名称:Mount Hamiguitan Range Wildlife Sanctuary
住所:davao oriental, brgy, la union, san isidro
公式・関連サイトURL:http://whc.unesco.org/ja/list/1403
ハミギタン山地は、フィリピン南部ミンダナオ島南東に突き出たプジャダ半島にあります。標高1637mのハミギタン山を最高峰とするこの山岳地帯には、フィリピンのなかでもここにしか生息していないという固有種の動植物がたくさん!動物相・植物相ともにとても個性豊かであることから、2014年に世界遺産に登録されました。固有種のなかには絶滅危惧種も少なくなく、今後の自然保護の取り組みも重要視されている世界遺産です。今回は、東南アジアでも有数の生き物の楽園「ハミギタン山地野生生物保護区」をご紹介します。
目次
世界遺産に選ばれた珍種の宝庫!フィリピンのハミギタン山地野生生物保護区
ハミギタン山地野生生物保護区とは
ハミギタン山は標高の低いエリアから熱帯雨林、雲霧林、矮林と植生が変化するのが特徴です。高温多湿かつ多様な環境が存在する世界遺産の保護区域内には、植物が957種に動物が423種、計1380種もの動植物が生息しています。そのうち実に341種が固有種ということですから驚きですね!
とくに両生類と爬虫類の固有種が多く、爬虫類に至っては84%という高い割合になっています。フィリピンでは1999年以来15年ぶり6件目の世界遺産として、2014年に登録されました。
ハミギタン山地野生生物保護区へのアクセス
世界遺産ハミギタン山地野生生物保護区の最寄り空港はダバオ国際空港です。マニラからダバオまでは、飛行機で2時間ほどのフライトです。ダバオからはバスでマティ(Mati)という街を目指します。
ハミギタン山に近づくには、北東海岸沿いの道を行くか、西側中腹の自然科学博物館に向かうかの2つのルートがあります。前者の場合は、世界遺産区域の入口付近にリゾート施設が集まっている一画があり、宿泊施設もあります。
ハミギタン山地野生生物保護区のおすすめ
1. 固有種の動植物
出典: Kleo Marlo Sialongo (CC BY 2.0)
世界遺産「ハミギタン山地野生生物保護区」は生息する動植物に占める固有種の割合が高いことで知られています。たとえば日本でもお馴染みの食虫植物ウツボカズラは、フィリピンで見られる種類の6割近くにあたる8種が集まっています。さらにそのうち3種はこのハミギタン山にしかない固有種なんですよ。
108種類確認されている鳥類のなかでは、フィリピンワシとフィリピンオウムが重要視されています。とくにフィリピンワシはフィリピンの国鳥で、サルを獲物にするほどの大きさが特徴!現生のワシでは世界最大といわれています。
2. 盆栽林
出典: Long Henson (CC BY-SA 4.0)
ハミギタン山は一年を通じて温暖湿潤ですが、標高の高いところでは樹木があまり高く成長できません。このような植生を一般には「矮林」と呼び、英語では「ドワーフ・フォレスト」「エルフ・フォレスト」「ピグミー・フォレスト」などといいます。
ところが世界遺産ハミギタン山の矮林については、世界遺産決議文で「tropical bonsai forest(熱帯盆栽林)」と明確に書かれています。マツ科のような裸子植物が低く細くうねって育ち、その様子が日本の盆栽のようだというわけです。
ハミギタン山地野生生物保護区でこの盆栽林を目にするのは困難ですが、東南アジアの熱帯雨林に日本の伝統文化にちなむ名前が付けられているなんて面白いですね。
3. ハミギタン自然科学博物館
出典: Long Henson (CC BY-SA 4.0)
世界遺産ハミギタン山地野生生物保護地区に立ち入るには、地元当局の許可が必要です。そこで一般観光客の受け入れ施設となっているのが、ハミギタン山西側中腹の自然科学博物館です。
館内には、ハミギタン山に暮らす動植物にまつわる資料や標本が多数展示されています。また、中庭では実際にウツボカズラに触れてみたり、バードウォッチングを楽しんだりすることもできますよ。
ハミギタン山地野生生物保護地区の注意事項
イスラム教徒が大半を占めるミンダナオ島では、ISILに呼応してイスラム教過激派組織アブ・サヤフが活動していました。フィリピンのドゥテルテ大統領は戒厳令を発布して軍隊を投入し、2017年10月に掃討作戦の終了を宣言しました。
ですが、今なお戒厳令は続いていて、ミンダナオ島東部には日本の外務省から海外危険情報レベル2が出されています。これは不要不急の渡航を中止するよう要請するものです。したがって、観光目的でハミギタン山地野生生物保護地区を訪れることは、事態が改善するまで控えてください。
◎まとめ
東南アジアでもとくに注目に値する自然が残る世界遺産ハミギタン山地野生生物保護地区。貴重な自然を残さなければならないからこそ、観光で訪れるには細心の注意が必要です。治安状況も厳しいので当面の訪問は難しい状況ですが、ハミギタン山の固有種がこれからも安心して暮らせる環境が維持されることが望まれます。