文化遺産が2件しか登録されていません(2017年現在)。今回ご紹介するのはそのうちの1つ「ル・モーンの文化的景観」です。たしかに文化遺産なのですが、むしろ自然の見どころの多い世界遺産なんですよ。
目次
美しすぎる楽園モーリシャスの世界遺産!ル・モーンの文化的景観
ル・モーンの文化的景観とは?
「ル・モーン」とは、モーリシャスの南西に突き出た小さな半島の名前でもあり、そこにそびえる玄武岩の岩山のことでもあります。海面からまっすぐ556mの高さまで屹立するル・モーン山は、周囲に遮るもののない眺望と、独特の生態系で知られています。
モーリシャス島は、16世紀初頭にヨーロッパ人に「発見」されて以来、オランダやフランスが統治してきました。1810年にはイギリスが占領しましたが、その支配下で多くの奴隷が逃亡を試み、このル・モーンに隠れて生活していたそうです。1835年、イギリス領モーリシャスは奴隷制度の廃止を宣言し、警官隊がル・モーン山へそのことを告げに行きました。警官隊は「君たちは自由になったのだ」と呼びかけましたが、自分たちを騙し討ちにしようとしていると疑った奴隷の多くが、ル・モーン山の崖から飛び降りて亡くなったといわれています。
この1件について世界遺産委員会は「自由を求めた奴隷たちの戦いのシンボル」と謳い、ル・モーンは2008年に世界文化遺産に登録されることになりました。
ル・モーンの文化的景観へのアクセス
モーリシャスの空の玄関口サー・シウサガル・ラングーラム国際空港は、首都ポート・ルイスからは約50km離れた島の反対側にあります。日本からの直行便はないので、シンガポールやクアラルンプール、香港、上海などを経由する必要があります。
空港からは、ル・モーンへ行くのもポート・ルイスへ行くのも、同じくらいの距離です。バスの便はあまりよくないので、タクシーか地元のツアーを利用しましょう。
ル・モーンの文化的景観のおすすめポイント①:ル・モーン山
ル・モーン半島唯一無二のシンボルといえるル・モーン山。半島の先端側に立つと「これ本当に登れるの?」と思ってしまいますが、トレッキングコースはきちんと整備されているので、時間をかければ間違いなく頂上までたどり着けます。ル・モーン山は独立した岩山なので、周囲に遮るもののない360度の大パノラマが楽しめますよ。
ただし、決して油断は禁物。登山の準備はしっかり整えて、できれば地元のトレッキングツアーに参加しましょう。登山道の途中には多くの洞窟群がありますが、逃げ出した奴隷はこうした洞穴を生活の場としていました。そんな歴史も感じながら、世界遺産の山に登ってみてください。
ル・モーンの文化的景観のおすすめポイント②:マリンスポーツ
La partie sud du Morne est le lieu idéal pour pratiquer du kitesurf, de la planche à voile et du surf tant les vents du sud-est sont forts et stables. #ilemaurice pic.twitter.com/Srr4K5iIRq
— Mon Île Maurice (@mon_ilemaurice) March 16, 2018
世界遺産ル・モーン山の麓に広がる青い海では、多くの観光客がマリンスポーツに興じています。とくに、ル・モーン半島はモーリシャス島全体の風上といわれていて、近年ではカイトサーフィンの絶好ポイントとして人気を呼んでいます。
逆にル・モーン山南西の外浜は波が穏やかなので、大人から子供までたくさんの人たちが海水浴を楽しんでいます。浜辺には宿泊施設もいろいろあるので、世界遺産の山と海を心ゆくまで満喫できるでしょう。
◎まとめ
奴隷にまつわる悲しい事件を根拠に世界遺産に登録されたル・モーン。しかし今では、絶景とマリンスポーツを楽しめるリゾート地として、世界中の観光客が訪れるスポットとなっています。
またル・モーン山周辺には、希少な植物も何種類か自生しています。文化遺産としての価値だけでなく、優れた自然も有している世界遺産スポットといえるでしょう。