ムガル帝国の古都!世界遺産「ラホール城塞とシャーラマール庭園」

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ムガル帝国の古都!世界遺産「ラホール城塞とシャーラマール庭園」

パキスタン北東部、インドとの国境に近いラホールは、カラチに次いで同国第2の人口を誇る都市。この街にある世界遺産「ラホール城塞とシャーラマール庭園」は、インドに覇を唱えたムガル帝国の都の1つ。歴代のムガル皇帝によって造られた壮麗な城塞や巨大なモスクなどが残るパキスタン有数の観光スポットです。

また、市街中心部のラホール城からはやや離れたところにあるシャーラマール庭園も見逃せません。410もの噴水に囲まれた庭園はとても涼しく、とくに酷暑で知られる夏場には、極上の癒しを与えてくれます。庭園の水は、160km以上もの長さの運河を伝ってもたらされますが、この運河と噴水のシステムが人の手を借りずにどのように動いているのかは、今の技術力をもってしても謎とされているほどなんですよ!

今回は、ムガル帝国の栄光を象徴する世界遺産「ラホール城塞とシャーラマール庭園」についてご紹介します。

目次

ムガル帝国の古都!世界遺産「ラホール城塞とシャーラマール庭園」

ラホール城塞とシャーラマール庭園とは?

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ラホールはインドの聖典『ラーマーヤナ』に登場するほど歴史の古い街。城がいつ築かれたのかはいまだ定かではありませんが、11世紀までには存在していたと推定されています。13世紀にはモンゴル帝国によって、14世紀にはティムール朝によって破壊されますが、15世紀に再建されます。

今に見る世界遺産の美しい城が建設されたのは、16世紀に入ってからのこと。1566年にムガル帝国第3代皇帝アクバルによってラホール城が造営されました。その後、歴代の皇帝たちによって増改築が繰り返され、現在の美しい姿となりました。城塞内には、歴代皇帝によって建てられた宮殿やモスクが立ち並んでいます。

ラホール城と同じく世界遺産に登録されているシャーラマール庭園は、1641年に第5代皇帝シャー・ジャハーンが造らせたもの。シャーラマールとは地元での呼び名で、正式には「シャーリーマール庭園」といいます。

ラホール城塞とシャーラマール庭園へのアクセス

ラホールにはアッラーマ・イクバール国際空港があり、月曜と金曜に限り成田空港からパキスタン航空の直航便が就航しています。その他の曜日または日本の他の空港からは、イスラマバードやカラチ、デリー、北京、クアラルンプールなどを経由する必要があります。空港から市街へは、シャトルバスかタクシーを利用します。

また、パキスタンの首都イスラマバードから鉄道で向かうルートもあります。ラホール城、シャーラマール庭園ともにラホール駅からはやや離れているので、市内の移動はやはりバスかタクシーが便利です。

ラホール城塞とシャーラマール庭園のおすすめポイント

1. ラホール城

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正方形に近い形をしたラホール城塞へは、西門のアラムギリ門から入ります。6代皇帝アウラングゼーブが建てた門で、バードシャーヒー・モスクに向かい合うように建っています。城内の中央には、イギリス時代の2つの大砲が出迎えてくれるディワニアーム(謁見所)があります。ここは皇帝が臣民の謁見や裁判を行った場所で、40本の円柱が並ぶ列柱のホールになっています。ディワニアームの裏には、アクバル大帝時代の宮殿があります。さらにその向かいには、4代皇帝ジャハーンギールの寝室と庭園があり、現在はタージマハルの模型やミニアチュール(細密画)などの博物館になっています。

ジャハーンギールの寝室と庭園のすぐ西隣には、5代皇帝シャー・ジャハーンの庭園と特別謁見室があります。シャー・ジャハーンの寝室は、庭園を挟んだ特別謁見室の反対側に位置します。シャー・ジャハーンは愛妃ムムターズのために、鏡の宮殿と呼ばれる豪華絢爛な「シーシュ・マハル」を建てました。ここはラホール城のなかでもとくに保存状態が良く、ムガール建築の傑作といわれています。宝石や半貴石で装飾された柱をはじめ、壁から天井まで鏡のモザイクで埋め尽くされた繊細で華麗な宮殿は圧巻のひとこと!そしてすぐ隣には、白大理石の小宮ナウラカがあります。こちらも小宮ながら黄金や宝石で装飾され、贅を尽くした造りです。真珠のモスクと呼ばれる白大理石が美しい「モティ・マスジド」や、マスティ門なども見逃せませんよ。

2. バードシャーヒー・モスク

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3つのドームをもつバードシャーヒー・モスクは、ハジャライ・バック庭園を挟んでアラムギリ門と向かい合っています。バードシャーヒーとは、「皇帝の」という意味で、ラホールの象徴的なモスクです。1673年に6代皇帝アウラングゼーブによって建てられたもので、10万人が一度に礼拝でき、世界最大級のモスクともいわれています。ムガル建築の代表的な建物で、白大理石のドームと赤砂岩の壁に囲まれた壮麗なモスクです。

門をくぐって中に入ると、壁と同じ赤砂岩で敷き詰められた広大な中庭があります。ここに使われている赤砂岩は、ピンク・シティと呼ばれるインドのジャイプールから運ばれたもの。中庭の敷地は1辺が160mあるというから驚きです。その中庭の四隅には、礼拝を呼びかけるための塔「ミナレット」が配されています。格調高いモスクの内部には、さらに7つの礼拝所が並んでいます。世界遺産の構成資産とはなっていないものの、ラホール城を合わせてぜひ訪ねておきたいスポットです。

3. シャーラマール庭園

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ラホール城の東方約3kmほどのところにある世界遺産のシャーラマール庭園は、王族の保養地として1642年に皇帝シャー・ジャハーンによって造営されました。南北658m・東西258mという広大な敷地を擁し、コーランにある「天上の楽園」をイメージしたペルシア様式のテラスや噴水があります。

シャーラマール庭園は上・中・下の3段構成となっていて、それぞれのエリアに100を超える噴水が設けられています。全体では410にもなるこれらの噴水は、当然ながら電力のない時代から機能していて、そのシステムの全体像は今もはっきりとはわかっていません。また、庭園内には王侯貴族のための優雅な建物がいくつもあり、ムガル帝国の豊かさと技術の高さをまざまざと実感できます。

◎まとめ

パキスタン国内にあるムガル帝国の栄光の世界遺産「ラホール城塞とシャーラマール庭園」をご紹介しました。

現在ラホール周辺には、外務省の海外危険情報レベル2が発令されています。これは、不要不急の渡航を中止するよう要請するものです。ラホールを訪れる際は、常に最新の情報に気を配りつつ、十分な安全対策を講じてからにしましょう。

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