薔薇の季節に訪れたい!イランの世界遺産「ペルシャ式庭園」

画像出典:dynamosquito

薔薇の季節に訪れたい!イランの世界遺産「ペルシャ式庭園」

ペルシャ式庭園の起源は、紀元前6世紀のアケメネス朝ペルシアの初代皇帝キュロス2世の時代の建築様式だと言われています。乾燥地帯で厳しい自然環境の地で、その土地に合った様式を考え出したペルシャ人の多様性や技術力の高さを良く表しています。庭園内に水路を巡らせて、猛暑や砂嵐を忘れ去れる快適な場所。このような庭園を古代ペルシャ語でパイリダエーザと言い、これがパラダイスの語源だと言われています。

目次

薔薇の季節に訪れたい!イランの世界遺産「ペルシャ式庭園」

ペルシャ式庭園とは?

出典: Ninara

ペルシャ式庭園は、西はスペインのアンダルシア地方から、東はインドにまで影響を与えた庭園の様式です。スペインのアルハンブラ宮殿の庭園は、ペルシャ式庭園の哲学とアラブ人の様式が融合した物で、インドのタージ・マハルはムガル帝国時代に建設された最大規模のペルシャ式庭園です。

2011年、イラン国内の9つの庭園が「ペルシャ式庭園」の名称で、一括して世界遺産に登録されました。登録されたのは、エラム庭園、チェヘル・ソトゥーン庭園、フィーン庭園、ドーラト・アーバード庭園、パサルガダエ庭園、シャーザデー庭園、アッバース・アーバード庭園、パフラヴァンプール庭園、アクバリーエ庭園の9か所です。イラン国内に点在しているペルシャ式庭園巡りに出発しましょう!

ペルシャ式庭園へのアクセス

日本からイランへの直行便はありません。観光箇所によっては、首都テヘランではなく比較的入国が簡単だと言われているシーラーズへのフライトが便利です。シーラーズからヤズドまでは長距離バスで5時間。テヘランまでの長距離バスは約13時間、飛行機なら約1時間20分です。

ペルシャ式庭園おすすめポイント3

1.エラム庭園

出典: dynamosquito

エラム庭園は、首都テヘランの南に位置するファルース州の州都シーラーズにあります。エラム庭園のエラムとはペルシャ語で楽園。並々を水をたたえた大きな池、計算されて配された水路、水遊びをする子供達、咲き乱れる薔薇の花、まさに楽園のような人気の庭園。週末には多くのイラン人家族で賑わう人気の観光地です。

庭園内には、カージャール朝時代に建てらえたエラム宮殿があり、外壁のタイル装飾や壁画、彫刻などが美しくガージャール朝の傑作と言われています。博物館として公開されているので、庭園と共に見学することができます。薔薇の咲き乱れる4月、5月は日差しもまだ柔らかなので、この時期はおすすめです!

2.フィーン庭園

出典: Nick Taylor

首都テヘランの南西の小さな街カーシャーンは薔薇の産地として知られています。テヘランから車を走らせると広大な土漠地帯が広がり、ナマク塩湖が白い姿を現し、過ぎてしばらくすると、オアシスの街カーシャーンに到着です。この小さな街を訪れる人が必ず訪れるのが、フィーン庭園。サファヴィー朝の最盛期の皇帝、アッバース1世により建設され、後のガージャール朝時代にも拡張されてきました。

庭園にはいると正面中央に離宮があり、離宮まで続く水路の両側には糸杉並木があります。この離宮を中心に四方向に水路が延びているスタイルは、典型的なペルシャ式庭園だと言えます。ペルシャの近代化に貢献したガージャール朝時代の宰相アミーレ・キャビールが暗殺された浴場があることでも知られています。テヘランからの小旅行としてイラン人にもとても人気のある観光地です。

3.ドーラト・アーバード庭園

出典: Ninara

イランのほぼ中央に位置し、酷暑で知られるオアシス都市ヤズド。その歴史は3000年以上にさかのぼります。メディア王国やペルシャ帝国の時代から土漠地帯の中のオアシスとして発展し、土漠に水をひく地下水路施設カナート網が世界最大規模で敷設されています。このカナートを利用した設備がバードギールで、ヤズドはバードギールが多く見られる都市として知られています。

ドーラト・アーバード庭園の最大の見所もこのバードギール。18世紀半ばに造られ、高さが33.8mもありヤズドで一番高い物だそうです。高い塔に風を集めてカナートの地下水路を通す事で気化熱が奪われ、風が冷たくなるように設計されたもので、「風採り塔」と呼ばれています。中に入る事ができるチャンス、ぜひ入ってみてくださいね、その涼しさに驚くはずです。

◎注意事項

イランでは、外国発行のクレジットカードの使用ができません。つまりATMでのキャッシングもできないので旅行の際は現金(ドルかユーロ)を持って行く必要があるのでご注意ください。

観光客でも女性は頭髪を覆うスカーフ着用が義務付けられています。服装も腕や足が隠れる物を着用しましょう。男性も短パンは避けてください。

◎まとめ

ペルシャ式庭園巡りをするならば、やはりイランの国花である薔薇の咲く時期が最高です。場所により時期は少しずつ違いますが、4月中旬から5月中旬にかけてがおすすめ。特にカーシャーンは世界的に有名な薔薇の産地で、ローズオイルや薔薇水があちこちで売られています。

薔薇の花を天然水で蒸留したローズオイルは、わずかしか精製できないので高価ですが、日本で買うよりはずっとお得。お土産に喜ばれる事間違いなしですね。露店では薔薇の花びらが売られているので、バスタブに浮かべて見てはいかがですか?

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