様々な様式が入り混じる寺院遺跡!南インドの世界遺産「パッタダカルの建造物群」

画像出典:Jean-Pierre Dalbéra / flickr

様々な様式が入り混じる寺院遺跡!南インドの世界遺産「パッタダカルの建造物群」

南インドはカルナータカ州に属する小さな村パッタダカル。この村にはヒンドゥー教寺院群の遺跡「パッタダカルの建造物群」があります。6世紀から8世紀の間にチャルキヤ朝によって石を積み重ねて建設されたヒンドゥー寺院群は時代によって様式が異なり、当時を知る上での貴重な資料となっています。

チャルキヤ朝の首都は元々パッタダカルから約30キロ程離れたバーダーミにありました。しかし代々王家の戴冠式をパッタダカルで行っていたため、パッタダカルを「ルビーの王冠の都」と呼びこの場所に多くの寺院を建立していったんです。それでは南インドの世界遺産、パッタダカルの建造物群の魅力をご紹介します。

目次

様々な様式が入り混じる寺院遺跡!南インドの世界遺産「パッタダカルの建造物群」

パッタダカルの建造物群とは?

出典: Ashwin Kumar / flickr

かつてチャルキヤ朝第二の都として栄華を誇ったパッタダカル。今は寺院群の遺跡「パッタダカルの建造物群」だけが当時を偲ばせます。イスラム勢力による破壊を奇跡的に逃れた数少ない建造物群としても知られているんですよ。現在パッタダカルに残る9つの寺院は全てがシヴァ神を祀ったもので、遺跡には南インド各地から集まった彫刻家や石工たちの匠の技が光ります。パッタダカルは北方型と南方型の特徴を持つ寺院が混在しており、どちらの様式も見ることができるスポット。

建築方式はタミルナードゥ州にある「マハーバリプラム」の寺院とよく似ています。当時マハーバリプラムはパッラヴァ朝の支配下、パッタダカルはチャルキヤ朝の支配下。お互いはライバル関係にあったにも関わらず、かなり近い建築スタイルを持っていたというのも興味深いですね。8世紀半ばにチャルキヤ朝はラーシュトラクータ朝によって滅ぼされ、「パッタダカルの建造物群」の存在は人々から忘れ去られました。

アクセス

ムンバイから約460キロの場所に位置します。鉄道でムンバイからショラープルへ、そこで電車を乗り継ぎバーダーミへ向かいます。
バーダーミからはバスで東へ30km程でパッタダカルへ到着します。

パッタダカルの建造物群のおすすめスポット①:ヴィルーパークシャ寺院

出典: Jeff Peterson / shutterstock

世界遺産パッタダカルの建造物群の中でもオススメなのが「ヴィルーパークシャ寺院」。壮大なスケールを誇る南方型寺院として知られ、当時のライバルであったパッラヴァ朝との戦勝の記念に王妃ローカマハデーヴィが建立を命じたものでした。かつて寺院は王妃の名前から「ローケーシュワラ寺院」と呼ばれていました。

寺院にはシヴァ神が祀られており外壁にはびっしりと彫刻が施され、本堂は南方型の特徴であるピラミッド型の三段構成となっています。彫刻も非常に個性的で、片足を上げて踊っているシヴァ神などユーモラスな姿のものもあり訪れる人々を魅了しています。寺院の横にはヒンドゥー教の聖牛であるナンディがあり、更に目の行く方向には神聖な石シヴァリンガあります。現在でも早朝には信者が集まり、聖牛の彫像に潅水の儀式プージャーを行っています。ぜひ訪れてみてくださいね。

パッタダカルの建造物群のおすすめスポット②:パーパナータ寺院

出典: Ashwin Kumar / flickr

パッタダカルの建造物群の中でも北方型寺院を代表するパーパナータ寺院。寺院が集まったエリアから少し離れた場所に位置し、720年頃から建設が開始されました。ここも邪悪なものを退治する神、シヴァ神を祀っています。はじめに完成した聖室と拝殿の前に更に大きな拝殿が増築され、全長28メートルという大きな寺院となりました。その影響で元々寺院の向かいの屋外にあったナンディ像は新しい拝殿の内部に取り込まれました。

寺院の外壁は柱によって区切られ、古代インドの二大叙情詩ラーマーヤナ、マハーバーラタの場面を描く彫刻パネルが取り付けられています。聖室の上には塔が高くそびえ立ち、典型的な北方型寺院の姿をしています。それに対して外周の壁の立ち上がり部分には南方型の祠堂が並び、南北のスタイルが入り混じっている興味深い寺院建築ですよ。

◎まとめ

南インドの世界遺産「パッタダカルの建造物群」の魅力をご紹介しました。バーダーミの石窟寺院群と同じく、奇跡的にイスラム教徒による攻撃を受けずに済んだパッタダカルはほぼ無傷で形を留め、当時の寺院都市としての姿を残しています。また南方型と北方型の建築様式の寺院が混在している珍しいスポットでもあります。コンパクトな観光スポットなのでバーダーミと合わせて観光するのもいいですね。パッタダカルの建造物群は世界遺産の割にはまだあまり有名ではないので、ゆっくりと鑑賞できるのも魅力的。ぜひ足を運んでみてくださいね。

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